パピとママ映画のblog

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なまいきチョルベンと水夫さん★★

2014年09月12日 | な行の映画
スウェーデンの児童文学者アストリッド・リンドグレーンの「わたしたちの島で」を基に、牧歌的な島で展開する子どもたちと動物たちの交流を描く人間ドラマ。手つかずの自然が広がる美しい島を舞台に、そこで生きる人々の喜怒哀楽を笑いを交えて映し出す。大人さえやり込めてしまう主人公を演じる子役のマリア・ヨハンソンの好演や、アザラシやウサギなどさまざまな動物たちをこよなく愛し、共存しようとする子どもたちの姿に心打たれる。
あらすじ:活発な少女チョルベン(マリア・ヨハンソン)は、風光明媚(めいび)なスウェーデンの避暑地ウミガラス島に住んでいる。彼女は愛犬水夫さんといつも一緒で、夏をこの島で過ごすスティーナ(クリスティーナ・イェムトマルク)やペッレ(ステファン・リンドホルム)とも仲良しだ。ある日、チョルベンはヴェステルマン(マンネ・グルンベリエル)さんにアザラシの赤ちゃんをもらい大喜びするが……。

<感想>可愛いとは言い難い主人公のオデブちゃん。チョルベンの魅力的なキャラ、そして隣の少年二人(双子?)ペッレ一家の人物像がユニークです。
そして、海の向こうからヨットに乗ってやってきた水夫の王子様。白馬に乗った王子様のように白い帆のヨットに乗り、ペッレ家の長女マーリンとの恋の描写には、もう一工夫して欲しかった。水夫のペーテルさんをカエルの王子様だと信じている子供の倫理の方が面白く、彼がマーリンと恋に落ちて結婚することを願っている子供たち。
そして、犬とアザラシ、狐に羊と、動物の活用ぶりが目覚ましいんです。動物たちの愛らしさに媚びない撮り方も最高に良かった。

主人公のチョルベンが飼っている犬(名前は水夫)は、羊やウサギを狐から守る役割をしているのだが、まさか本当に狐が出て来るとは、夜に仔羊が襲われ、ウサギのヨッケも襲われる。気の毒に、チョルベンの犬の水夫が犯人だと大人たちが決めつけ、猟銃で始末しようとするのだ。まさか狐が泳げるとは思ってもいなかった。海の中をスイスイと泳いで行く狐を、人間の猟銃に撃たれないように見送る幼い女の子が可愛らしい。

それと、アザラシの子供をモーゼと名付けてチョルベンが貰うのだが、子供たちは可愛らしい子供のアザラシに夢中になり、小さな池を作ったり餌の小魚を上げたりして可愛がる。ところが、このアザラシをくれた叔父さんが、ヨットに乗ってやってきた男ペーテルに、アザラシは研究機関に高く売れると聞きチョルベンにアザラシを返してくれと言うのだ。子供たちがアザラシを漁師の小屋に隠すのだが、直ぐに見つかってしまいアザラシは叔父さんの手に渡ってしまう。

それからが、子供たちでそのアザラシの売値のお金を稼ぐ逞しさが見られる。新聞配達や、このウミガラス島へ避暑に来る観光客の荷物を運ぶ仕事も、家の掃除にお手伝いをしては小銭を貯めて、何とかオジサンにアザラシを売らないように頼むのだ。でも、最後はアザラシとの別れのシーン、海へ返してあげる子供たち。
ヒロインの女の子は小太りだし、友達の幼い女の子は歯が抜けていて男の子みたいだったりして。お芝居だって上手いのか下手なのか良く分からない。平気で海の中へ服を着たまま落ちたりするし、泥水の中にも落ちる。寒さを感じさせないのがいい。まぁ、それでも子供たちの溢れんばかりの生命力が眩しい。

現実と夢がまだ自由に混じり合う世界に生きている子供たちが、世の中を知っていく美しさ、ワンカットの中で、少女の表情の変化のみで、ことの展開をみせてしまうシンプルな演出の力強さもいい。
そこから、小さな漁村に子供たちや大人も混ぜて、問題が起こったりする。いかにもデジタル映像のようで、スェーデンの夏はこうなのだろうと思いたくなるほど、まるで絵画のような風景など色彩が美しいのだ。

北欧ならではの日没の地平線に、人影が行き交うロングショットが効果的に描いているのがいい。それに、空気のせいなのか、あるいは水のせいか、とにもかくにも色彩が澄んでいるのが美しい。
「長くつ下のピッピ」や「ロッタちゃん」で知られる児童文学作家の、スウェーデンの有名な女性作家である、ストリッド・リンドグレーンの原作で、内容は分かり安く気持ちがいい。ただし、これはあくまでもお子様向きで、つまりは、子供向けの童話のようなもの。子供たちも大人たちも、個性の描き方が分かり安く標準的ですね。50年前の作品とは思えない違和感のなさにもびっくりしました。
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