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京都高島屋で現在行われている『中原淳一展』に行って参りました(・ω・)


中原淳一。


何度かこのブログでも色々と言っているので説明については割愛させていただきます。


戦前から戦後、物資が不足している中でも物の豊かさが美しさを構成するのではなく、


美しくありたいと渇望する心こそが美しくあるための肝要という事を


提唱し続けた戦後最も偉大なマルチクリエイター。


彼が作り出したデザインは実に一万点を超え、


そのどれもが流行を作り出し、その流行は時を超え、


絶対的な美意識として今も君臨し続けています。


澁澤龍彦がエロスから、美意識を変革したのと同様に、


中原淳一は、女性が本来的に持つ『可愛い』という感覚を


具現化する事によって美意識を創造したと言えると僕は思います。




会場の中には何百という彼が作り出したデザイン画を中心に、


『それいゆ』『ジュニアそれいゆ』『ひまわり』等の


彼が手がけた雑誌、それに付属していた付録などが展示されていました。


特に洋服のデザイン画は、現在一線で発表されているハイメゾンの洋服を思わせる


秀逸なデザインが目白押し。



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そのどれもが怖い程の迫力と美しさを放っている。


どうですか?この二つのドレス!


当時の作品を再現したものなのですが、


本当に60年以上前に発表された作品とは到底思えないクオリティ。


科学的に人が美しいと思うものは、ちゃんと数値化されていて、


黄金比率と呼ばれているが、


その黄金比率というものの色彩感覚を絶対的な感覚として


持ち合わせていたとしか思えません。




どうしてこの感覚が現在、若者に息づいていないのか?


それは、恐らく巷に溢れているファッション雑誌が


常に問題の答えのみを提示し続けているからである。


どうしてそうなるのか?という事を解説していないからだと思う。


正しい答えだけを知っていても、理由や過程を理解しなければ、


自分のものには出来ない。


そして、流れゆく流行を絶えず追いかける状態であれば、


そのスピードに取り残されない為に、翌月には


違うテイストのファッションを紹介する。


そうやって世の中の『普通以上』は形成され続ける。


対して中原は、装いの方法を常に言葉にし、


コーディネートの方法を徹底的に解説し、


果ては、その洋服を着用する為の心構えまでを提示した。


大きなお世話と思われるかもしれないが、


大きなお世話の中に、自分が持ちえない感性が必ず含まれている。


昭和の怪物、異端の巻き起こしたムーヴメントは、


50年以上の時を経ても、未だ日本の乙女の心を揺るがし続ける。