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カテゴリ

2016.10.21
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カテゴリ:SF小説

ある夏の日に Hope-10 memories


「信じられない・・・」
「本当だって!種明かし、しようか?」
「要らない。そのままを話してくれればいいの!」

ヨーコの指先が、テーブルの上を叩きはじめた。
これは彼女が発信するサインで、もう待てない、という意味である。

「お、おう分かった・・・あのあと、俺が起き上がる前に顔見知りの
おばちゃんたちが駆け寄ってきてね、『勇ちゃん、大丈夫?』って血
相変えて、どこか怪我をしてないかチェックを始めたんだ」
「当然だね。目の前で顔見知りの子供が、そんなところから落っこち
たんだもの、焦っちゃうに決まってる」

一応同意して頷いた勇一だが、

「ところが、だよ。心配そうにしてたおばちゃんたちが、一転して笑
いだしたんだ。俺、訳が分からなくなってさぁ・・・そしたらおばち
ゃんたちみんなで、俺の頭を指さしながら更に笑うんだ!」
「何、それ・・・」
「だろ!俺、何が何だかわかんなくてさぁ、キョトンとしてたら、一
人のおばちゃんが『勇ちゃん、頭にウンチが付いてるよ』って、そう
言うんだよ」

「ウンチ?・・・」
「俺もあの時理解できなかった。何故だか、臭わなかったし・・・だ
から頭に手をやろうとしたら、おばちゃんたちに止められて、貯水タ
ンクの脇にあった井戸まで連れてかれた。そこで『頭を下げてて、水
で洗い流すからね』って、どうして?って聞く間もなく、水と一緒に
何かが流れ落ちてきて・・・それがウンチだったんだよ~!」

「えー!何それ!・・・」
「だろ!もう、どうしようもなくパニクってる俺に、おばちゃんが教
えてくれた。『勇ちゃんが落っこちた所に、いい具合に乾いた犬のウ
ンチがあったんだよ。柔らか過ぎたらクッションにならなかっただろ
うけど・・・良かったねえ、ウンが良いよ』ってまた皆で大爆笑した
んだぜ・・・」

ヨーコが吹き出し、声を立てて笑いだした。

「なんだよー!ヨーコまで・・・」

ヨーコは、顔を真っ赤にして、苦しいのか可笑しいのか分からない態
で笑ってる・・・

「ごめん、ゴメン!あんまり出来過ぎた話だったからさぁ・・ヒー!
・・・だって、犬のウンチがクッションになって、怪我しなくて、ウ
ンが良かっただなんてっ!あ、苦しい~!」

面白くない!俺は立って台所に行き、よく冷えた缶ビールを手にして
リビングに戻った。

あれ?さっきまで涙を流して笑っていたヨーコが、大きく目を開いた
まま固まっている。

「どうした?」
「犬の恩返し・・・」え?「犬の恩返しよ、そうじゃない?」
「・・・・・・・・」

(恩返しだったのか、あれも・・・これも・・・)

勇一は、小3の時から今までに自らの身の上に起きた「不思議」を想
い返してみることにした。







今日の好きな曲は、バフィー・セントメリーの
「サークル・ゲーム」です。映画「いちご白書」の主題歌として
有名でした。震えるようなビブラートが不思議な魅力で、ラジオ
の深夜番組に良くリクエストしてました。
Carlen Emma Floenさま、Upして頂き、有難うございます。






いつも応援ポチを有難うございます。
今日もよろしくお願いします♪

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最終更新日  2016.10.21 02:32:47
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