俳優諸君、本を読もう!!
俳優に必要な要素はいくつもあるが、ストレートプレイを演りたいなら、戯曲分析は必ずしなければならない。
私は最近日本では「役になるために」に重点を置いたワークショップをすることが多い。
その中に、とっても時間のかかる戯曲分析のセッションが入っているのだが、いつも思うのは
「ああ、もっと先まで進みたいのだけれど、ここで時間がかかるのかあ、、、残念!」
ということ。
イギリスのナショナルシアター・ライブがもてはやされる昨今、どうやったらあのイギリス人俳優のような演技ができるのだろう、という声をよく聞く。
あの演技は、俳優としての才能とセンスがあれば、訓練すれば大抵の俳優がたどり着けるところだ。
俳優になるために生まれてきたような数パーセントの大天才は別として、イギリスでは、演劇界を支える中間層の職人俳優が、まあ、多勢いる。
イギリスではこの分厚い層が、演劇を深く幅広く愛される存在にしている。
彼らはかなり訓練されていて、稽古場に行く前に戯曲分析もちゃんと自分で出来る俳優たちだ。
他の国のことはよく分からないが、イギリス人はとにかくおしゃべりが上手。
ウィットに富んだ会話ができると、社交でもてはやされる。
アイルランド人になると、イングランド人が脱帽するほど、さらにチャーミングな会話が飛び交う。
子供の頃から、家庭でも学校でも、大人に混じって、政治やその時話題になっているニュースを聞いたり、ディベートの練習、論理の筋道をたてた論文の書き方など、みっちり仕込まれる。
こういう文化や社会だったら、戯曲分析もそう難しくないだろうとは予測できる。
でも、メイド・イン・ジャパンの私も戯曲分析をする。
思い起こせば、子供の頃はかなりの量の本を読んだ。
一日一冊のペースで読んでいたこともあった。
よほど物語に飢えていたらしい。
おかげで「本を読む」脳みその部分が発達したらしく、分析力と直感で、物語の核心に、大抵はズボッと突っ込むことができる。
これができると、俳優としても、教えていても、また、最近少しずつ増えてきた演出の仕事をしていても、なかなか揺らがないのだ。
大人になってからでもまだ間に合う。
よく書かれた戯曲、小説、時の洗礼を受けて今なお残っている物語、映画、芝居、etc どんどん読んで、観て、この感性を磨こう。
俳優諸君、本を読もう!