あなたといること 172 | ある日突然、東方神起sec

ある日突然、東方神起sec

ある日突然、東方神起からのお引越しです。

「おやすみなさい」
同じく一次会で帰る主任に挨拶。
タクシーを降りて手を振る主任に頭を下げる。

ひとりになって、走り出すタクシーの中。
後、10分くらいで会える…胸が苦しくなる。

ちょっと飲みすぎたかな。
打ち上げの中、男は園長と僕だけ。
そうなると、やたらお酌されて飲まされる。

「…ふぅ」
目を閉じて背もたれに身体を預けると、ユノさんの所に着く前に寝てしまいそうだ…

今日は何としてでもユノさんに会って確かめたいことがあった。

朝、挨拶した時はいつも通りだったのに…水族館ではよそよそしくて。
すぐ近くにいたのに、話も全然できなかった。

…僕、何かしたかな。
考えるけど、何も思いつかない。
ユノさんが近くにいることで、僕が浮き足立ってしまうから、嫌になった?

触れたい…
人目を気にしないで、ユノさんに触れたい…



「…お客さん、着きましたよ」
不意に呼ばれて、目が覚める。

いつの間に寝てた?
あわててお礼を言って代金を払う。
中途半端に寝たから、身体がきつい。

タクシーから降りて携帯を取り出す。
着きました…メールしよう。

マンションの方から人の気配がして、誰かが出てきた。
なんとなくそっちを見ると…

「ユノさん…」

優しく微笑んだユノさんが、僕を見つめてて…
「お疲れ様…」
僕に手を差し出してくれた。

そこにいたのは昼間のような、よそよそしいユノさんじゃなくて…僕が驚いて固まってると、僕の手を握って中に入っていく。

お酒がまわって、フラフラする。
ユノさんは、そんな僕のためにゆっくり歩調を緩めてくれる。
エレベーター、上へのスイッチを押すと、握っていた手を離す。

どちらとも何も話さない。
僕にとってはドキドキする静寂。

言わないと…
昼間のことを謝ろう。

ユノさんをチラリと見ると、じっとエレベーターの表示を見ている。

「…バス遠足の時、僕、何かしましたよね…ごめんなさい」
ずっと考えていたことをぶつける。

ユノさんが ゆっくりとこっちに振り向くと

…チーン

エレベーターが到着して、また前を向いて、中に入っていく。
僕も、置いて行かれないように乗り込むと、立ってることがきつい…壁に背中をつけてもたれる。

部屋がある階をユノさんが押して、僕の隣に並ぶ。

「チャンミンは俺に謝るようなこと、した?」
優しい声でのぞきこまれる。

「…それが…僕には、わからなくて…」
僕の心の中を見透かすような眼差しに耐えきれなくて、うつむく。

「…だったら、謝らなくていいよ」

思っても見なかった言葉に、ユノさんを見つめ返す。

「チャンミンはそんなつもりじゃなかったんだから…俺が考えすぎただけ」

そう言うと、ふっと笑う。

考えすぎただけ?
僕の態度に何か…昼間のことを思い出す。だけど…眠くて、考えるには もう限界だった。

「タクシー、誰と乗って来たの?」
また前を向いて僕に問う。

「主任です…同じ方向…だったから…」
もう、話すのもきつい…目を閉じた。

「…随分飲んだんだね、歩ける?」

エレベーターの扉が開くと、壁にもたれた僕の腰に手を添える。

「すごく、お酒つがれちゃって…」
歩くこともままならない自分に苦笑い。

「…来てくれてありがとう」
ボソッとユノさんが囁く。

僕が会いたいから来たのに…
嬉しくてはにかんでうつむく。

ガチャ…
玄関について鍵を開けるユノさん。

扉が開くと腰を支えてもらったまま、中に入った。

「…んんっ」

瞬間、壁に押しつけられる。
気づいたら、くちびるが重なってて…

甘い痺れが身体中を駆け巡って、崩れ落ちそうな僕をユノさんが支える。

吐息と水音…
深夜の玄関に反響して、ドキドキする。

「……はぁ」
くちびるを離したユノさんが、ため息ついて、おでこを合わせる。

ユノさんのくちびるの熱さに…
会いたいのは僕だけじゃなかったんだ。
嬉しくて、その腰に腕をまわした。


つづく


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