テレビ観戦。
山中慎介、日本ボクシング史上最高記録タイとなる１３連続防衛のかかった一戦。
相手のネリは、無敗の２３勝（１７ＫＯ）。
勝負は分からない。
あくまで分からないぞ。
１Ｒ。
いい仕上がり。
いい感じにプレッシャーをかける。
ほぼ互角にも見えたが、プレッシャーでは挑戦者を飲んでた。
取ったでしょ。
２Ｒ。
いい左を喰らわせた！
あれで普通なら倒れてるでしょ。
倒れないしその後効いたそぶりも見せない。
ただ、右ジャブの速いのも当てて、クリーンヒットも数発。
取った！
終盤で食ったように見えた右は、スリップアウェイ（顔背けてダメージ逃がす技術）ですかしてる！
いい感じだ！！
３Ｒ
前半ＫＯが多いというネリ。
意を決したように、前に出て反撃。
慎介の左も当たる！
・・・よく立ってるなぁ、ネリ・・・。
しかしネリの積極的な猛攻は続く！
このラウンド取られたかもしれない。
そして迎えた４Ｒ。
さらに攻撃の手を強めるネリ。
キッカケとなったワンツーは、スローで見ても早く感じるほど完璧なタイミングだった。
フォローの右。
その後も続く猛攻。
「ガード上げろ！」と解説の声。
・・・上がらないんですよ！
ワケ分からない状態ですから！
「クリンチ！！」
それ俺も思う！！
けど本人もそれをビデオで見て感じるかもしれないけど、やってるとそれより先に
まずボクシングすることが優先になっちゃうんですよ！！
一方的になりかけたところで。
トレーナーの大和心、タオル投入。
「タオル早いよ！」と解説でも言われていたが。
早くありません。
・・・「早いストップなど、ない」んだ。
あのまま、もう少しくらいやらせても、たぶん大丈夫だっただろう。
そしたらそのうちの何割かの可能性で、逆転できた確率もある。
それは俺も見たかった。
本人もやりたかっただろう。
けれど。
それには、命の危険もかかってくる。
限界までやらせていたら、今もこれからも、ボクシングの犠牲者は出続ける。
もしかしたら勝てたかもしれない。
でも、命がかかっていたら、その時点でそこでストップだ。
たとえ本人がそれ分かっててそれでもなおやりたいとしても、だ。
トレーナー大和心の選択は、正しかった。
敗けた山中慎介。
・・・何も恥ずかしくはない。
日本人で一人を除き誰もこれまで誰も成しえなかった１２連続防衛をした。
十分歴史に残る偉業を成し遂げた。
よくやった。
立派だ。
・・・・と、思わないかい？
違うんだよ。
全然、違うんだ。
・・・・・。
ボクサーの価値観の最上部には、勝利がある。
そのためだったら文字通りどんなに大変でも、耐えられる。
その価値があるから。
どんなに、大変だろうと。
ボクサーの価値観の最下部には、敗北がある。
人生で、もっとも最悪なんだ。
どうしても嫌なことなんだ。
どんなに大変だろうと、それだけは嫌なんだ。
それがどの闘いだろうと、同じことだ。
・・・同じなんかじゃない。
自身これまで最高の注目を浴び、自他ともに認める、歴史のかかった一戦。
何 が 何 で も 勝 ち た い ん だ ！ ！
ALL or NOTHING
何 が 何 で も 負 け た く な い ん だ ！ ！
今、歴史の扉に手がかけられた。
それを開けた瞬間に見たもの。
・・・それが、人生で最も忌み嫌ってきた敗北なんだ。
・・・・・。
俺等から見て山中慎介は、十分、十～～分素晴らしい結果を残したじゃんか。
けど、今の本人からすれば、ナッシングなんだ。
何もないんだ。
なくなったんだ。
少なくともリアルな今現在は。
時が流れてから、分かってくる部分もあるんだ。
今は無理に「素晴らしいことをしたんだよ！！」って言い聞かせる必要もない。
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