意思による楽観のための読書日記

日本の仏像 薬師寺君子 ***

 大きく分けると仏像には4種類ある。如来、菩薩、明王、天部。如来にはさらに釈迦、阿弥陀、薬師、毘盧遮那、大日などがあり、菩薩には聖観音、千手観音、弥勒、地蔵、文殊、日光・月光などがある。明王には不動、降三世、大威徳、金剛夜叉、軍荼利、天部には帝釈、毘沙門、増長、多聞、広目、持国、金剛力士、八部衆、吉祥などもある。仏界にいるのが悟りを開いた存在である如来と悟りを目指す修行者の菩薩がいて清浄な浄土に住まう。人はこの世にいて、死後に生まれ変わる6つの世界が六道。帝釈天など天部の神が住む天道、人が住む人道、阿修羅が住む修羅道、獣や虫が住む畜生道、飢えと苦しみの餓鬼道、罪を犯した者たちが苦しみの極地である地獄道。これら六道に住むものでも、仏教を信じていれば解脱できて死後には浄土に生まれ変わることができる。

国宝である彫刻仏、130件のうち71件は奈良県、38件が京都府、以下5件和歌山県、4件が大阪府と滋賀県、東京都に2件、岩手県、福島県、神奈川県、静岡県、兵庫県、大分県に各1件という非常に偏りがある。

如来の姿、もともとは現在のパキスタン、ガンダーラ地方で1世紀頃に制作されたガンダーラ仏。2世紀にはマトゥラー仏としてインド中部で制作され、その後は4世紀頃にグプタ朝の仏像として結い上げた髪型が羅髪、肉鬢(にっけい)としてデザイン化された。平安時代に中国を経て日本に伝わったものが阿弥陀如来像などとなる。「印相」は仏像の指の曲げ方や手の組み方のこと。仏像に込められた願いや意味を理解することができる。阿弥陀如来の両手の親指と人差し指でOの形を作り手のひらを上向きにして合わせる「阿弥陀印」や、右手を上、左手を下に向けるのは「来迎印」、いずれも阿弥陀如来が信心深い人を迎えに来るときに結ぶ。釈迦如来や薬師如来が右手のひらをこちらに向けて立てているのは「畏れなくていい」と人々のおそれを取り除く「施無畏印」で、左手の手のひらを下に向けているのは願いをかなえる「与願印」。

 菩薩は、如来になることが約束されていて、悟りを目指すものが修行の途中に多くの人々を救うとされる。菩薩の基本の形が聖観音で、十一面観音や千手観音はその面や手の多さによってより多くの人々を救うとされる。日本では7世紀からの国家鎮護や民衆の現世利益、浄土信仰などの幅広い願いを受けて、馬頭観音や百済観音、救世観音、如意輪観音など33種類に変化する観音が作られた。観音以外にも56億7千万年後に如来となる弥勒菩薩、あらゆる世界を回って苦しむ人々や子供たちを救う地蔵菩薩、知恵により人を救う文殊菩薩、慈悲と理知で人を救う普賢菩薩などもある。

明王は如来の化身で、反仏教的な人々を強制的に従わせるために、恐ろしい忿怒の表情を浮かべている。明王は密教特有の尊像であり密教伝来以来作られた。基本となるのは5つ、大日如来の化身である不動、三世の主であるシヴァ神を従わせる降三世、水牛にまたがる大威徳、金剛杵の法力で悪を打ち砕く金剛夜叉、蛇を手足に巻き付け煩悩を打ち砕く軍荼利で、それ以外に愛染、孔雀、烏枢沙摩、大元帥、馬頭、無能勝、大輪、歩擲などもある。

天部とはサンスクリット語で神、200種類以上あるといわれる。最高位にあるのが梵天と帝釈天で宇宙の中央に聳え立つ須弥山の山頂に住み、如来や菩薩の脇侍とされる。毘沙門天は四天王の一つで北方の守護神多聞天の別名、福徳と戦闘の神。四天王は須弥山の司法に住み、その他に南方の守護神増長天、通常でない眼を持つという西方の守護神である広目天、国家安泰をつかさどり東方を守る持国天がある。天部にはその他、金剛力士、鬼、馬佐良大将、アニラ大将などの十二神将、阿修羅、夜叉、龍などの八部衆、千手観音像に従うとされる28部衆、吉祥天、弁財天、鬼子母神などがある。

京都や奈良のお寺にお参りして祀られた仏像の由来書きなどを読んで分かったつもりになってもすぐに忘れてしまう。この本を読んで、分かったつもりになってもまたすぐ忘れてしまうのかもしれないが、何にも知らずにお寺参りするよりは少しはマシと考えたい。今度京都に行くときにはこの本を持っていくことにする。


↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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