四国こんぴら大芝居を観劇しました【2016年】

まずは、このたびの熊本地震に関しまして、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。
余震がおさまらず予断の許さない日が続いていますが、九州の皆さまが一日でも早くもとの生活に戻れますよう、願っています。

さて、2016年4月に香川県琴平町の金丸座で興行された第三十二回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」(以下、こんぴら歌舞伎)を観劇しました。
わたしが訪れたのは4月24日(日)の二部(夜公演)、千秋楽です。
gaikan

目次

金丸座での熊本地震義援金活動

4月の興行期間中に熊本地震が発生したことをうけて、こんぴら歌舞伎でも義援金の募集がおこなわれていました。
二部が開場するまでの時間に役者さんが扮装のまま出てきてくださり、声を掛けて義援金を募っていらっしゃいました。
「平成28年熊本地震災害義援金」募金活動のお知らせ(外部サイトへ)

千秋楽にいらっしゃったのは、中村鴈治郎さん、扇雀さん、壱太郎さん。
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途中から壱太郎さんは金丸座の前の広場を歩いて周り、義援金募集の声掛けをされていました。
わたしは開場待ちの列に並んでいたので、壱太郎さんが近くにいらっしゃった際に募金をおこない、記念にお写真を撮って頂くこともできました。
壱太郎さんは大好きな役者さんですし、快くお写真を撮ってくださって本当に嬉しかったのですが、きっかけとなった出来事が出来事ですので、少し複雑でもあったり。
少額ではありますが、募金したお金が少しでも被災地のお役に立ちますように。

なお、各地の歌舞伎の劇場でも義援金の募集がおこなわれ、博多座でおこなわれていたワンピース歌舞伎では、幕間の休憩時間に役者さんが義援金募集を呼びかけられていたそう。
自然災害が起きた際に求心力のある役者さんが積極的に義援金を呼びかけられるのは、観客と被災地双方にとって良いことのように感じました。
猿之助が博多座でお見舞い口上(外部サイトへ)

金丸座の平場の席に、座椅子が置かれるように

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以前金丸座に訪れたのが2年前、2014年のこと。

そのときの記事に、座席について下記のように書いていました。
2014年 四国こんぴら大芝居を観劇しました

ちなみに、金丸座の平場はマス席といって、通常は梁で四角く区切られています。この席のなかに5名ほどで座るのですが、いかんせん、昔の日本人よりも体が大きくなった現代人にはちょっと窮屈で…。
それが、今年はマス席を縦に区切る梁が取り払われていていました。ちょっとのことですが、これだけでも広々と感じますね!とてもありがたくて、楽ちんに観劇することができました。

今回もマス席を縦に区切る梁が取り払われていたのは同じですが、一席ごとに座椅子が置かれていました!どうやら2015年からこのかたちになっているそう。
観劇中に寄りかかることの出来る背もたれがあるのは嬉しいですが、その分、少し狭く感じるかも…
体格の大きい男性が(おそらく、案内役のお茶子さんの許可を取って)場所を移動されていたので、体の大きいかたには辛いかもしれません(´ω`;)

二部の上演作品と感想

それでは、作品ごとの感想を。
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あんまと泥棒

目が見えないあんまの秀市役に市川中車さん、あんまの家へ盗みに入る泥棒の権太郎役を片岡愛之助さんが演じていらっしゃいます。
NHKのラジオドラマを原作とした作品で、登場人物2人による会話劇です。秀市の立ち振舞や二人の掛け合いなど滑稽なシーンもあり、分かりやすく面白いお話しでした。

何より秀市役の中車さんがとても良い…!
人にはへりくだって接するけど、ひとりになるとブチブチと不平不満ばかり。お金だけを生き甲斐としている捻れた男を見事に演じていて、演技派俳優として活躍されてきた経験の厚さを感じます。
また、権太郎役を演じる愛之助さんにあわせて、権太郎を西の出身者という設定に変えたそう。こういったアレンジも歌舞伎の面白いところですね(^^)
中車さんのお芝居を堪能するために、もう一度じっくりと見たい作品です。

鷺娘

中村扇雀さんによる舞踊。人間の男と恋に落ちた鷺が娘に姿を変え、踊りで恋心を表します。
詳しい内容は下記サイトで解説されています。
鷺娘(外部サイトへ)

花道のすっぽんから登場し、白無垢姿で踊ったかと思えば、振袖に早変わり。恋する女性の色香を感じたり、娘らしく可愛らしく振る舞ったりと、女形の魅力を堪能できる一幕でした。
特に、鳥が羽ばたくような袖の動きがとても綺麗。最後には吹雪の中でもがきながら絶命するのですが、その姿も美しいです。
詩的でありながら、起承転結の分かりやすい舞踊でした。

封印切

『恋飛脚大和往来』という作品のうち、主人公の忠兵衛と恋人である遊女の梅川が心中を決意するまでを描くくだりを『封印切』と呼びます。
上方歌舞伎の名作で、前半は恋するふたりのラブラブなやりとりが面白いのですが、後半は一転、忠兵衛が触れてはならないお金に手を出してしまったことにより、悲しく辛い展開となります。(当時の横領は大罪)
詳しい内容は下記サイトで解説されています。
恋飛脚大和往来(外部サイトへ)

実は壱太郎さんを初めて拝見したのが、平成21年の松竹大歌舞伎(巡業)西コースの『封印切』でした。そのときに梅川を演じている壱太郎さんをみて、「なんて線が細くて綺麗な女形の役者さんなんだろう」と強く印象に残りました。現在ではお芝居や舞踊のお上手さも含めて、好きな役者さんのお一人です。
今回は梅川役を(当時と同じく)中村壱太郎さん、忠兵衛役を中村鴈治郎さんがつとめていらっしゃいました。前半のコメディタッチな忠兵衛と梅川の掛け合いでは息もピッタリで、思わず声をあげて笑ってしまうほど(^o^)

鴈治郎さんのお芝居を観ていると、喜劇も悲劇も巧みに演じられる方だなあと感じます。上方歌舞伎らしい柔らかな雰囲気をお持ちの役者さんで、襲名披露公演を通して大好きになりました。これからも見続けたい歌舞伎役者のおひとりです。

また、女将のおえん役の扇雀さんもよかった!
情が厚く、きっぷがいい女将といった雰囲気があり、いらっしゃると舞台が引き締まって見えました。

おふたりの演技のなかでも、最後の忠兵衛が旅立つ場面がとても印象的。
笑っているような、悲しんでいるかのような絶妙な表情をしながら去って行く忠兵衛と、その後ろ姿を観て何かを察しているおえん。
役者さんのお芝居の細かなところまでつぶさに分かり、一体感を感じられるのは、金丸座ならではの魅力だと思いまです。

カーテンコールのご挨拶も

わたしが見た回はこんぴら歌舞伎の千秋楽でしたので、お芝居が終わった後に鴈治郎さんがカーテンコールのご挨拶に出てくださいました。
(通常はカーテンコールはないと思います)

成駒屋ゆかりの金丸座で襲名披露公演をおこなえたこと、琴平町のみなさまのご協力への感謝を述べられ、こんぴら歌舞伎がこれからも50回、100回と続いていけばとお話しされていました。

余談ですが…
わたしは金丸座で歌舞伎を観るのが大好きで、歌舞伎の時期はできる限り琴平を訪れて観劇するようにしています。
歌舞伎がおこなわれるのは、琴平町など地域のみなさまのご協力があってこそ。
これからもぜひ続いていってほしいと、1ファンとして思います(^^)

定番の琴平町観光

歌舞伎を観劇した翌日は、こんぴらさんへお参りへ。
参道の木々が新緑で彩られていて、それは美しかったです。桜の時期のこんぴらさんも良いのですが、新緑も素敵ですね。
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緑を眺めながら参道を登っていたら、あっという間に奥社まで着きました。こちらは奥社に行く途中の写真。
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翌日には、筋肉痛に悩まされてしまいましたが…(^^;)それを差し引いても、価値のある光景でした。

お昼ご飯は讃岐うどんを食べて休憩。
参道にある老舗のうどん屋、虎屋さんでいただきました。わたしは天ぷらうどんを注文。
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コシのあるおうどんと、サクサクの衣の天ぷら。とても美味しかったです(*^o^*)!

お芝居の楽しさはもちろんですが、こんぴらさんへのお参りや、自然の美しさにも癒されるこんぴら歌舞伎。
未見の方はぜひ訪れてみてくださいね。

こんぴら歌舞伎に関する記事はこちら
四国こんぴら歌舞伎大芝居の魅力、おすすめスポット、チケットのとり方
四国こんぴら大芝居を観劇しました【金丸座のこと】

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