昨日の深夜、獏がいない。
居間にも玄関にも犬小屋にもいない。
さては、と思いそっと２階の寝室を覗いてみるとベッドに黒い影が。
やっぱり。灯りをつけると獏がオレの寝床でうずくまっている。
灯りを付けたので顔だけ起こしてこっちを見ている。
しゃあないか、もう少しそこで寝とれや
そう思い布団を直そうとした瞬間、
鼻に皺をよせ凄い形相で吠え始めた。
以下、金沢弁で翻訳。
ウウウー、ワワワワン、ウウウウゥ
（ダラ、クソ親父、そこ触んな）
獏ちん、なに怒っているのかな、お父さんはちょっと布団直すだけなんだよ
と蒲団に触った途端、
ウウウウウウゥー
（人が寝とるがに起こすなまんや、クソ親父）
唸りながらどきそうもない。
顔を近づけると怒りの形相でさっきより激しく唸り吠え続ける。
今にも噛みつきそうな顔である。
恥ずかしながらちょっとビビった。
でもここで負ける訳にはいかない。
顔を遠ざけながら、
寝ててもいいんだよ、でもちょっとどいてくれたまえ、お布団直すだけだから
渋々立ち上がったが唸りっぱなし。
ウウウウゥー
（起こすなって言うとるやろ、しまいにゃ怒るぞ）
こうなれば立場の違いを見せねばならない。
いつまでもビビっている訳にはいかない。
こーりゃ、そこどかんかい、おめぇの寝る場所やないんじゃ
と静かだが威厳をもって言ってやった。
ワン、ワン、ワン、ウー、ワンワン、ウウゥ
（なんじゃいや、飼い主やと思ってデカイ顔すんな、チクショウ、不良になってやっしな）
こっちを見ながら思いっきり大きな声で吠えているが、腰が引けとるぞ、獏。
吠えながらベッドから飛び降り部屋から出て行ったが、
こっちを見て最後のひと吠え、捨て台詞。
ワン、ワワン、ワンワン
（絶対不良になってやる）
少し遊んでやろうと思ったのだがいじけて階段を下りて行った。
不良にならんといてな、獏
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