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最新情報 前立腺がんの診断と治療

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2017年11月19日
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カテゴリ:前立腺がん

◆◆ 転移性前立腺がんの治療 ◆◆

 

PSAが高値(1000以上)で見つかった前立腺がんの患者さん45人の解析結果の話を、電子配信では解説してきました。

PSAが高い患者さんは、ほとんどは、転移性前立腺がんの状態です。

 

前立腺がんが見つかって、初期のがんであれば完治は十分可能です。

ラテントがんや偶発がんといった形で見つかる前立腺がんもあります。

研究によれば、70歳以上の一般の男性の半数以上には、前立腺内に前立腺がんがあるといわれています。

恐らくその大半がいわゆる『がんもどき』というような放っておいても命に別状のない前立腺がんでしょう。

前立腺がんは高齢者の病気です。高齢化に伴い、また診断技術の向上により、たくさん見つかってしまう病気でもあります。

 

しかし、『前立腺がんはすべてやさしいがん』ともいえない現実があります。

米国男性の死因の1位は肺がんですが、2位は前立腺がんです。

日本では6位ぐらいだと思いますが、やはり一部の前立腺がんは死にいたらしめるがんといえます。

 

前立腺がんとりわけ、転移性前立腺がんは、根治が困難(現時点では、です)ですし、進行すれば深刻な状態、死亡を引き起こします。

 

当面の泌尿器科医の課題は、

進行転移性前立腺がんを、いかに進行を遅らせ、仲良く共存できる状態にするか

です。

 

Uromaster自身の研究では、PSA100以上でみつかった前立腺がんの大半は転移性前立腺がんで、

<生存率>

PSA100以上の患者さんの5年生存率 47

PSA1000以上の患者さんの5年生存率 47

5年間生きている確率は47%で、PSA100以上と1000以上で変わりはありません。

長生きできる方とで残念ながらできない方がいるのがわかります。

 

Uromasterの研究で分かったのは、


最初の内分泌療法後のPSAは下がれば下がるほど、そして、それまでの期間が長ければ長くなるほど、生存率がよくなる。

 

つまり、PSA高値の前立腺がん(転移性前立腺がんと言い換えてもいいかもしれません)では、最初の治療とその効果が、患者さんのその後を決めるといっても過言ではありません。

 

転移性前立腺がんの最初の治療はいわゆる内分泌療法(男性ホルモンを下げる)です。

効果がなくなれば様々な治療を行うわけですが、最終的には5年生きる確率が50%となってしまいます。

余命平均5年といわれているのと同じで、いい気持ちはしませんね。

 

 

初めに行われる内分泌療法(男性ホルモンを低下させる治療)は、

MAB療法(リュープリンなど+カソデックスまたはオダイン)

または

リュープリン、ゾラデックス、ゴナックスの単独療法


です。

 

ほとんどの患者さんで、最初の内分泌療法(MAB療法かリュープリン、ゾラデックス、ゴナックスの単独療法)で効果が認められます。

しかし、どうもこの効果の程度が、あとの寿命に影響していることがわかりました。

 

今まで行われてきた内分泌療法で、十分な長期間の効果が出た患者さん達は、従来の内分泌療法を継続してもいいのかもしれません。

稀に、5年以上内分泌療法の効果が持続する方もいらっしゃいます。

 



しかし、達成できない患者さんのグループが存在します。

 

そのような患者さんのグループには、最初の治療が大変重要ということになります。

 

前立腺がんの治療をもう一度復習します。

 

  1. LHRHアゴニスト(リュープリン、ゾラデックス)単独療法、アンタゴニスト(ゴナックス)単独療法

  2. MAB療法(1+カソデックスまたはオダイン)

  3. 抗アンドロゲン剤交替療法(カソデックス⇔オダイン)

  4. 女性ホルモン剤(プロセキソール、エストラサイト)

  5. ドセタキセルの化学療法

  6. 新規内分泌療法薬(イクスタンジ、ザイティガ)

  7. ジュブタナの化学療法

  8. ゾーフィゴ

 

古くからの治療は、上の1→2→3→4→5という順番でしょうか。

最初の内分泌療法で十分そして長期間効果があった患者さんでは、この順番でいいのかもしれません。

しかし、最初の治療で十分な効果が得られなかった患者さんでは、
Uromasterはこの順番ではだめではないかと思うようになりました。

 

1または2の治療で効果がなくなれば、『去勢抵抗性前立腺がん』の状態となります。

この時点から、イクスタンジやザイティガやドセタキセルの治療を行うことが推奨されています。

Uromasterはこの時点でこのイクスタンジやザイティガやドセタキセルの治療を行うのは、一部の患者さんでは、遅いのではないかと考えます。

 

いい薬は後出しするな、今使え!

です。            

後から使っても、私Uromasterの研究のように、一部の患者さんでは、あまり治療効果は期待できません。

 

 

それではどうしたらいいでしょうか。

 

最初の治療に関して、もちろん、患者さんの年齢や併存疾患や状態にも左右されます。

患者さんは、

高齢な患者さん
全身状態が悪く前立腺がんの治療どころではない患者さん
化学療法に耐えられない患者さん

と様々です。

副作用のない100%安全な治療法はないのです。

治療による副作用で命を縮めるのは本末転倒です。



ただし、若い患者さん、高齢でもお元気で前立腺がん以外に重い病気がない患者さんなどでは、転移性前立腺がんであれば、死亡の原因になります。

全力で前立腺がんに立ち向かうべきでしょう。

 

問題はこのような考え方、危機意識を主治医である泌尿器科医が持っているかどうかです。

決められたガイドラインに乗っかって、定番のように転移性前立腺がんに対して、一般的な内分泌療法を行い、

PSAがあがれば抗アンドロゲン剤の追加、
ダメなら
AWSチェック、
だめなら抗アンドロゲン剤交替療法、
ついでプロセキソール、エストラサイトの投与、
それでもダメなイクスタンジかザイティガ、それでもだめなら、大きな病院であればドセタキセルの化学療法、
クリニックであれば大病院に依頼してドセタキセルの化学療法

ということになります。このようなワンパターンの定番の治療の結果が私の転移性前立腺がん5年生存率
47%ということにつながると考えるようになりました。


命を懸けて戦っているのは泌尿器科医ではなく、患者さんです。

Uromasterを含めて泌尿器科医は、危機意識をもって前立腺がんの患者さんに向き合い前立腺がんに真摯に立ち向かう必要があります。





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最終更新日  2017年12月25日 02時44分29秒
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