費用対効果を忘れた研究開発は、中国にとられるだけ。 | ”秋山なお”の美粒ブログ

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 CNTやグラフェンを代表するナノカーボン、電池、燃料電池の炭素材料、国をあげて素材開発や用途開発にしのぎを削っている。昔は、マルチウォールのカーボンナノチューブは、日本の化学品メーカーが製造していた。しかし、ほとんどが、縮小や撤退をした。なぜなら、コストが合わなかったからである。シングルのカーボンナノチューブも、その特徴をいかせれば、まだ、市場があるが、これも、費用対効果である。効果が価格を吸収すれば、成長するし、それができなければ、いずれ、縮小や撤退が生まれる。国が億単位のお金を投資しても、コストに見合うだけのものができない。確かに、素晴らしい特性がでる。しかし、価格に転嫁できない。新しいものを作ることに、集中するが、できたものがどれほどの費用対効果を現実の市場の中で、生むか、それを考慮していない。莫大な金を国は官僚的に投資する。しかし、できたころには、コストが高くてだれも買わない。使いたくても、お金がないからつかえない。それが、今の日本である。そして、使えないから、せっかく開発したものを、中国に製法ともども売り払う。中国は、開発費が不要だから、安く、多量に生産できる。それにかかわった日本人技術者も、数年、雇い入れる。しかし、数年後は不要となり日本に戻される。もどっても、職がないから、困り果てる。中国では、情報管理がないに等しいから、工場長が、情報をパクる。そうすれば、工場長が会社をやめて、董事長となり、同じ製造工場が近くにたつ、開発費、生産管理費、生産技術費が不要だから、更に、コストをさげて、量産できる。それが、日本に入ってくる。たぶん、その工場でも同じことがおきるから、どんどんコストは下がる。

 

 

 典型的なのは、あのシャープである。台湾の会社に技術が取られ、その技術が拡散する。技術革新からみれば、拡散したほうが、コストはさがって、消費者はいいが、国全体からみれば、ものづくりが斜陽する。当然にインフレなど起きない。豊かになった中国人や韓国人や東南アジアの人々は、やすいLCCをつかって、日本にきて、本来は、日本人が得たであろうお金を観光地やコンビニに落としていく。そのコンビニには、職を失った非正規の日本人が働いている。

 

 

 昔の日本人は、どれだけいいものを安くつくるかを考えて物事を設計し製造した。なぜなら、貧しくて、金がなかったからである。特に、太平洋戦争末期、戦禍が激しくなって、お金が欠乏しても、戦闘機は作らなければいけなかった。金がない中でも、頭をつかって、工程を工夫して、費用対効果のあるものを作り上げた。実際は、アメリカとの技術の差、国力の差があり、簡単に撃ち落され、多くの日本人が無駄死をしたが、費用対効果としては、トップレベルのものを作り上げたのは事実である。それだけ、日本のモノづくりの匠の技術は素晴らしいのである。愚かなのは、それを活かしきれない管理職なのである。いまでも、日本の現場での能力はピカ一である。だめにしたのは、経営陣であり、経営管理陣である。あの太平洋戦争が、あれほどの悲劇を生んだのは、大本営、上層部の判断ミスからである。

 

 

 伸びる会社、発展している会社は、生産技術がしっかりとしている。開発品も、現場主義である。どれだけ、安くつくるか、工程の無駄を省き、プロセス管理で、生産効率、性能をあげている。同じ材料でも、プロセスを変えたり、装置を変えたりして、性能を向上している。それは、現場がしっかりとしているからである。ものづくりで、いまでも、しっかりとしている会社は、生産技術が強いし、費用対効果のあるものであれば、どんどん、いいものを取り入れてコストを下げている。将来のマーケットをしっかりと見極めている。どこに、損益分岐点があるか、いつ利益がでるか、現実に即して、考えている会社は、いまでも伸びるし、これからも伸びていくだろう。

 

 

 世の中は矛盾だらけ、いつでもトレイドオフなのである。半導体、液晶等、どんどん、技術革新が進んだ。日本がリードしていた。しかし、マーケットはどんどん拡散していった。ものづくりは中国へ、中国でもさらに内陸へと拡散していった。どんどん、やすいものがでてくる。アマゾンや100円のダイソーをみれば、それがわかる。品質はもうそこそこ、後はコストだけの世界なのである。これはインフレにはならない。デフレなのである。インフレ時、設備投資の借金がいまでも、重たくのしかかっているのである。一番よかったのは、資産デフレの解消、ある意味、借金の棒引き、日航や金融機関の大手にやったことを、中小企業の製造会社まで拡大してやれば、日本は、これほど苦しまなかったはずである。日銀があれほど、お札をするのであれば、同じくらいの規模で、借金の棒引きをした方がはるかに、効率的であったはずである。結局、倒産したら、借金の棒引きをしたのとおなじである。そして、その倒産した会社の技術は、中国へと流れただけである。その分、日本では非正規がふえて、結婚できない人がふえて、少子高齢化が加速し、利益のある中国人が日本の土地を買い占める。無人島を買って、そこに中国の国旗を立てられたら、どうするのか。安倍首相はそれをよしとしているのか、疑問である。

 

 

 もはや、コストダウンも、一桁下げる時代になった。仮に、1000円/kgのものなら、同じ性能なら、100円/kgぐらいのコストダウンできるものでないと、市場は反応しないということである。もちろん、効果が、倍になったとすれば、500円/kgであれば、市場はうごくし、仮に効果が10倍になれば、1000円/kgでもいい。つねに、費用対効果ということになる。効果が10倍であれば、密度(量)は、1/10でいいし、パッケージも少なくてすむ。それでも、劇的に市場は反応するはずである。物づくり日本、本気で、モノづくりをこの国でやる意思があるのか、疑問である。50年後、100年後の未来、この国の若者は、どうなっているのかである。どうも、森友等の動きをみれば、内閣総理大臣の器量の良しあしで、この国の未来が決まるような感じである。