熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

法科大学院は何処へ行くのか

2017-08-21 11:01:20 | Weblog
法科大学院の撤退が止まりません。

地方国立大に続き、首都圏の有名私立大にも波及して、2015年度以降に募集を停止した大学院は二十四校に及んでいます。

2018一八年度からは青山学院大や立教大など四校が募集しないと発表しました。

司法試験合格率の低迷に伴う不人気が主要因ですが、そもそもの制度設計に難があったとの指摘もあり、大学院側から「国の施策に振り回された」との恨み節も漏れているそうです。

「法科大学院を維持するには多くの教員を必要とし、どうしても財政的に赤字になる」、6月1日に記者会見した青山学院大の三木義一学長は、募集停止の理由をそう説明していました。

近年は定員割れが続き、2017年度は教員14人に対し、在籍する学生はわずか29人だったということですから、財政的にもたないのは間違いないですね。

2004年度にスタートした法科大学院は司法試験対策偏重を見直し、法学未修者や社会人などを念頭に、多様な経歴を持つ法曹を養成する役割が期待されていました。

最大で74校が開設し、定員は計約5800人に及んでいましたので、見積もりの甘さというか、役所の税金を湯水のように使う体質と天下り先確保という身勝手な理由が原因でしょうね。

しかし、当初は7~8割と見込んでいた司法試験合格率はここ数年、20%台と、法学未修者を中心に低迷して、高い費用がかかる法科大学院を経なくても司法試験を受けられる「予備試験」が法曹への最短ルートとして存在感を増していきました。

これでは、何のための司法試験改革だったのか、分かららくなりますね。

司法試験前の制度が継続していれば、私の受験を続けていたのですが・・・。

こうした現状に学生の法科大学院離れは加速度的に進み、2004年度に最多の延べ72800人だった志願者数は5年後に3万人を下回り、2016年度は1万人を割り込みましたた。

相次ぐ法科大学院の募集停止や廃止の背景には、法曹需要の読み誤りがあったとの指摘もあります。

政府は2002年、法曹人口を大幅に増やす必要があるとして、司法試験合格者数を「2010年ごろに年間3000人」とする計画を閣議決定しました。

しかし、法曹需要は伸び悩み、政府は2013年に3000人計画を撤回し、2015年に「1500以上」と、半分に下方修正しました。

これでは見通しが甘いというようなものではなく、自分の利益を優先するために、滅茶苦茶な見通しを建てたと思われても仕方ありませんね。

司法試験合格率の低迷が、法科大学院不人気に拍車を掛け、さらに定員割れや合格率低下を招くという負のスパイラルを打破しようと、文部科学省は下方修正に合わせて定員抑制や統合の模索を始めているそうです。

こうした状況に「法曹養成制度自体に矛盾がある」とある法科大学院の教授は不満を吐露しています。

「体系的に法曹を養成するという法科大学院の趣旨は間違っていないが、法曹需要の読み違いや抜け道的な予備試験の実施で、改革の趣旨が曖昧になっている」と訴えていました。

私もそうだと思いますが、何か割り切れない気持ちが残りますね。

法科大学院は、一体何処へ向かうのでしょうか。











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