観劇日11月26日(土) A席 2階B列14番
この公演は僕がみた26日と27日の2回あったが、どちらも早々と完売となった。それは「かもめ」と言う演目と配役の為。この豪華な配役を見て欲しい
ニーナ・ミハイロヴィナ・ザレーチナヤ 満島ひかり
ボリス・アレクセーヴィチ・トリゴーリン 田中圭
コンスタンチン・ガブリーロヴィチ・トレープレフ 坂口健太郎
セミョーン・セミョーノヴィチ・メドヴェジェンコ 渡辺大和
ポリーナ・アンドレーヴナ・シャムラーエフ あめくみちこ
エフゲニー・セルゲーヴィチ・ドールン 山路和弘
イリヤー・アファナーシェヴィチ・シャムラーエフ 渡辺哲
ピョートル・ニコラエヴィチ・ソーリン 小林勝也
マーシャ 中嶋朋子
イリーナ・ニコラーエヴナ・アルカージナ 佐藤オリエ
この公演は東京芸術劇場2016芸劇オータムセレクションとして上演され、東京公演の後、このびわ湖ホールをはじめとして全国巡業がおこなわれる。
翻訳・上演台本は木内宏昌、演出は熊林弘高。
トリゴーリンに田中圭とは贅沢な。この人がトレープレフでもおかしくない。それに、メドヴェジェンコに渡辺大和は意外だ。渡辺大和はNHKの朝ドラ「まれ」に出てきた結構若い人。本で読んだ印象だとくたびれた中年男なのだが。
あまりに有名な作品だが、舞台でみるの初めてだ。本は読んだことあるし、テレビでも見たことはある。
「喜劇」とはなんだろうか。
この演出のように、アルカージナさんは滋賀銀行に7億円の預金がある、とか、近くのびわ湖でニゴロブナが釣れる、とか、ここはお客さんと話す時間です、とドールンが客をいぢる、とか、それだけじゃないだろう。
第一幕でトレープレフが上演するオリジナル演劇はあまりにも盛り上がらない、ただ前衛をなぞっているだけ。ここには数々の恋が出てくるけど、上手くいった試しがない。数々の登場人物の思いはすれ違い、その上舞台の上では大切な事は起こらない。なによりも、観客の期待に応えない、予定調和に終わらない。この芝居を見ていると、今まで見てきた芝居がいかに古めかしいものかよくわかる。ここにあるのはどうしようもない人間のどうしようもない姿。特にここに出てくる男たちは誰もかれも情けない。最初から情けない印象のメドヴェジェンコは勿論、小説家として成功しているトリゴーリンも締め切りに追われるだけだと嘆く、役人として成功を収め退職して悠々自適の毎日を送っているはずのソーリンも後悔ばかりしている。それに対して女たちはたくましい。わたしはかもめと言って出ていくニーナだけでなく、マーシャもアルカージナもその日その日を精一杯生き明日をみつめている。
結局チェーホフの言う喜劇とは、どうしようもない人間のどうしようもない姿を見せる事、なのだろうか。
初演は1896年、しかし今でも十分衝撃的な作品である。
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