「家族」のような存在か・・・いいなぁー | huit bonheur-羽生結弦選手-

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ソチからの平昌までを残したくて始めたブログです。

おはようございますニッコリ

いいお話でした♥


http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/153470/1

スケート人生「キス&クライ」
<第9回>隣に座った大ちゃんにメールで引退の相談


ソチ五輪閉会式の前日。

 五輪という舞台を最後に引退するか、予定どおり1カ月後の世界選手権(14年3月)を最後に引退するかで悩んでいた私は、小さい頃からお互いを知っていて、いつも何かあると話を聞いてくれる大ちゃん(高橋大輔=28)に相談しようと思いました。

 今のフィギュア界の仲間たちはライバル意識というよりは、普段から試合やショーで寝食を共にすることが多く、小さい頃から苦楽を共にしてきた「家族」のような存在です。その中でも、大ちゃんは年齢が近いこともあり、男女の垣根を越えて、誰にでも気配りができる人。私にとっても何度も相談しては助けられた恩人でした。

 場所は選手村内にあった日本選手チームのサロン。世界選手権の手続きのために選手が集まる機会があり、大ちゃんも携帯電話を片手にソファに座っていました。私は隣に腰掛けたものの、周囲には選手だけでなく、スケート連盟関係者やスタッフも大勢いました。隣とはいえ、声を出して引退の話はできません。そこで、自分の携帯電話を使って大ちゃんにメールをすることにしました。

「世界選手権を辞退しようか、迷ってる」

 数秒後、一文だけのメールが返ってきました。

「みんな待ってるよ!」

 前向きな言葉に心は揺れましたが、問題は私の両足です。「うおのめ」の炎症が悪化していたため、選手権までの1カ月にわたる練習に耐えられる自信がありません。

 もう一度メールを打ちました。

「この痛みに耐えて1カ月間は頑張れない」

 また数秒後、今度は隣でほほ笑みながらこんな返事が携帯に戻ってきました。

「もう頑張らなくていいんだよ。せっかく日本でやる世界選手権。みんなはメダルより、最後のアッコちゃんの滑りを見たいんだから」

 メールを読んで自分が恥ずかしくなりました。

 彼もソチ五輪前のトレーニング中に負傷。一時は「五輪はムリ」と言われる中、ケガをおして本番に出場していました。そのケガが癒えないまま、世界選手権に出場する意欲を見せていました。結果的に彼は最後の最後で選手権を欠場したのですが、その時までは「絶対に出る」と話していた。全ては自分を待っているファンのため。いい演技を見せることも大事だけれど、まずは自分を待つ人たちに姿を見せる。彼の姿勢を見て、私は気づかされたのです。

 足の痛みでいい演技ができないことを理由に出場辞退を考えていた私。

「応援してくれる人たちにいい演技を見せることだけが恩返しじゃない。どんな演技になっても、待っているファンの人たちの前で最後は滑らないと」

 私は世界選手権への出場を決めました。