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Moinelo の[l]音の発音

2018-01-08 15:57:20 | スペイン語
ソフトバンク・ホークスのモイネロ選手。
 
 Moinero ではなく、Moinelo とつづることは前回述べた。日本語としては[ɾ]音で発音されるが、[l]音で発音しても支障はない。ただし、スペイン語では支障はある。例えば、muela は「臼歯」の意味だが、muera は「死ね」である。pelo は「髪の毛」で、pero は「しかし」である(「命に関わる発音[ɾ]と[l]」参照)。
 (注:国際音声記号の[r]音は震え音で、連続して歯茎を舌先で弾く音。これに対して[ɾ]音は一回弾くだけ。)
 スペイン語の l で表される子音[l]も r で表される子音[ɾ](日本語の「ラ」行の子音もこれ)もともに歯茎音である。つまり舌の位置は同じで、調音方法が違うだけである。[ɾ]の方は弾き音で、歯茎を舌先で弾く。一方、[l]の方は側面接近音で、「舌端と歯茎で舌の中央に閉鎖を作り、舌の両脇から空気を通すことによって生じる音」(ウィキペディア「歯茎側面接近音」)である。この音は日本語でも「ん」の後にくる「ラ」行の子音でしばしば用いられる。
 こんな小難しい説明では何のことかよく分からない。
 簡単に言うと、スペイン語の r で表される子音[ɾ]は日本語の「ラ」行の子音と同じと考えてよい。特に意識する必要はない。
 l で表される子音[l]の方が難しいのである。こちらの方は舌先で歯茎を弾かないのである。しかし、いつまでも舌先を歯茎にくっつけていると、次の音が発音できない。いつかは舌先から歯茎を離さなければならない。この時に弾いてはいけないのである。
 弾くときには、普通舌を後から前の方へ弾いているはずである。[l]を発音するときは、そっと離せばいいということになるが、これが難しい。
 大雑把に言ってしまえば、[l]を発音するときには舌先を歯茎にべったりくっつけて、離すときには舌先を後に弾くような感じで離せばよい。実際に後ろ側に弾くことはできないかもしれないが、そんなつもりでやってちょうどいいのではなかろうか。
 ちょっと気を抜くと[l]音が[ɾ]音になり、Moinelo が Moinero と発音されてしまうので、注意が必要である。[l]音で、ちゃんと Moinelo と発音できれば、モイネロ選手もきっと感激してくれるだろう。

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