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カテゴリ:SF小説
ある夏の日に Hope-10 memories 「信じられない・・・」 「本当だって!種明かし、しようか?」 「要らない。そのままを話してくれればいいの!」 ヨーコの指先が、テーブルの上を叩きはじめた。 これは彼女が発信するサインで、もう待てない、という意味である。 「お、おう分かった・・・あのあと、俺が起き上がる前に顔見知りの おばちゃんたちが駆け寄ってきてね、『勇ちゃん、大丈夫?』って血 相変えて、どこか怪我をしてないかチェックを始めたんだ」 「当然だね。目の前で顔見知りの子供が、そんなところから落っこち たんだもの、焦っちゃうに決まってる」 一応同意して頷いた勇一だが、 「ところが、だよ。心配そうにしてたおばちゃんたちが、一転して笑 いだしたんだ。俺、訳が分からなくなってさぁ・・・そしたらおばち ゃんたちみんなで、俺の頭を指さしながら更に笑うんだ!」 「何、それ・・・」 「だろ!俺、何が何だかわかんなくてさぁ、キョトンとしてたら、一 人のおばちゃんが『勇ちゃん、頭にウンチが付いてるよ』って、そう 言うんだよ」 「ウンチ?・・・」 「俺もあの時理解できなかった。何故だか、臭わなかったし・・・だ から頭に手をやろうとしたら、おばちゃんたちに止められて、貯水タ ンクの脇にあった井戸まで連れてかれた。そこで『頭を下げてて、水 で洗い流すからね』って、どうして?って聞く間もなく、水と一緒に 何かが流れ落ちてきて・・・それがウンチだったんだよ~!」 「えー!何それ!・・・」 「だろ!もう、どうしようもなくパニクってる俺に、おばちゃんが教 えてくれた。『勇ちゃんが落っこちた所に、いい具合に乾いた犬のウ ンチがあったんだよ。柔らか過ぎたらクッションにならなかっただろ うけど・・・良かったねえ、ウンが良いよ』ってまた皆で大爆笑した んだぜ・・・」 ヨーコが吹き出し、声を立てて笑いだした。 「なんだよー!ヨーコまで・・・」 ヨーコは、顔を真っ赤にして、苦しいのか可笑しいのか分からない態 で笑ってる・・・ 「ごめん、ゴメン!あんまり出来過ぎた話だったからさぁ・・ヒー! ・・・だって、犬のウンチがクッションになって、怪我しなくて、ウ ンが良かっただなんてっ!あ、苦しい~!」 面白くない!俺は立って台所に行き、よく冷えた缶ビールを手にして リビングに戻った。 あれ?さっきまで涙を流して笑っていたヨーコが、大きく目を開いた まま固まっている。 「どうした?」 「犬の恩返し・・・」え?「犬の恩返しよ、そうじゃない?」 「・・・・・・・・」 (恩返しだったのか、あれも・・・これも・・・) 勇一は、小3の時から今までに自らの身の上に起きた「不思議」を想 い返してみることにした。 今日の好きな曲は、バフィー・セントメリーの 「サークル・ゲーム」です。映画「いちご白書」の主題歌として 有名でした。震えるようなビブラートが不思議な魅力で、ラジオ の深夜番組に良くリクエストしてました。 Carlen Emma Floenさま、Upして頂き、有難うございます。 いつも応援ポチを有難うございます。 今日もよろしくお願いします♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.10.21 02:32:47
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