生産性とは、生み出す価値÷投入労働力。分母の労働力を削っても数値は改善しますが、喜ぶのは短期利益を求める株主だけ。将来的な競争力はそがれます。正しいのは分子を増やす、つまり品質アップです。安易に労力を削らない。

■分母を削らず、分子を強化
 個人の食生活で考えると、他炊への移行は分母を削る行為です。完全外食化にすれば分母すなわち労力がゼロになって生産性は無限大。最高じゃん!と浮かれたのが若き日のカラスヒコでした。他炊生活では分子も減っていく、つまり栄養価も劣化することに気付かなかった浅はかさ。

 他炊ビジネスでは、安い精製穀物や油脂が使われます。生産性を上げるために材料費を抑えるからです。全ての業者がそうとは言いませんが、不景気や人口減で競争がシビアになるとコストを削らない業者は負けていきます。

 だから、将来のサラダ (4)健康を担保したいと思う人は、分子を未加工食・低加工食で強化することが大事です。具体的には豆ごはんや自製だしみそ汁などのコンサバ&ベーシック食。
 当然労力がかかるので分母も大きくなりますが、分子の価値をもっと上げるパターンに持っていきます。

 例えば左は、キュウリと玉ネギを細く刻み、アマニ油、バルサミコ酢、マヨネーズをかけただけのドシンプルなサラダです。
 早くてうまくて、しかも無添加。自炊はこれでいいんだと納得できる味です。生産性の改善を、私たちはこっちの路線で進めるべアマニ油バルサミコ酢マヨネーズきでしょう。

 この手抜きサラダの味は、確かに100点とは言えません。75点くらいかもしれませんが、玉ネギ独特の辛味=スパイス感とキュウリのみずみずしさのコンビネーションが結構いいのが実感できます。
 生野菜そのものの粗野なうまさを体が再発見できるアイテムだとカラスヒコは感じています。

 他炊に頼ると楽ですが、体は汚されていきます。その結果、30代以降に不調を抱え込み、そのまま高血圧や糖尿病などの生活習慣病へまっしぐら。そうなっている中高年がいかに多いことか。

 私たちは先行世代への観察力を深め、自分の判断でマイノリティーな食べ方を選びたい。そうすれば年を取っても介護ノーサンキューの体を得て、薬の副作用の罠にも落ちない「ピンコロ人生」をエンジョイできるはずです。

■長期視野で「サムごは」を
 さて、食事に限らず、今の社会には安直に分母を削る発想が染みついている気がします。カラスヒコが営業マン時代に、ある中堅スーパーの営業部長は「売上が伸びない今はコストを抑えて利益を出す。それが会社のため」と心から信じているようでした。

 そして仕入原価をたたき、納入業者が音を上げると中国など海外にチャネルを替えた。また、二人でやっていた仕事を一人に残業させて生産性を上げたと誇らしげに語っていました。
 今そのスーパーには大手の資本が入り、大手のPBを売らされ、社員は給与カットに苦しみながらリストラにおびえています。

  しかし、貸借対照表しか見ない株主はそういうコストダウン手法を経営陣の実績と評価して出資を増やします。正社員をパートに換え、パートを移民やAIに置き換えれば人件費はさらに下がり、残業時間を強制的にカットすれば生産性はますます上がるでしょう。

 ただ、そうやって分母を削る経営は目先の数値カイゼンでしかありません。従業員は手取りが減って勤労意欲を失い、研究開発や人材育成などの先行投資はストップしますから中長期的にはその企業は没落します。

 そう。分母削りの生産性向上策はドーピング行為なのです。技を磨きトレーニングを積み上げて戦うのではなく、薬物効果で短期的な勝ちを取りにいく。将来的なダメージについては目をつぶる選択といえます。

 法人としての企業なら経営者は数年で交代し、株主は別の成長銘柄に流れますからそれでいいのかもしれません。しかし、私たちが自分の健康を大切に思うのなら逆の選択が正しいはず。体を使い捨てにするわけにはいきませんから。

 石原結實式CIMG0816のニンジン・リンゴ・レモンのジュースは、ジューサーに1万円ほどの投資が必要ですし、使うたびにジューサーのパーツを取り外してタワシで水洗いする手間が結構大変ではあります。でも、新鮮な天然ビタミンが大量に摂れて体調が良くなるので労力が苦にならない。

 つまり分子、生み出される価値が圧倒的に大きいので健康への生産性が高まることが納得できる。だから無理なく続けられる。そんな好循環が「サムごは」的自衛自炊の推進力になるのが分かります。

 ではまた。