観劇日5月21日(土)初日 B席3階6列50番 先行抽選予約でもこの席・・・真ん中近いけど、後ろから2列目
とにかく凄い人気である。初日、土曜日の夜と言う事もあってかほぼ満席。グッズ売り場には開演前にも幕間にも凄い行列が出来、案内の人が、「今並ばれますと開演に間に合わないかもしれません」と言う始末。これはフランスから輸入したミュージカルである。この人気の訳は、去年宝塚で初演してそれが非常に好評だったからだと思われる。
会場に入ると、スクリーンに「1789」と書いた道具幕、と言うよりスクリーンがありその背景は雲が流れるようになっている。今回は生オケは無かった。プログラムによると、フランスミュージカルはそういうものだ、と言う事だ。別に宝塚歌劇の巡業のように巡業にまでオーケストラがついていけないから、とか、四季のように生オケをつかうと経費がかかるから、ではないとの事。ちなみに巡業まで生演奏なのは松竹の歌舞伎である。
このミュージカルについては詳しく紹介しているブログがある。去年の宝塚版、今年の東宝版を見るのに大いに参考になった。
~Joie de vivre~ フランス語&フレンチ・ミュージカル+α
ぜひ一度ご覧あれ。
全体的には去年の宝塚版と同じ。宝塚版のように最初に一番いいところを見せる、ということをしない。物語は最初から始まる。豪華なのは宝塚版だが、この東宝版はリアルである。特に衣装。フランス版は衣装は一種の「記号」になっている感があるが、東宝版はそうではなく、とてもリアル。
ただ、今回の潤色には不満が残る。それはマリー・アントワネットの扱い。彼女の母親としての面を強調しているのは良い。王妃である前に一人の女であり、母親であった事を強調するのはよくわかる。しかし、フェルゼンが亡命を勧めるのを断るところはどうか、と思う。国王一家が亡命しようとして結局失敗するのは、歴史的事実である。それをないことにしているのはどうかと思う。フランス版ではマリー・アントワネットの最後はかなり悲惨である。また、宝塚版にあった、この革命は力をつけてきたブルジョアが自分たちの力を伸ばそうして起こしたもの、という側面がなくなっている。
全体的になにかキレイキレイになった。僕は、宝塚ではなく東宝なのだからもっと生々しいところを求めていたのだが。マリー・アントワネットとフェルゼンの関係も「純愛」っぽい。フランス版やこの時代を考えると、もっと「火遊び」の要素があって当然ではないか。
それでも、フランス万歳、革命万歳になってないところは大いに評価できる。それに、最後、登場人物がフランス人権宣言の条文を唱えながら出てくるとこは実に感動的だった。
今回改めて感じたのは、楽曲がよくできていること。とにかく、ノリが良いのだ。ただ、「サ・イラ・モナムール」ってお色気ソングだとか、「テニスコートの誓い」が「誰のために踊らされているのか」なんてナンバーになって、これって一種のトンデモじゃないだろうかとも思われるのだが、ようするにフランスミュージカルってそーゆーものらしい。そう、「愛こそすべて」(;^_^A
第一幕の幕切れと第二幕の始まりは、宝塚版とは違った楽曲が使われている。この東宝版がフランス初演通りで、宝塚版は第二シーズンでしか使われなかったナンバーを使っている。また、第二幕の「私は神だ」は宝塚版と同じくアルトワ伯爵のナンバーとなっている。
この東宝版はダブルキャストで僕が見たときは
ロナン・・・・・・・・・・・加藤和樹
オランプ・・・・・・・・・・夢咲ねね
マリー・アントワネット・・・花總まり
加藤和樹は初めてみるが、容姿・演技・歌とも申し分ない。夢咲ねねもこの役にふさわしく可憐である。花總まりを見るのはこれで三度目だがやっと満足できた。最初にみたのは「モンテ・クリスト伯」だったが、話に聞くほどうまいとは思わなかった。次は「モーツァルト!」のナンネルだが、今まで聞いてきた高橋由美子には及ばなかった。しかし今回のマリー・アントワネットは上出来だった。歌唱といい、風格といい申し分ない。
吉野圭吾は、「ダンス・オブ・ヴァンパイア」のヘルベルト、「モーツァルト!」のシカネーダで見てきたが、今回敵役のアルトワ伯で思いっきりやっているのが良い。敵役といえば、岡幸二郎のベイロールがうまい。敵役はこの二人のように思いきりやってくれないと芝居が面白くない。ラマールはチャリ役、達者な演技と歌で大いに楽しませてくれた。演じるのは坂元健児、どこかで聞いた名前だと思ったら、「ライオン・キング」初演のシンバではないか。上手いはずだ。
初日、ということで加藤和樹を中心として挨拶があった。夢咲ねねが、この梅田芸術劇場が懐かしいと言っていたのが印象的だった。
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