戦前の額皿は結構数が残っています。額皿は使用するものではないので、今でも古い家には状態のよいものがまだ沢山残っていると思われます。今は皿の大きさよりも絵付け、それも風景画よりもフラワー画の方が人気が高いようです。私は描き込みがよければ絵柄にはこだわらないので風景画を中心にいくつか持っていますが、たまによい花の図柄のものが出ると、人気の高さから結構な高額になるのでなかなか手が出ません。この皿は描き込みがよく、どこかメルヘンチックで優しい感じが気に入ったので入手しました。皿の大きさ約25センチ。時代ですが、実はこの皿には縁に金彩が付けられていません。昭和14年の額皿にはまだ金彩が付いていましたので、おそらくこの皿は昭和15年以降、もしかしたらボーンチャイナのように大東亜戦争開戦以降のものかもしれません。

 

 

裏印です。『オールドノリタケと国産アンティークコレクターズガイド』によれば、大正末より昭和18年までの製品に付けられていたとのことです。

 

その他の手元にある額皿を並べてみます。日本人は本当に額皿が好きだったようですね。量産品ですがどれを見ても描き方がとても丁寧で上手いです。下の犬の皿のように、木枠の額に入れて売られていたようですが、額自体はチープなもので、額から外して掛けられるように皿の裏に紐を通す穴が二箇所空けられています。

 

 

 

 

サイン名は、今回紹介分の「Y.Watanabe」、上から犬の絵「S.Takahashi」、花の図「N.Hayashi」、以下風景画「S.K○」(Kurata?)、「S.Ogawa」です。明治〜大正期に日本陶器会社が欧米に輸出していたような外国人の目を引く派手な絵付けではなく、しっとり落ち着いた戦前の日本人好みの優しい絵柄です。