スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

ポルフィリオ・ディアスの母姓

2017-07-31 20:28:31 | 名前
 前回、メキシコ大統領だったポルフィリオ・ディアス(José de la Cruz Porfirio Díaz Mori)の母姓が日本の「森」姓だった可能性について書いた。
 ある日のこと、イタリアの村を扱った旅番組を見ていると、森さんが Mori という村を訪れていた。mori は普通名詞 moro(桑の木)の複数形である。桑の木がたくさん茂っているところから Mori という地名になったらしい。スペイン語の moro は「ムーア人(モーロ人、北アフリカに住む。moreno「褐色の肌の人」の語源になったらしい)」という意味である。スペイン語の「桑の木」は morera というが、「桑の実」は mora という。これは姓にもなっている。Mora は珍しい姓ではなく、筆者の知り合いにもいる。
 イタリアからも新大陸に大勢移民として渡っている。ラテンアメリカではアルゼンチンに多くいる。サッカーの Messi もイタリア系移民の子孫である。コスタリカにも数は多くないが、個人的にイタリア系の姓を持つ人を知っている。
 メキシコにもイタリア系移民の子孫がいても不思議ではない。その中に Mori という姓の人物がいたことは十分考えられる。ポルフィリオ・ディアスの母親はミステク・インディオだというが、イタリア人の血が入っていたのかもしれない。
 話は変わるが、Mori という姓はスペイン語話者には morir(死ぬ)という語を連想させるのではあるまいか。アクセントを後ろに移して、morí とやると、「私は死んだ」という意味になる。また、コスタリカでは2人称単数親称の tú が一般的には使われず、その代わりに vos という語が使われている。morí はコスタリカのスペイン語では、vos にたいする命令文、「死ね」という意味にもなる。
 そういえば、“memento mori”(「死を記憶せよ」)というラテン語の警句があった。本来は「今を楽しめ」という意味で使われていたらしいが、その後、キリスト教が広がって、別の意味で使われるようになったとのこと。詳しくはリンクをご覧いただきたい。
 
 このほかにも画像が多数ある。
 “memento mori”はポルフィリオ・ディアスの座右の銘だっただろうか。
 次回は映画中のポルフィリオ将軍の容姿について述べる。

 ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓

スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。



コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『星空の用心棒』中のポルフ... | トップ | 『星空の用心棒』中のポルフ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

名前」カテゴリの最新記事