インターネット情報の弊害 | 医療とバレーボールとアメリカ留学記

医療とバレーボールとアメリカ留学記

2016年5月9日からアメリカオハイオ州のオハイオ州立大学に留学することとなりました。日本では埼玉の大学病院でリウマチ膠原病内科医をしていました。冨永こよみ選手を中心に上尾メディックスを応援しております。これからは基本的には留学中の日記が主となります。

今日朝患者さんの回診をした時のこと。

自分の病気を電子辞書で調べたら診断後1年以内の死亡率が34%というのを目にしてしまい眠れなかったとのこと。

確かにその電子辞書にはそう書いてあった。

しかし、私がここまでその病気を診てきた印象としてそんなに死亡率が高い印象はなかったので、明らかにおかしいと思った。

でも、患者さんの不安がぬぐい去られる訳ではないですし、そのまま不安な気持ちを持ち続けさせる訳にもいかなかった。

私は一通り自分の仕事を終えた後に急いで論文を検索した。

結果、今年論文で発表された最新の報告を見つけ、その研究では治療後半年で約50%の人は病状が改善し、そのうち約30%は完全に病状を抑えることが出来、死亡率については1年では10%前後で5年間で約25%というデータを出していた。

それでも、比較的大きな臨床試験ではあるものの、強い根拠を示すほどではなかったのだが、患者さんを安心させる意味で、英語の論文だったが、それを持って行って説明し安心していただいた。


今の時代は病気を診断されたり検査の異常があった場合は、ほとんどの患者さんはインターネットで病気や検査のことについて調べるであろう。

特に、最近はスマートフォンで簡単にインターネット接続でき検索も簡単なのでなおさらである。

それは、自分の病気や検査の知識を深める意味で時として有効だが、インターネットの情報は何でも書いてあるだけに怖いことも書かれていたりする。

それが稀な内容であっても、人というのは最悪なケースを考えるので、そういうものを見てしまうと不安になるのは仕方ないと思う。

また、医学的な内容は解釈が難しいことがあり、さらにインターネットの一般人向けの情報は理解自体はしやすいことから、誤解して解釈してしまう危険性がある。


これらについて我々の立場からすると、何でもかんでも外来の現場で説明するのは困難であり、理解を深める意味で調べることは構わないのだが、もし分からないことや不安なことがあったら質問して欲しいと思います。

そして、インターネットの医学情報は必ずしも正しくないこと、仮に正しくても解釈の仕方次第で真実とは全く異なる受け止め方をされる可能性があること。

私のブログでは、体調が悪ければ病院に行って下さいというのが基本的な姿勢ではありますが(そもそもすぐに返事を返せないので)、もし自分が診断された病気のことや検査のことなどで、インターネットで調べた情報について相談したいという希望がありましたら遠慮なしにご連絡下さい。


(本日はアメンバー限定記事はありません)



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