皆さん こんにちは！ 不妊相談ひとすじ２０年 宮崎市の漢方相談薬局・くすりの麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー 薬剤師の金丸です。
さて一昨日からご紹介している木下晴弘さんのお話も、今日が最終話。
「子どもの幸せのために必要なこと」について、ご紹介します。
㈱アビリティトレーニング代表 木下晴弘さん
昭和４０年（１９６５年）、大阪府生まれ。学生時代に大手進学塾の講師経験で得た充実感が忘れられず、銀行を退職して同塾の専任講師となる。多くの生徒を超難関校合格へと導く。「感動が人を動かす」をモットーに、学力だけでなく人間力も伸ばす指導は、生徒、保護者から絶大な支持を受ける。２００１年に独立し、株式会社アビリティトレーニングを設立。全国の塾・予備校・学校でセミナーなどを行い、受講者は３０万人を超える。著書に『涙の数だけ大きくなれる！』（フォレスト出版）、『子どもが「心から」勉強好きになる方法』（PHP研究所）など多数。
子どもの幸せのために必要なこと
記者）欠点があるんだと素直に受け入れてこそ、成長できるということですね。
木下さん）欠点があるからこそ自ら学んでいけるし、学んでいくうちに自分なりの判断基準ができてきますよね。そうすると、人の言うことを鵜呑みにせず、自分なりに取捨選択して受け入れることができるようになります。それは決して、好きな人のアドバイスだけを選んで聞くという姿勢ではなく、また嫌いな人からのアドバイスは、はなから受け付けないという姿勢でもない。大本には「自分は至らない存在だ」という思いがあるので、好きも嫌いもどんな人の言葉も、いったんは受け取り、学ぼうとするわけです。
そういう姿勢こそが、「はい、わかりました」となんでも受け入れる素直さとも、従順なようで受け入れない疑似素直とも違う、本当の「素直」ではないかと思うんです。
記者）木下さんが、そうした本当の「素直」とは何かに気づいたきっかけはなんですか。
木下さん）背景にあるのは、つぶれていった多くの教え子たちの存在ですね・・・。以前の私はとにかく生徒たちに「ペンを握れ」「偏差値を０.１でもあげろ」と言い続ける、熱血だけがとりえの講師でした。それで志望校に合格でき、いまだに私を支持してくださる教え子や保護者の方も大勢いらっしゃいます。でも、その陰には、私の指導についてこれずに自信をなくしたり、私の何気ない言葉で心に傷を負った子も少なからずいたはずなんです。”ああ、何人の教え子をつぶしてきたんやろな”と、今も申し訳ないという思いが捨てきれません。今の私だったら、ああいう指導はしないなと思います。
記者）もし今ならば、どんな指導をしますか。
木下さん）今回のテーマに添って言うならば、「素直」生きぐせをつけられるよう、導いてあげたいです。進学塾の講師は、生徒を合格させるのが仕事ですが、そもそもなぜ親はわが子を一流校に進ませたいのか、その理由をとことん突き詰めていくと「幸せになってほしいから」なんですね。人が幸せになるためには「自分は必要とされている」という自己有用感が欠かせません。どれだけ死ぬ気で偏差値を上げて一流校に合格したとしても、自己有用感がもてなければ、親の願った幸せな人生は手に入れることができないんです。
もし目の前に、自分を好きになれず、思い悩む子がいたら、今の私ならこう言いますね。
「ありのままのあなたでいい。そんな自分を受け入れて、好きになって。あなたが生きていることは、それだけですばらしい」と。
記者）素直な生きぐせをつけるとは、幸せな歩み方を身につけること、とも言えますね。
木下さん）そうですね。欠点だらけの自分をすんなり受け入れられる人は、他人の欠点にも寛容です。自分という存在も、他人の存在も「それでいいよ」と承認することができたら、人間関係は楽だし、人生楽しいですよね。関西弁で言い表すとしたら、「それで、ええやないですか」という境地です。
私には子どもが３人いまして、１番上の娘は大学３年生になるんですが、彼らが幼い時から、これをやっていました。子どもは褒められたくて、テストでいい点を取ると親を見せにきますよね。その時、こう言うんです。
「そうか１００点か。うれしいか。お前のうれしそうな顔を見ていると、パパはうれしいわ。でもな、テストで高い点数とらなくても、パパはお前のこと愛してるし、テストがどうでも、お前がいてくれたら、それでええんや」って。それをやり続けていたら、３人ともテストをまったく見せなくなりました（笑）。
成績表だってほとんど見たことがないです。
決して、無関心なのではありません。必要とされて、この地球に生み落とされた命がその天寿を全うして生きようとする、そのことに誰がいい悪いなんていえるでしょうか。お前は生きているだけで、すばらしい。どんなお前でもOKというメッセージをひたすら送り続けました。自分を肯定され、認められると人はやる気になります。受験勉強を教えたことはありませんが、３人それぞれに志望する大学・高校へと進みました。
記者）「素直」な子どもに育たれたんですね。
木下さん）息子が中学を卒業する時、メッセージを書いてくれたんです。妻には「ふだん言えないけど、ずっと３年間、お弁当つくってくれて、ありがとう」と。私宛の内容はなんだと思いますか。「いつも言ってくれる、あの言葉。言われて、うっとうしがっているけど、実は安心しています」と書いてあったんです。”やっぱり、そうだったんだな”と思いました。そのおかげか、息子は何があっても動じない、芯のある子になりましたね。
欠点だらけの自分を受け入れ、すばらしい存在だと思えていること。
「素直」とはこういう状態なんだと知りながら、時にそうなれない自分をも受け入れ、素直になれない身近な人がいたら、こういってゆるしてあげてほしい。
「それで、ええやないですか」って。
≪3回シリーズ完結です！≫
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