2017年7月7日金曜日

挟殺プレーを成功させるために(後編)

さて挟殺プレーの後編です。

(前編を読んでない方は合わせてご一読を!)

後編は、

なぜ挟殺はミスが多いのか?
どうすればミスは減るのか?


について掘り下げて考察してみたいと思います。
長文ですがお付き合いください。


⑴ 挟殺か始まったら最初にやることは?
挟殺が始まったらまず最初にやるべきことは一体何でしょう?

(よく子供たちにも質問します。)

正解は、

「ベースカバー」と「バックアップ」です。
挟殺は突然始まるため、思わず足が止まって傍観する子が多いのですが、初動が遅れるとその後のプレーが準備不足(準備遅れ)となりミスの原因になります。

したがって、

挟殺が始まったら、

「1秒でも早く、全速力で、ベースカバーとバックアップ!」

これが基本中の基本だと心得ましょう。


⑵ 最初にボールを持った子はどうするの?

挟殺がキレイに決まるか否かは、最初にボールを持った子の動きによると言っても過言ではありません。そしてその動きは状況により異なりますので、これが挟殺を難しくしている理由でもあります。

パターン別に整理すると、

①ランナーが自分に近い場合…
ランナーが自分に近い場合は、全力でランナーを追いかけましょう。
そして塁間の中間地点までに追いつければ自分でタッチアウトを狙い、塁間の中間地点を過ぎても追いつかなければ、深追いはせずに受け手の野手にボールを投げ、そこで「一発タッチアウト!」を狙います。

まあ100パーセント追いつく確信があれば深追いしても良いのですが、90パーセントくらいしか自信が無いならば、中間地点を目安に送球して受け手にタッチアウトをして貰った方が確実です。

ちなみに自分でタッチすることだけを考えてしまうと、ランナーの方が足が速い場合は追いつけずにセーフにしてしまいますし、

最初から送球することを前提に力を抜いて追いかけると、追い込みが弱くなり楽にランナーは切り返しが出来てしまい「一発タッチアウト」が狙えなくなります。

したがってまずは全力でランナーを追いかけて自分でタッチアウトを狙いつつ、無理な場合は適切なタイミングでボールを相手に投げて、受け手に「一発タッチアウト」をしてもらうという二段構えの作戦が良いと思います。



② ランナーが自分から遠い場合…
ランナーが自分から遠く、逆に受け手の野手からは近い場合には、すぐに受け手の野手に送球しましょう。


そして一発タッチアウトを狙うか、受け手にランナーを追いかけて貰います。


例えば投球をキャッチャーが捕球した時に、3塁ランナーか普段よりも2〜3メートル程度飛び出しているようなケースは、ランナーを追いかけるような動作はせずに一発でサードへ送球した方が確実です。

例えば1塁牽制でランナーが飛び出したケースも、ファーストが捕球した時点でランナーが2塁ベース付近まで走っていたら、ファーストは追いかけることなく一発で2塁へ送球しなければ間に合いません。

ランナーが自分から遠い場合、追いかけてから送球したのではタイミング的にセーフになることが多いので、「すぐに相手に投げる」ことが基本だと覚えましょう。



③ ランナーが塁間の中間地点の場合…
これが一番難しいのですが、基本的にはランナーの方向へ慌てずゆっくりと追いかけて距離を縮めることが必要です。

もしランナーが中間地点で引き続き立ち止まっていれば、徐々に加速してランナーを追い込み、自らタッチアウトを狙うか、送球して一発タッチアウトを狙います。

もしランナーが早い段階で逃げ始めたら、深追いせずに早めに受け手の野手へ送球し、一発タッチアウトを狙うか、そこから逆に追い込んでもらうようにしましょう。


このケースは、慌てず落ち着いてプレーすることがポイントです。

いずれにせよ、最初にボールを持った子とランナーの距離によって選択する対応が違いますので、その感覚を繰り返し練習して身体で覚える必要がありますね。



⑶ 何度も繰り返し往復しない方法は?

挟殺のときに何度も往復してしまい、送球ミスや捕球ミスで結局セーフにしてしまうのは、学童野球あるあるですね。

このミスを防ぐためのポイントは何でしょうか?

① 全力でランナーを追いかけること!
追い手が全力で追いかけるからこそ、ランナーは切り返しが困難になり、送球&一発タッチアウトが狙えるわけですから、まずは追い手が全力で追いかけることが必要となります。その際、送球することありきで追いかけるのではなく、まずは本気で自分がタッチするんだという意思を持って全力で追うこと。それでも間に合わない場合に、送球&タッチアウトに方針転換するという二段構えの考え方が重要です。

② 受け手が
送球タイミングを指示すること!
何度も往復を繰り返してしまう挟殺を見ていると、受け手側の野手が一歩下がりながら捕球していることがほとんどです。そのような動きでは、いくら追い手が全力でランナーを追い込んでも一発タッチアウトは狙えませんので、受け手側は一歩踏み込みながら(前にスタートを切りながら)捕球して、そのままタッチアウトを狙うことがとても重要です。これが出来ていないことが何度も往復してしまう最大の原因かと思います。

ここで大事なポイントは、なぜ受け手の子は一歩下がってしまうのか?という点です。

答えは、

追い手が投げるタイミングを決めているからです。


このプレーは受け手側の子が、ランナーの走るスピード、自分とランナーの間隔(距離)、追い手の送球技術などを計算して、追い手の子に投げさせるタイミングを指示しなければなりません。

「このタイミングであれば自分がスタートを切りながら一歩踏み出して捕球して、ドンピシャのタイミングでタッチ出来るぞ!」

ということを受け手側が判断し、追い手の子に適切なタイミングで「投げろ!」と指示するわけです。

受け手側の子が迷ったり、消極的になると、時機を逸してセーフになってしまいます。

挟殺の主人公は追い手ではなく実は受け手なんです。この原則を子供たちにしっかり理解させる必要があります。

ちなみに、ランナーが立ち止まると追い手の子も立ち止まり、またランナーが逃げると追いかけ始め…そしてまたランナーが止まるとふたり一緒に止まり…という光景をよく目にしますが、

これは、

追い手がダッシュで追い込み、
受け手の指示で送球するんだ

ということが、チームの約束事として共有出来ていれば防げるはず。

追い手が自分ひとりでやろうとするからそうなるわけで、あくまで挟殺は追い手と受け手の共同作業なんです。


⑷ 基本的な心構え

最後に挟殺を決めるうえでの基本的な心構えを書きたいと思います。

① 慌てないこと!
挟殺は不意に始まるため、どうしても慌ててしまいがちです。しかし慌てても良いことは何もありません。

挟殺が始まったら、

「まずはベースカバー!」
「次に落ち着いて!ゆっくり!」

そんな意識が大切だと思います。

特にベンチスタッフの声が無駄に子供たちを浮き足立たせることがありますので、大人はあまり大声を出さずに、穏やかに声かけするか、子供に任せるくらいが丁度良いと思います。

② 人任せにならないこと

子供たちの挟殺を見ていると、まるで導火線に火がついた爆弾を扱うかのごとく、すぐにボールを投げて(ボールから手離れして)、出来ればあまり関わりたくない…みたいな心理が見え隠れすることがあります。

それではダメですよね。常に主体者として能動的にプレーに参画しなければなりません。まあ、日頃の練習で自信をつければ大丈夫だと思いますので、まずは練習で自信をつけることが必要かなと思います。

③ 「自分中心」ではなく「状況中心」で考えること

状況判断が苦手な子は、状況に合わせてプレーを選択せず、自分中心でプレーしてしまいます。状況を見て、相手の立場に立ってプレーを選択出来るようになって欲しいです。これは挟殺に限らず、野球全般に関わる基本的な心構えかもしれません。



以上、長文になりましたが、挟殺の基本についてまとめてみました。


(実はまだ書けてない大事なことはありますが、疲れたのでおしまい笑)


全てを子供たちに説明したらおそらくパニックになると思うので(笑)、

やりながら少しずつ教えていきたいと思います。










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