マリはもう一つ石を取り出した。白ときれいな水色が複雑な模様を描いていて、なんだか地球のような石だ。



「こっちはラリマー。シザーがマコトに渡すようにって送ってきた。

レイとの力のバッティングが怖いから、そっちを使ってほしいって感じだったのよ、実は。

とりあえず、代わりにそれ、ナイフにはめてな」



なんだよ、じゃ、アクアマリン、はじめっからいらねえじゃねえかよ。

イラっときた勢いにまかせて、マリに対して、はじめて「ハイ」以外を口にしてみた。



「どういう意味?それより、何度も聞くレイってだれ?」



「あたしもレイのことを詳しくは知らない。会ってみたいとは思うけれどね。

ナイフと石が送られてきただけ」



あいそなし。話を切り替えよう。



「ラリマーって?」

「その水色の石の名前。硬度はアクアマリンより低いし、攻撃力に関しても同じく。でも、『融和力』は強い。そういった力のものを使っておいたほうが、マコトにはいいって言ってたかな」

 そのとき、なにかかすかに音が聞こえた。校庭からだ。なんの音だか想像すらできない音だった。さっと風が吹いたような、何かが空気を切るような。そんな音だ。