スパニッシュ・オデッセイ

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『沈黙 Silence』を見て考えた(2)

2017-08-18 18:07:00 | スペイン語
  17世紀初頭のカトリックの東洋への布教の拠点はマカオである。マカオには最近行ってきたばかりで、聖ポール教会跡も訪れている。教会前の階段らしきところが映画『沈黙 - Silence -』にも出てきたが、現在の姿は下の写真のようになっている。
 
 1835年の台風時の火災によって天主堂は消失し、現在はファサードが残るのみだが、16世紀初頭はアジア最大のカトリック教会で、宣教師たちの拠点になっていた。
 教会跡についての詳しい説明はウィキペディア「聖ポール天主堂跡」をご覧いただきたい。
 ということで、実際に日本に来た神父たちはポルトガル語を話していたのだが、映画『沈黙 -Silence- 』の方はハリウッド製なので、俳優たちは英語を話している。仕方がないとはいえ、ポルトガル語で話してくれないのが残念至極である。

 聖書関連のハリウッド映画の言語はほとんど英語であるが、唯一(かどうかはわからないが)の例外は2004年、メル・ギブソン監督主演の『パッション』(The Passion of the Christ)である。全編、アラム語、ヘブライ語、ラテン語が使用されていて、英語圏では英語の字幕がついていたはずで、日本では日本語の字幕がつけられていた。
 アラム語、ヘブライ語はともかく、ローマ兵が話すラテン語は字幕がなくてもわかるところがあった。数の数え方はラテン語の末裔であるスペイン語に当然ながら似ている。
 映画『沈黙』でも神父の祈りの部分の有名なところはラテン語であろう。祈りの最後の言葉はスペイン語では“Espíritu Santo, Amén”(Holy Spirit, Amen)というが、映画でも全く同じように聞こえた。
 念のために調べてみた。
 ラテン語:In nomine Patris, et Filii, et Spiritus Sancti. Amen
 ポルトガル語:Em nome do Pai,e do Filho,e do Espírito Santo.Amém
スペイン語:En el nombre del padre, y del Hijo,y del Espíritu Santo. Amén.
 日本語訳:父と子と聖霊の御名において。アーメン。
 どうも、映画の中の祈りの言葉はラテン語ではなく、ポルトガル語のように聞こえた。DVD はもう返却してしまったので、確かめるにもまたレンタルの費用がかかるので、やめる。
 この映画は DVD の字幕スーパー版で見たのだが、日本語吹き替え版はあるのだろうか。あるとすれば、いろいろと疑問が湧く。
 英語のせりふを日本語に吹き替えるのは当然として、もとからの日本語のせりふはそのままにするのだろうか。日本語のせりふしかない俳優はそれでもいいだろうが、英語と日本語のせりふがある俳優の場合は、オリジナルで英語を話しているのか、日本語を話しているのかわからなくなるではないか。
 ペルーでドラマ『将軍』を見たときのことを思い出した。オリジナルでは島田陽子が英語と日本語を話していたが、スペイン語吹き替え版がとんでもないことになっていた。
 英語のせりふをスペイン語に吹き替えるのは当然として、日本語の部分も同じ声優が日本語で話しているのである。スペイン語の時と日本語の時とで、島田陽子の声が変わってしまうのを避けるために、そうしたのだろうが、声優の日本語のアクセントとイントネーションが不自然極まりないものだったのである(「テレビドラマの吹き替え、コスタリカのテレビCM等」参照)。
 

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