パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

バースデーカード★★★・5

2016年10月25日 | アクション映画ーハ行
若くして他界した母が娘のために書きためたバースデーカードを誕生日のたびに受け取るヒロインの成長を見つめたヒューマン・ドラマ。主演は橋本愛、共演に宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア。監督は「キトキト!」「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の吉田康弘。
あらすじ:泣き虫で引っ込み思案な紀子は、10歳の時に最愛の母を病気で亡くす。亡くなる前、母は紀子が20歳になるまで、毎年誕生日に手紙を送ると約束してくれた。11歳の誕生日、約束通り母からのバースデーカードが届いた。以来、毎年届く母からのバースデーカードは、成長していく紀子を励まし勇気づけてくれるのだったが…。

<感想>亡き母親からの手紙を通してさまざまな経験を積み、成長する女性の姿を綴った“母と娘”の物語。デビュー作の「キトキト!」は観ていませんが、吉田康弘監督がこの作品では、実直で優しさにあふれたオリジナル・スト-リーを創出。確かに王道であり、題材的によくある感動系というジャンルに埋もれてしまい、本当に泣ける作品であります。

17歳の誕生日には、母の手紙に「自分の故郷である小豆島へ行き、中学校のタイムカプセルを掘り起こしてきてくれ」と言うもので、仕方なく出かける紀子。でも、母親の生まれ故郷へ初めて行ったわけで、母親の同級生や親友、それに修学旅行の秘密など、ピンクレディが大好きで友達と振り付けして歌っていたというのも。この時には、まだ反抗期ではなかったのに。何故に修学旅行をボイコットしてまで、ピンクレディのコンサートに行きたかったのか?・・・気丈な母親の素顔が垣間見えてくる。母親のタイムカプセルの中身は、そのピンクレディのラストコンサートのパンフレットとチケットの半券だった。

その中でも、19歳の誕生日には、手紙を見ないと言う紀子。いつも手紙にはああしろ、こうしろと命令調に書かれていて、紀子はその通りに行動していたのだ。それが、19歳の誕生日に爆発する。もうお母さんの手紙に振り回されるのは嫌だと。父親が怒る「お母さんの謝れ、謝るんだ」ときつい言い方。

娘にしてみれば、今ここにいない母親に、どうしてあれこれ指図されなければいけないのかと反抗する。遅い反抗期である。それでも、手紙には、母親も「何故に手紙を書かなければならないのか、19歳の紀子には会えないのに」とさめざめと泣く。なだめる父親。だから、19歳の手紙には、お父さんと初めて喧嘩をして、結局手紙は書けなかった。という内容でした。成長する娘と息子の姿を観ることは出来ないが、せめて、誕生日に渡す手紙とプレゼントを。これは母親からの愛情だよね。

母親が最後に、家族とピクニックへ行きたいと願い、一緒に車で行き、カレーライスを作って食べた思い出がある。やはり、家族で何処かへ揃って行くことは大事だと思います。
それに、高校生の夏休みに、同じクラスの男子を好きになるも話しかけられない。それが、町内の夏祭りに近所のおばさんに浴衣を着せられて祭り会場へ行くと、タコ焼き屋にその男の子が働いていた。照れくさいも、一緒に花火を見て、初キスもと思ったらそれはまだ早かったのね。母からの手紙には、男のと初キスをする時は、口の口臭はダメ、歯を良く磨いてと、血が出るくらい磨く紀子。妄想で、純くんと初キスをしようとする瞬間に、歯には青のりが付いていて、歯茎から血が出ていたという最悪な結果に。
それでも、その男性と大学生になってから出逢い、バイクに乗ってデートをして、ラーメン屋で働いている彼と恋仲になってしまう。そのことを、父親に話す時も、中々言えずに微笑ましい場面もあります。

亡くなった母親から毎年に誕生日に手紙が届く。それは、父親が母親の生前に子供たちの誕生日に手紙を書いてくれと頼んだからなのだ。娘の成人も花嫁姿も見届けられなかった母親が残した精いっぱいの想いが、会えなくても、話せなくても、母と娘は常に二人三脚で成長してきた。しかし、やがて娘が母から巣立つその日、20歳の誕生日が近づいて来る。
紀子という名前は「21世紀に確かに、こういう人間が存在した」という意味を込めて父親がつけたもの。子供の頃の紀子は引っ込み思案の泣き虫で、クラス対抗クイズ大会ではうまく答えられなかった。というのも、クラスの女の子たちの虐めに遭い、答えたら後でどうなるか覚えてなさい。と強い口調でクラスの女の子に言われ、クイズが始まるとそれを思い出し、何も答えられずに下を向いていたのだ。

ですが、そんな紀子を励ましてくれるのは「パネルクイズ・アタック25」が大好きな母親で、一緒にTVを見てはクイズに答えていた。だが、母親は病に倒れ、亡くなってしまう。成長した紀子が、引き出しに入っていた「パネルクイズ・アタック25」の応募ハガキ。そして紀子が出場に応募する。このシーンも、母親が出たかったと言っていたが、実のところは、娘の紀子を出させたかったに違いない。結局は優勝しなかったけれど。
ヒロインの紀子(17歳から25歳迄)を演じた橋本愛と、母親の宮崎あおいの他に、父親にユースケ・サンタマリアが、弟役には須賀健太、恋人役の中村蒼らの淀みない好演が爽やかな印象を残している。実在の視聴者参加型番組「パネルクイズ・アタック25」に、紀子が出場する終盤の展開も楽しい。

そして、紀子の結婚式の日、弟は大学進学を止めて、日本一周自転車旅行へ旅だってしまい、どうにか連絡が付いて式に間に合った。この晴れ姿を母親に見せたかった。しかし、母親もこの日の為にと、亡くなる前に花嫁ドレスのケープを、せっせと作っていたのですね。
“何よりも家族を大切に思う母親の願い”を描き出していて、それに娘を思う母親の愛情がもの凄く感じられて、それが「アタック25」に出場した紀子が100%のボルテージで喜ぶ表情には、天国のお母さんも喜んでいるに違いないと。

でもね、純と結婚して二人でラーメン屋を営む生活、そして紀子に子供が生まれて、母親だってきっと紀子の孫が生まれるのを分かっていたはず、だから孫のために毛糸で靴下とか編んでプレゼントすれば尚のこと涙が零れてくるでしょうに。しかし、最後にはハッピーエンドになる素敵な物語です。
2016年劇場鑑賞作品・・・226映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング