森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

U出版・自費出版と商業出版の間 ー初めての裁判(1)

2016-09-30 07:28:17 | 社会問題

(1)次世代に贈る

今まで共著で何冊かの本を出してはいました。しかし「この章を書いてください」という依頼ばかりで、自ら単著を出したことはありませんでした。

長い人生を歩んできて、もともと好奇心の強い性格でしたので、人間、あるいは人間社会について自分なりにいろいろと知りました。残された自分の生命はせいぜいあと10年か15年、自分が理解したこと、身に付けたことを、お世話になった人類社会に残したい、次世代に贈りたいと思いました。

プルトニウムを、塵・埃のような微粉にして東京の空に撒けば日本経済は壊滅し、事実上日本は滅びます。これは汚い爆弾“Dirty Bomb”と呼ばれて以前から知られ、米国政府のHPにも出ています(Figure 3. 放射性微粒子の無人航空機散布)。わざわざハイテクの核ミサイルなどにする必要はないんです。私はもともと反原発ですが、感情的な反対論者ではなく、ウラン235の3万倍もの強さと2万年以上の半減期を持つプルトニウムはこの世にあってはならないと考えていました。

プルトニウムをこの世から消すことが真にできる“熔融塩炉”と言う原子炉があることを知りました。福島の原発事故によって日本の軽水炉原発に対する社会的な指弾を目の当たりにしている時でしたから、社会に殆ど知られていないこの“熔融塩炉”を紹介することは人類の現在の状態にとって相応の意味があるのではないかと考えました。それをまずトピック的な話題として前半とし、自分自身が学んできたこと、理解したこと、経済学、公共哲学、生物学が総合されたいわば私の生き様・・、それを後半としたそんなに内容になりました。書いて何人かの方に読んでもらうと特に女性から「大変読み易い」、「一晩で読んだ」などとのご返事をいただき、これは書いた価値があったと思いました。

で、もちろんこれを書籍にしたいと思いました。しかし、今まで出版社から書いてくれと頼まれたこともなく、これと言って強いコネもありませんでした。私が深い関心を持ち参加していた公共哲学の講演会を主催していたK先生(ETVマイケル・サンデル白熱教室の解説で著名)に相談しました。K先生には、一度非公式な討議の場でその内容を聴いていただいていました。その公共哲学の講演会の受付をしていたAさんは、過去出版社に勤めていたため出版界に強いコネを持っていて、適切な出版社を紹介してくれたりつないでくれるという情報をくださいました。K先生も彼の仲介で出版された本があったようです。

で私の原稿をA氏に見せると、もちろん他社につなぐこともできるけれども、これは自分のところで是非出版させてくれないかと強く要望されました。私は内心相応の名のある出版社につないでくれたら嬉しいと思いました。けれど、まずは本を世に出したかったので、手っ取り早いその申し出を有難いと思ったことを覚えています。

彼は株式会社S・Fという書籍制作の会社を経営していて、U出版という新しい出版形態を取っているとのことでした。

この本の出版にあたって、A氏から著者である私に本の制作費100万円を支払って欲しいと言われました。50万と言いよどんで100万と言い換えたことを記憶しています。

「えっ、私が制作費を出すんですか? じゃあなに! 自費出版なんですか」

「いいえ違います。無論、通常出版社が行う商業出版でもありません。著者と制作者が一つのユニット(単位)となる全く新しい素晴らしい出版形態なんです!」

「どういうことですか?」

「著者に制作費をご負担いただきます。私がその資金で本を作り上げ、書店に並ぶところまで持ち込みます。その時点まで私は利益を一切いただきません」

「まだよく分かりません」

「制作費は著者が負担する。私が制作し流通に乗せる。流通に大体売り上げの50%を支払います。残り50%が利益なんです。この利益を著者と私で分割します。こういう出版形態なんです。ですから、私が利益を得るためにはどうしても本が売れねばなりません。著者と制作者が一丸となって本を売ろうという素晴らしい出版形態なんです。商業出版ではすべての経費を出版社が出します。つまり全てのリスクを出版社が負います。著者は販売のリスクを負わない代わりに本の体裁やタイトルなど決める権利も出版に関わる何の権利もなく、出版社が決めた僅かの印税が行くだけです。U出版の場合は、売上高の50%の利益を双方の合意で分割します。私としては双方が対等に販売に努めるという趣旨から、利益は折半、50%/50%を提案します」

この説明を聴いて、内心これは何が起こるかわからないと不安を感じました。しかし、本の制作費を私が出すのであれば、その本に対する私の権利が強くなるのは当然であり、権利関係を契約書に明記しておけば、この本のコントロールは私ができると思いました。今後何冊も何冊もビジネスのように本を書くつもりはないし、後に続く人類に私の得たものを残したいという気持ちの著作ですから、自分で自著をコントロールしたいと思ったのです。自費出版は、言わば記念品を作るようなもので、もし本が売れてもその利益は全部著者のものですから、基本的に出版社は販売の努力はしてくれません。U出版の場合は、業界に詳しいA氏が販売に注力してくれ、しかも本が売れれば商業出版のような10%以下の印税ではなく利益は大きいのですから、考えてみれば著者にとっても好都合なアイディアだと思われました。

でもそうはなりませんでした。

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