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オリエント急行殺人事件★★★★・5

2017年12月10日 | アクション映画ーア行

アガサ・クリスティーの名作ミステリーをジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、らをはじめとする一流キャストの豪華共演で映画化。大雪で立ち往生したオリエント急行を舞台に、密室の車内で起きた殺人事件を巡って、容疑者である乗客全員にアリバイがあるという難事件に挑む名探偵エルキュール・ポアロの活躍を描く。監督はポアロ役で主演も務める「から騒ぎ」「シンデレラ」のケネス・ブラナー。

あらすじ:エルサレムで華麗に事件を解決した名探偵のエルキュール・ポアロは、イギリスでの事件解決を依頼され、イスタンブールでの休暇を切り上げ、急遽、豪華寝台列車オリエント急行に乗車する。ほどなくアメリカ人富豪ラチェットから、脅迫を受けているからと身辺警護の依頼を受けるが、これをあっさりと断る。

トルコ発フランス行きの豪華寝台列車オリエント急行で、アメリカ人富豪のエドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)が刺殺体で発見される。偶然列車に乗り合わせていた探偵のエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)が、鉄道会社に頼まれ密室殺人事件の解明に挑む。乗客のゲアハルト・ハードマン教授(ウィレム・デフォー)やドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ)、宣教師のピラール・エストラバドス(ペネロペ・クルス)、キャロライン・ハバード(ミシェル・ファイファー)らに聞き取りを行うポアロだったが……。

<感想>原作も1974年の映画もDVDを購入しており鑑賞ずみであります。アガサ・クリスティーの原作はあまりにも有名であり、イングリッド・バーグマンがオスカーを受賞した1974年の映画や、2015年に三谷幸喜が脚本を手掛けた日本のドラマ版など、これまで何度も映像化されてきたが、今作ではそれらのリメイクやリブートではなく、これまで描かれてこなかった新要素を多く盛り込んだ作品になっている。

名探偵エルキュール・ポアロに扮するのがケネス・ブラナーであり、監督も務めている。それに、あの巨大なヒゲ、立派なヒゲに、合気道の達人という設定のポアロが、躍動キャラに変わっただけでなく、それに伴って描かれるストーリーにもアクション感たっぷりなシーンが増加されていた。

1974年度版のシドニー・ルメット監督の作品も豪華キャストであり、その伝統を受け継いで今回もトップスターを揃えたのですが、潔癖症の名探偵ポアロのブラナーに対して、豪華寝台列車内で刺殺される怪しげな富豪の、悪党ラチェットに扮するジョニー・デップがどのように演じるかが気になります。列車に乗って直ぐに殺される贅沢なキャスティングですが、短剣による刺し傷が多数あり、犯人は相当な怨みがあった模様。

その日、一等車両は容疑者で満室でしたから始まる本作では、容疑者の教授にウィレム・デフォーが、アンドレニ伯爵にセルゲイ・ポルーニン(世界的バレリーナ)が、伯爵夫人にはルーシー・ボーイントン、家庭教師のメアリーにはデイジー・リドリーが、宣教師ピラール・エストラバドスにペネロペ・クルスが、未亡人のハバード夫人にはミシェル・ファイファーが扮しており、医者にレスリー・オドム・Jrが.、ロシア貴族ドラゴミロフ公爵夫人にジュディ・デンチが、その他に秘書、セールスマン、メイド、・・・など職種も境遇も様々。

従来は立ち往生した列車の客室内での会話劇であり、推理劇が繰り広げられていた。それが、探偵ポアロが車外にも飛び出していき、証拠を探すために列車の屋根を駆け抜けたり、謎の人物を追って陸橋をよじ登ったりする。新たなスリル感がいかにもミステリーを増していく。

雪景色の森林を進むオリエント急行の描写や、大きな谷にかかる陸橋上で列車が脱線をして停車する様子などスペクタルなシーが随所に登場する。しかし、本作ではより丹念に容疑者と呼ばれる13人の乗客たちの関係性が描かれ、犯人の謎解きはもちろんのこと、「何故、犯人は被害者を殺さなければならなかったのか」と言う本当の真相が明らかになるのであります。それによって悲劇の裏側が、より物語をエモーショナルなものにするのですね。

一方、リメイク版ならではの斬新な顔ぶれは、以下の通り。ポワロの質問に対して冷静に対応する家庭教師には、風貌も演技も瑞々しいデイジー・リドリーが、元は乳母で今は宣教師をしている苦労人風の女性には、年齢も国籍も異なるペネロペ・クルスが、そして、殺された富豪の帳簿を管理する秘書には、何と、列車外に飛び出してポワロ相手に追跡劇を展開する暴れん坊のジョシュ・ギャッドが扮しています。

そう、43年ぶりに蘇った密室殺人は、事件の発端から解決までを全編列車内で描き切った前作の枠を飛び越え、目が眩むような高い鉄橋の上で立ち往生した列車の外や屋根の上、さらに橋架の下へとカメラが移動して、観客を視覚的に飽きさせない工夫が施されている。

そもそも車内はもちろんのこと実際に動くホンモノを使ったそうですから。現存するオリエント急行“484列車”を基に制作したセット車両の車窓に、窓の外の風景は、実際にアルプスやその周辺で撮影した映像であり、予め撮影された大自然の風景をLEDスクリーンで映して、リアルな走行感を演出している。

そして、ラストの謎解きのシーンでは、偶然か否か、同じ列車に乗り合わせた13人の容疑者を全員を列車の外へ出して、トンネルの前にあるテーブルセットに座らせて、まるでダヴィンチの“最後の晩餐”のようでした。テーブルの前に横並びにさせたポワロが、過去に起きた誘拐殺人との関連性から事件の真相を紡ぎ出す大詰めは、舞台俳優でもあるケネス・ブラナーのこれぞ真骨頂ですよね。

未亡人のハバード夫人が、「全部私が計画したことであり、私一人を逮捕して下さい」と懇願するシーンもあります。が、ポアロ自身も、映画の中で言っているように『世の中には善と悪しかない』と言う。ところが、善と悪の他にも、人間にはいわゆる心の痛みや、人を失うという喪失感があることを知り、彼は善と悪で割り切れないものもあると学ぶと解説する。

それは、極端な二元論者だったポワロが、世の中には白でも黒でもないグレーゾーンがあることを遂に認める。だからその流れの中で彼が下した決断にも、原作やルメット版とは異なる含みをもたせることができたのでは、と思う。

完成した映画を観ると、鮮明な映像のおかげで観客を壮大な歴史的瞬間に置かれているような錯覚を覚えた。迫力ある映像はセリフ以上に、ストーリーを語ってくれることに改めて気づかされました。

ポアロの最後のセリフが、「ナイル」という。それは続編のことであり、次作はクリスティの「ナイルに死す」を題材にするという。前作に続きマイケル・グリーン(「ブレードランナー 2049」)が脚本を執筆し、ブラナーがポワロ役と監督、プロデューサーとして続投する予定だそうです。

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