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カテゴリ:SF小説
奇跡の4B アポイントメント 「モーツァルト侍従長は、とてもお忙しい方だ。いつも急にお訪 ねしては申し訳ない」 大バッハはそう言うと、コーヒーショップ・SIGHのオーナーに便 箋と封筒を借りた。 宛名はモーツァルト侍従長、本文内容は、いつもお世話になって いる事へのお礼の言葉。そして今まで突然王城をお訪ねして勝手 なお願いばかりしていることへのお詫びの言葉。 今度ばかりは、事前にアポイントメントを取らせていただきた く、この書状を持参してお返事がいただけるのであれば、城門の 前にてお待ち申し上げる旨を認めた。 書き上げた便箋を封筒に入れて、いつも持ち歩いているショル ダーバッグにしまい立ち上がる。 一緒に立ち上がろうとする3人に両手で、そのままでとの仕草を して見せて、 「そのまま、そのまま・・・夕方までには戻れると思うがここで 待っているかい?それとも・・・」 ベートーヴェンが立ち上がって 「先日のように私の家でお待ちしております」 そう言って後の2人を振り返ると嬉しそうに頷いた。 カウベルの音がしてドアが閉まりバッハの大きな背中が見えなく なった。 バッハは王城の門の前に見慣れた顔を見つけた。急ぎ足になって 歩み寄るバッハの姿をあちらでも認めたようである。 「これはホフマン警備主管どの!お久しぶりです」 「やあ、これはバッハさん、それほど久しぶりでもないと思いま すが・・・今日はまた何かご用件がありますかな?」 「はい、実はモーツァルト侍従長にお伺いしたい事がございまし て、しかしご安心ください今回はアポイントメントを頂く為に参 上致しましたので」 ホフマン警備主管の顔に和やかな笑みが浮かんだ。 「それは大変結構なことです。いつもそうして頂くと・・・ いや、これは王城の警備を任された者として余計な・・・いや 王様を御護りするにあたって支障をきたすことの無いようにと 、そういう意味です」 バッハはホフマン警備主管に負けないくらい複雑な笑みを浮かべ て封筒を差し出した。 ホフマン警備主管が城内に入ってからおよそ20分が経過した。 王様や侍従長にお会いした後はいつもそうであるが、ホフマン警 備主管はやや緊張した表情を浮かべたまま通用門に 姿を現した。両手で保持していた1通の手紙をまるで貴重品を扱 うようにバッハへ手渡した。 「その中に記された時間で宜しいか否か、お尋ねするように仰せ つかっておりますが・・・」 既に開封し読み始めていたバッハは、明日午後2時に、とあるの を確認して、 「全く問題ありません。よろしくお願い致します、と侍従長さま にお伝えください。お世話になりました」 明日午後2時に会って下さるとのアポイントメントを頂いてベー トーヴェンの家にたどり着いたバッハは、もう既に明日の結果が 望みどおりになると思い込んでいるようで 「やったよみんな!明日会って下さるそうだ!!」 バッハの勢いが乗り移ったのか、全員が交互にハグして 今日のベートーヴェン家はお祭り騒ぎである。 毎日暑い日が続きます。せめて音だけでも涼やかに♪ クリストファー・クロスで ニューヨーク・シティ セレナーデ です♪ Thank you coto.pops music for up this song. いつも応援ポチをありがとうございます。 今日もどうぞよろしくお願い致します。♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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