4.1センチ程の小さな帯留めです。石はアメシストだと思います。国の貴金属品位証明の刻印に「ア」とありますので、年代は昭和4年と特定できます。この頃になると国民の生活が全体的に向上しましたので、この帯留めも当時の中流層の持ち物だったと思われますが、戦前日本のものらしく、可愛らしさの中にピシッと引き締まった雰囲気のあるすっきりしたデザインです。

 

 

 

 

刻印です。造幣局の検定印「国旗」「菱形に750」とあります。

 

こちらは「四角にア」の刻印です。

 

コキの方にも刻印があるのですが判読できません。

 

同じ時代の帯留めと並べてみました。検定印は上から四角にイ(昭和5年)、ア(昭和4年)、ア(昭和4年)です。この片仮名の刻印をせめて戦前だけでも続けてもらえたら、他の帯留めの時代もはっきりできたと思います。当時はこのように小ぶり、中央に明るい色石、金色銀色のコンビネーション、スッキリした細工の帯留めが流行していたようですね。

 

 

ご主催者さまの許可をいただきまして、ブログ『むかしの装い』から昭和8〜9年当時の若い女性のお出かけ姿の該当ページを貼っておきます。上の帯留めはこういう清楚な柄の着物によく似合いますね。当時の日本の華やかな一側面をお分かりいただけるかと思います。

 

『むかしの装い』

 

http://blog.livedoor.jp/mukashi_no/archives/50386621.html