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集中力が続かない。。


もっと集中力があれば

いろいろなことが上達できるのに。。



このような悩みは、

誰しもお持ちではないでしょうか


何に意識を向けているかは

脳の活動状態で分かります


先ごろ発表された論文によりますと、

脳の活動をリアルタイムで計測して

それを元に自動的に課題の難しさを

調整することで

集中力を挙げられたそうです


その論文を簡単に紹介しましょう


deBettencourt MT, et al. (2015)
"Closed-loop training of attention with real-time brain imaging"
Nature Neuroscience.
[Epub ahead of print]
doi:10.1038/nn.3940



PubMed



被験者:80名
(男性35名、女性45名、平均20.3歳)


被験者は、モニターに映った画像で

反応を変えるように指示されています


モニターに映し出されるのは

「顔」(男性 か 女性)と

「風景」(屋内 か 屋外)

の写真が重なった画像


集中3



「顔」と「風景」が重なっていますが、

どちらが強いかは

試行によって異なります


最初、モニター上に「屋内」

といったように文字で表示され、

重なった画像のうち、

着目する方が決まります


続いて、

「顔」と「風景」が重なった画像が

1秒ずつ表示されて、どんどん

違う画像に変えられますが、

最初に文字で示されたカテゴリの

画像(「風景」)が指示されたもの

例えば、屋内なら何らかの反応をして

屋外なら反応しない

というようにしてもらいます


論文には、具体的な反応について

はっきりと書かれていませんが、

yes と声に出してもらったり

指を動かしてもらったり

だと思います


「屋内」と表示されたときは

「顔」の画像が邪魔になりますので、

「顔」が強く重ねられた画像では

弱く表示された「風景」が

屋内なのか屋外なのかという

判別が難しくなります


「風景」なら、屋内か屋外か、

「顔」なら、男性か女性かといった

どの画像に反応するかは

被験者によって、予め決められ

実験の間、変わることはありません



ここからが大事です



その課題をやっている間の

脳の活動を fMRI で計測します


そして、

「顔」の画像を判別しているときと

「風景」を判別しているときの

それぞれで、脳の活動の典型的な

パターンを抽出します


そして、

トレーニングでは

課題中のリアルタイムな

脳の活動パターンを

課題の難易度に反映させます


集中1


上の図では、「風景」の画像を

判別しないといけない状況です


横軸は、試行回数を表します


最初は、「顔」と「風景」が半々の

強さの画像ですが、

10試行くらいで

脳の活動パターンで「顔」が

強くなっています


「風景」を判別しないといけないのに

「顔」に意識が向いている

ということがわかります


集中力が欠けた状況ですね


なので、

「風景」に意識を向けるように

難易度をあげるため、

以降の試行では「顔」を強くします


10試行から20試行あたりですね


すると、

頑張って「風景」を判別しようとして

20試行くらいで

脳が「風景」の活動パターンに


それに伴い、画像も「風景」を強く

していきます


よしよし、ちゃんと見ているな

という感じで



脳の活動パターンが

判別しないといけないものから

逸れていくと、

課題を難しくして

暗に集中を促すわけです



このトレーニングをすると、

リアルタイムな脳の活動で

課題の難易度を調節しなくても、

判別の成績が上がったとのこと



被験者のリアルタイムの脳活動から

何に意識が向いているかを抽出して

その情報を元に課題の難易度を

調節するというトレーニングで、

集中力がアップした、というわけです



この実験のままでは、脳の活動計測に

fMRI という大掛かりな装置を

使っていますので、

このトレーニングをご家庭で簡単に

というわけにはいきません


ならば、簡便な 脳波 や NIRS なら

どうかと言いますと、それらは、

脳の表面付近の活動しか計測出来ず、

今回の実験でも

脳の深いところが関わっていた

ようですので難しいところです


今回と同様な実験で

脳の活動パターンを脳波で計測して

同じ結果が得られるようになったら

一般に普及するようになるでしょう



実際の脳活動をリアルタイムで計測

しながらの、注意力強化プログラム


なかなか強力なツールになると思います




(おしまい)




文:生塩研一




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