花びん
女中のマリーが、旦那さまの大切にしていた日本製の花びんをこわした。
「おまえは、わたしが、いくらいっても不注意が、なおらないね。お仕置きをしてやるから、こっちへきなさい」
旦那さまは、マリーを書斎へよびいれ、お尻をまくってぶとうとしたが、マリーも年ごろ、肉づきのいいお尻のなまめかしさに、ついフラフラとなって、ぶつのとは、まるでちがった方法で、お仕置きをしてしまった。
あくる日、奥さまの留守に、書斎のトビラを、コツコツとたたくものがいるので、「だれだ?」
と、旦那さまが、ドアを開けると、恥ずかしそうに、マリーが、立っていた。
「あの・・・旦那さま、今日は、シナの花びんを、こわしてしまいました」
西洋風流小咄集 より