デスティニー 【第2章 17話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

☆速水綾

シャキン、シャキン・・・


どんどん、頭が軽くなっていく。

畳の上に何枚も敷かれた新聞紙。

その上に、ぽつんと置かれた椅子に座る私。

鏡は見たくないから、膝を抱えて俯いている。


・・・・私、どうしようかな。


もし、新潟に行っても・・・輝の事をずっと好きでいれるかな。


・・・あっちで、どうしてたらいいのかな。


・・・・私、



私は―――――


「綾」


・・・・


「・・・綾?」

「・・・・・・・・・・えっ!?あっ、ごめん・・・!」

「いや、別にいいんだけど・・・こんなもんでどう?」

「え?――――――」


驚いて前を向くと、そこにはショートカットの女の子が座っていた。


「えっ!?」



・・・うそ、これ・・・私?





―――ミディアムロング。


これ以外に、あう言葉が見つからない。


今まで腰まであった私の長い髪は、肩につくかつかないかまで切り上げられていた。

しかも段がついていて、顔の輪郭にかけてだんだん短くなっていく。


「・・・・こう・・・」


「え、嘘マジ?だめだった?マジかよ!!謝っても謝りきれないけどごめ――――」

「ありがとう!!!!!!」


「・・・・え?」

「輝マジ天才!!超気に入った!!あったまかるーい!!!あははははは!!」


「え、ちょ、綾――――ってうぉっ!?」


私は輝にがばっと抱きついた。


ありがとう、これで。


やっと、振っ切る事が出来たよ。



***







☆津川輝

ショートカットになってはしゃぐ綾をみて、どこか寂しく感じている自分がいた。

それは、髪がなくなった…とか、そういう理由じゃなくて、

無理にはしゃいでいるようにも見えなくもない、

というのが一番の理由かもしれない。


***


チリリリ、チリリリ…

部屋に備え付けの電話が鳴った。

受話器をとると、受付からで、

予想通り朝ごはんの用意ができたとのことだった。

多分他のやつらんとこにも電話が来てるはず…

綾は慣れない長さの髪を頑張って結ぼうとして、悪戦苦闘していた。

「ちょっと廊下出てみるか…」

がちゃ、とドアを開けると、案の定みんなが廊下に出てきたところだった。

「お、輝も朝飯行くか?」

…こいつ。

昨日の夜満喫しやがったな…

「…おぅ」

「あれ?綾は?」

これまた上機嫌な亜衣が訪ねてきた。

「ああ、俺が髪切ってやったんだけど、慣れないから結ぶのに悪戦苦闘して――」

「「髪切ったああああああ!?!?!?」」

「ちょ、おま…輝…」

「あ、綾に何してくれてんのッ…!?!?」

「はぁ?!お前ら、ちょっと――――」

気づけばもうドアを破壊する勢いで部屋に飛び込んでいる亜衣。

「綾!?だいじょ―――」

―――時が止まったかのようだった。

窓から差し込む柔らかい日差しに、少し照らされた、綺麗な黒髪。

そして窓から入り込んでくるゆるやかな風に、髪がさぁっと揺らめいた。

「―――あ…え?みんな…?」

「あ、綾――…髪…」

「あ、気づいてくれた?!輝が切ってくれたんだよ!!輝天才でしょ―っ!?」

「…綾、天使みたい」

「…え、あ…亜衣?」

「うんっ!!輝天才!!やっるじゃんっ!!」

「え?あ――ありがとう…?」

「ね、優斗っ!」

「あ、ああまぁ…あ、ああ…亜衣には負けるけど…なっ?!」

「なんだよそれ!?認めろよ!!」

俺もすかさず突っ込んだ。

「あはははは…っ!」

綾が、口を手で押さえてくすくすと笑う。

―――ほんと、綺麗だ。


本当に、天使みたいだ。


***