今年度ラーニング・ラボの「基礎講座」では、
前半の大きなテーマを「グループワーク」にしています。
学習というと、どうも「個」で進めていく印象が強いように感じます。
もちろん学校や塾などの授業では一斉形式で行われることもありますが、それらはどちらかといえば、同じ情報を一斉に伝達するという目的のためにとられる形態だといえるでしょう。
学習者、一個人からすれば、周りに人がいようがいまいが、やることは変わらないですね。
最終的には個人が個人の力で受けるテストなどによってその成果が測られるわけですから。
その意味では、学校や塾などで行われるいわゆる「学習」というものの多くは、「個」の作業なのですね。
しかし、一方で、「個」と「個」が集まって、つまり、知恵や手数を合わせてともに「問題」の解決を図るという場面が、日常的な生活や社会での経済活動などでは多くあります。
学校などでは「集団生活」ということでそうしたチームプレーの素地を養おうとしているわけです。
さらには、そうしたチームプレーに関しては、最近は教科の学習面でも重要性が盛んに叫ばれています。
実際に、様々な実践が行われているのを見聞きすることもあります。
まぁただそれも意識ある一部の人が行っている研究、開発段階のものという印象で、数量的にはまだまだ一般的なものではないかもしれません。
もちろん授業の一場面で班活動などを取り入れているという場合もあるのでしょうが、社会生活におけるチームプレー、グループワークとは質的に異なるものも多いような気がします。
というわけで、最終的な答えの出どころが「個」ではなく、最終的なゴールが「個」の成長というだけでなく、チームとして、グループとしてある一つの「答え」に共同でたどり着いていく体験をもっともっと増やすべく、「基礎講座」で「グループワーク」を実践しています。
くじ引きで偶然に任せて組んだチームなので、コミュニケーションを図るため、まずはゲームのような実践をくり返している最中です。
最初は、ことばの意味を答えるクイズ。
意味が分かりそうでわからないコトバを選び、その意味と似たような(あり得そうな)ダミーの意味を3つ用意し、4択のクイズを作り、相手チームが答えられるかどうかを競いました。
辞書などを活用しコトバを選ぶ作業で、しかも、なかなか言葉の意味がわからないようなことばですから、いつも以上に言葉に対して敏感に反応することが求められる状況です。
当然グループでいくつかの問題を作成しますから、その際にコミュニケーション(交渉・説得・妥協などなど)を図り、グループとしての意志を統一していきます。
こうした実際に意見交換をしながらある一つの「答え」に向かう作業はその過程で実に多くの気づきを与えてくれます。
もちんろんそれははっきりと「これ」と明言できるものもあれば、何となく皮膚感覚的に「つかんだ」というような気付きもあります。
その点が「短期的」な「数量的」な「成果」として見えにくい部分で、なかなか難しい所でもありますね。
塾などの教育機関では、やはり「成績」とか「テストの点数」というハッキリわかる数値を求められることが多いですから、
「ハッキリと短期的に成果が現われない、でも大事なこと」
に、あるいは、数値的ではない部分での成果にきちんと目を下り、価値を認め、子ども達を評価して下さる姿勢がないとなかなか難しい実践ではあります。
でも、そういう皮膚感覚的なつかみの連続的体験が、実は学習においても大変重要なものであります。
さらに、次の時間には、「漢字の熟語しりとり」を行いました。
2文字以上の熟語の最後の漢字を使って、新たな熟語を見つけていくという単純ですが、意外に奥深い作業です。
解答を調べる時間やグループ内で意見調整する時間として1分を用意しましたが、そうした制限のある中で的確に問題を解いていく、しかも複数人で協力して・・・
やはり、実際に他者とこうした行動をすることで、自分の様々な特性が浮き彫りになったりもしますから、他者を経由して、自分をふりかえることにもつながります。
この実践では、比較的無難な漢字で進み、それほど差は出てこないかと思っていましたが、意外に、短時間で難しい漢字を探しあてる人もいて、すぐに答えが出せず決着してしまう場面もしばしばみられました。
なかなかに盛り上がりました。
もう少しチーム内の意思疎通を図ってから、本題の「グループワーク」へとつなげていきたいです。
さてさて、今日の「基礎講座」ではどんな「ゲーム」をしますかな。。