パピとママ映画のblog

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ヤング・アダルト・ニューヨーク★★★・5

2016年08月24日 | アクション映画ーヤ行
「イカとクジラ」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督が、世代の違う2組のカップルを主人公に贈るコメディ・ドラマ。心と体の衰えを自覚させられつつある40代のカップルが、ユニークな20代のカップルと出会い、交流を重ねる中で自分たちの人生を見つめ直していくさまを、ジェネレーション・ギャップを巡る笑いを織り交ぜつつシニカルに描き出す。出演はベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライヴァー、アマンダ・サイフリッド。
あらすじ:ドキュメンタリー作家のジョシュと映画プロデューサーのコーネリアは、ニューヨークのブルックリンに暮らす40代の夫婦。子どものいない2人は、いつまでも若いつもりでいたが、近頃は老いを意識させられることもしばしば。そんな中、新作がなかなか完成せず袋小路に入ってしまっていたジョシュは、講師をしているアートスクールで、2人の聴講生から熱烈な賛辞を送られ、気分を良くする。彼らは監督志望のジェイミーとその妻ダービー。20代の若い夫婦だったが、LPやVHSテープといった古いモノを愛する風変わりでおしゃれなライフスタイルを送っていた。そんな彼らに刺激され、マンネリ気味だったジョシュとコーネリアの生活にも活気が戻ってくる。やがて、ジェイミーが企画したドキュメンタリー映画の製作にも快く協力を買って出るジョシュだったが…。

<感想>二組のカップルの交流とギャップを見つめた、シニカルかつハートフルなコメディである。どちらかと言うと、私小説的な作品で、愛すべきダメ人間を描き続けるノア・バームバック監督の、人間観察眼が光る迷子の大人たちの成長記録になっていた。
本作では自身と同世代の40代のカップルと、20代のカップルの交流を軸に、ジェネレーション・ギャップとそれぞれの野心や悩みを絶妙なセリフと小道具を駆使して描き出している。

子供のいない40代の夫婦、ジョシュとコーネリア。助成金を頼りにインディ系のドキュメンタリーを撮っている40代の監督夫婦であり、友人のベビー自慢のうんざりしつつ、羨ましさも隠せない二人は、映画監督を目指す20代夫婦との交流からエネルギーを取り戻してゆく。
世代論や芸術論を織り交ぜた才気あるタッチは軽快であり、面白くウディ・アレンの再来と評されるのも納得である。ですが、人物設定と会話のくすぐりだけで持たせるセンスは卓越しているが、ちょっと地味すぎるような気がするでもない。

特に面白かったのが、両世代のライフ・スタイルを逆転させたことである。40代カップルはSNS漬けのハイテク世代にし、一方20代カップルには、一昔前のローテクスタイルがクールと、VHSビデオにレコードをコレクションして、タイプライターで執筆しているのだ。
若い監督志望のジェイミーは、かつて一世を風靡して以降スランプから抜けられない監督40代のジョシュに接近する。エネルギッシュでチャーミングなジェイミーたちに魅了され、マンネリ気味だったミドルエイジ・カップルにも活気が戻る。だが、ジェイミーの真の目的は、・・・。著名な映画監督であるナオミ・ワッツの父親を利用するために近づいたのだった。

名コメディ俳優ベン・スティラーを向こうに回して、ヒップホップ・ダンスに目覚めるナオミ・ワッツのコンビが、コミカルな魅力を開花させる。若いジェイミー夫婦に誘われて、怪しげな自己啓発の儀式に参加。呪い術師のところへいくも、幻覚剤のような麻薬を飲まされて支離滅裂になり、妻のコーネリアはジェイミーとキスをしているのだ。それを見てヤキモチを焼く夫のジョシュが切なくもおかしかった。

中身の未熟を実年齢に無理やり合わせるのではなく、自分の中の子供を認めることで大人になる。そのためには親になる既成事実よりも先に、それを望むか否かの意志が尊重されているわけで、そこにたおやかな反骨の精神を感じる。ですが、難解な芸術理論に辟易する。最後に、子供の養子縁組でハノイまで行く夫婦に未来あれ。

白眉は、野心を愛想の良さに包み込み、世渡り上手な、どこか憎めないジェイミーを演じるアダム・ドライヴァーである。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の新星ドライヴァーの、ミステリアスで抜け目ない青年像にも注目。
舞台となるブルックリンの街や、流行の先端をいくヒップスターのスタイル、多彩な音楽が物語をカラフルに装っており、ピリ辛な社会批評も込めたコメディとして中々良かった。
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