「思考と直覚」人間の霊魂を思考/スピノザ16
Size-Zero、ユークリッドの「原論(Elements)」の「Zero」の定義から始まる「一点」、部分をもたないものとして定義され、一見しては「点とは部分のないもの」全体に対しても比較比肩しようとしても出来得ないものとしての定義付ける。此の「定義」を認めれば、「点」を幾ら集めようと大きな点どころか原点である幾何学上の原点は論理上には存在しても「Point Mark」に過ぎず、世界のものとして質量どころか見えざるものとして理論上或いは仮空便宜上には存在はするが姿形を持たない。それでも、世界の汎ゆるところに偏在する。ハイデッガーの「神の見えざる手」、世界の「理(ことわり)」を観想させます。無定義語の「部分」を使って、「点」とは部分を持たないにも関わらず、元のものの部分であるとするならば、点には部分があることになり、これは定義に矛盾を抱え(かかえ)ます。其のこと故に、「点」にはサイズが持ち得ないことになります。「在って無き存在」、「無と有」を離れた存在、「夢有」である仮想現実の世界です。ユークリッド幾何学は「サイズのない点から始まる幾何学」、「サイズのない点からなる幾何学」、詰まりは「大きさを持たない点の幾何学」です。ユークリッドの幾何学は「点」から始まり、点を集めて線が、線を集めて面が、更には其処から様々な姿形が創出することになります。世界創造の凡そ汎ゆる個物の出発点にあるのがサイズのない点なのです。スピノザは此のユークリッド幾何学の演繹法を人間存在に取り入れることに成果を求めます。
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