映画『クリムゾン・ピーク』を見てきました。





時は20世紀初頭のアメリカ。


この物語の主人公であるイーディスはニューヨークで事業を営む父の一人娘。


小説家として身を立てたいと願う彼女であったが、


当時、女性の名前では小説が売れないとされており、


作品さえまともに評して貰えない状態だった。


彼女の小説の中には『亡霊』が登場する。


「比喩表現」と人には説明するが、彼女は実際に自分の母親の亡霊に苛まれていた。


そして、その亡霊が必ず彼女に囁く言葉がある。


「クリムゾン・ピークに気を付けなさい」




そんな中、医者で幼馴染のアランが開業の為に帰国。


彼はイーディスに惚れ込んでいたが、イーディス本人はどうも乗り気ではなかった。


そんな中、イーディスの父の会社に一人の男が訪れる。


彼の名はトーマス。


容姿端麗で、准爵位を持つヨーロッパから来た彼は


投資を父に願い出る為にニューヨークを訪れる。


投資を引き出すことが出来ないと判断した彼は、


イーディスに狙いを定め、彼女を籠絡する事に成功。


トーマスとの関係に反対だった父が時期同じくして、他界。


イーディスはトーマスと彼の姉の住む城へ居を移すことになるが、


そこではまた不可解な事柄が立て続けに起こる。


そこで彼女は母の亡霊が必ず告げていた『クリムゾン・ピーク』の意味を知る事となる。





話としては、丁寧には作られているものの極めて分かりやすい展開です。


話の中に出てくる伏線も凄く分かりやすく回収してくれるし、


余り疑問を持たずにお話は展開していきます。


結婚→妙な事が立て続けに起こる→原因を探る→原因が判明する→クライマックス


という感じ。


唯一、疑問なのは母親の亡霊が何故そんな昔から『クリムゾン・ピーク』を繰り返していたか?


って事くらいかな?


それが母の思う娘に降りかかる最大の苦難だったと判断したという事なら分からなくもないが、


何度も彼女に接触するのなら、話の段取りを立てて説明してあげても良かったんじゃないのか?


とか思ってしまうんですけれどね…。


その懸念材料だけで亡霊になってたと言われればそうなのかもしれないけれど、


どうも納得が行かないと思うのは、亡霊という存在の定義が


日本のお化けと混同しているからとも思います。




この作品の素晴らしい所は何といっても映像美です。


世界の作り方がとにかく美しい。


特に、トーマスの城から降り注ぐ雪や落ち葉の素晴らしさと、


宣材寫眞にも使われている1Fに降りる為の階段の作り込み方は素晴らしかったです。


出てくる調度品や、アンティークだと思われるティーセットやベッドなど、


そのどれもが素晴らしいものであるのだろうと映像を通しても分かるものでした。


俗な言い方になってしまうけれど、ゴシックや退廃趣味のある方は見ていて楽しいと思います。


蝶と蛾の対比なども非常に心をくすぐられる表現でした。




この作品は映像作品として見るのをお勧めいたします。


信念とか道徳、哲学などを求める人にはあまりお勧め出来ません。


あと、ビックリ系のホラーが苦手な方もちょっとやめた方がいいかな?


驚きを緩和するために「来るよ…来るよ…」という間をくれていたりはするんですが、


やっぱり、ちょっとビクっ!とはしてしまう所が複数個所あるので。


ただ、それを置いてもこの時代を表現した映像作品としては一見の価値のある作品。


DVDよりも劇場の大きなスクリーンでこの世界を見るとかなり引き込まれます。


そして、こういう映画を見た後はビシッと美しいスーツを着たくなってしまいました。



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