【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =78=

2017-03-18 12:37:49 | 浪漫紀行・漫遊之譜

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 北極・南極、アァー 素敵な地球のはて =田邊優貴子=  ○

= WEB マガジン ポプラビーチ powered by ポプラ社 より転載 =

◇◆ 南極から北極まで旅する鳥 = 1/3 = ◇◆

   「よし、ちょっとあの海岸まで行ってみよう」 晴れ上がった深い青空が眩しい夕方だった。 夕食をすませたあと、小屋の裏手に広がる海岸に出かけることにした。 部屋の窓から見渡せるその砂浜。 気になる鳥がその辺りでヒラヒラと飛んでいるのを、私はいつも双眼鏡で眺めていた。

  ここは北緯79度に位置するニーオルスン。 2010年7月9日にここへやってきてから、まだ1週間。 3か月前、南極から帰ったばかりだった私には、この高緯度に位置する北極のツンドラの大地は、何もかもが豊かに見えてしかたなかった。

 南極で原野を歩くときには、ほんの少しのコケ群落でさえとても貴重な存在で、その緑色を驚くほどまぶしく感じる。 南極で出会う色といえば、白、青、茶、赤茶、オレンジ、黒、薄紫、赤、褐色……。 赤茶けた荒々しい大地を歩いている最中に、突然、めったに見かけない緑色が目に飛び込んでくると、本当に新鮮でまぶしく、心が踊るような気持ちになる。 だから、日本にいると気にも止めない少しのコケでさえ、絶対に踏むことのないようとにかく注意して歩くのである。

 そんな感覚がまだ消えぬ間に北極へ降り立った私は、はじめはどうしたものかと戸惑った。 というのも、ツンドラの大地は一面ふかふかのコケや花のカーペットで覆われているからだ。 どこを歩いても踏むことになり、決してよけて前に進むことなどできない。

  昭和基地の緯度は南緯69度。 それと比べると、実はここニーオルスンは10度も高緯度にある。 しかし、周囲を取り巻く暖流のおかげで、昭和基地周辺よりも気温は高く、植生も豊かになっているのである。 そういえば、南極や北極で野外調査をしているというと、人からよく聞かれることがある。
 それは、「ご飯はどうしているのか?」というもの。確かに端から見れば、これは素朴な疑問なのかもしれない。 このニーオルスンでは南極での野外調査と違って、自分たちで朝・昼・晩の食事を作る必要がない。

  南極でも昭和基地に滞在していれば、調理担当の隊員たちがおいしい食事を作ってくれるのだが、基本的に3名程度の少人数で野外の小屋、もしくはテントに長期滞在しながら調査をする私は、残念ながらほとんどその恩恵に授かることはない。 すべて自分たちで作らなければならないのだ。

  ほぼ毎日白米を炊くし、鍋の日もあれば、豚生姜焼きの日、お好み焼きの日、パスタの日、麻婆豆腐の日などさまざま。 あまりにも調査と作業が忙しい日はレトルトカレーや牛丼、ラーメンになることも多い。 牛肉がふんだんに支給されるおかげで、最終的には特別な調理スキルを必要としない焼肉やすき焼きばかりが増えて、もう肉はいや……と少し贅沢な悩みを抱えることになる。 もちろん水道などないので、水は近くの沢か湖まで、20リットルのポリタンクを背負って汲みに行く。

  とにかく、南極の野外調査での食事は、毎回自分たちで好きに作るという雰囲気なのだ。 とは言っても、さすがに3名だけで食事を作っていると日が経つにつれて少し飽きてくる。 そんなとき、昭和基地の食事はどんなものだろうかと想像して、羨望することもある。 調理担当の隊員は日本でシェフや板前を生業にしている人たちなので、聞くところによると、日本で普段食べているものよりもおいしい食事が日常的に食卓に上るらしい。

  野外調査をしながら食事を毎日作るというのは、それなりに負担が大きい。 忙しいときには特にそう感じる。 その点、ここニーオルスンでは最初に入村の手続きをした村の中心にある建物に行けば、食事をとることができる。 自分たちで食事を作る必要がないので、研究者にとっては非常に有り難い。 その分、集中して調査に時間を割くことができるからだ。

 食事はバイキング形式になっていて、チーズ、スモークサーモン、クッキー、オレンジジュース、牛乳、コーヒー、紅茶などは毎食必ず置いてある。 

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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