富士山レンジャー物語その10 もう立ってるのがやっと | 登山経験ゼロ、運動経験ゼロ、都内在住の30代独身・事務系OLのあなたが富士山に登頂するには?

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特に刺激のない毎日を送り、休みの日も家でゴロゴロ。
気づけばもう、一週間が過ぎていた・・・。

そんな日常から一歩抜け出し、日本人なら一度は登りたい富士山にチャレンジ!
ほんの少しの勇気と、ある程度のコツさえ知っていれば富士山は登れます!

☆毎日更新中



昨日 は、


真っ暗の中で遭難者を六合目の安全指導センターまで運び、


もうどうにもならないくらい疲れてしまった



というところまでお話ししました。




時刻はもう22過ぎ。



「さすがに、今日はこれで終わりだろう」



冷蔵庫に入っていた缶ビールで、


みんなで一杯やります。


まさかここでビールが飲めるとは思っていなかった私。



以後、


仕事終わりのビールがささやかな楽しみになりました。



ところが、


ビールも飲んでほっと一息ついた頃、


さらなる試練が。



なんと、またしても救助要請が入ったのです。



「またか・・・」



再び、


市のバイトのお兄さん4人に私を加えた5人で、


現場に向かうことに。



救急用具とタンカを担いで出発。



またしても、猛スピードで登山道を駆け上がります。



そして、


20分ちょっとで七合目(標高2700m)を通過。



さらに10分くらい登ったところで、


なんと、



救助必要なし



という連絡がトランシーバーを通じて入ったのです。



「なんだそりゃ・・・」



結局、ムダ足になってしまいました。




六合目安全指導センター(標高2300m)に戻る頃には、


23時過ぎに。



朝5時に麓を出発してから、


すでに、18時間以上が経過。



もう、


立ってるのがやっとでした。



「こんなのが毎日続いたら、とてもじゃないけど体がもたない」




そして、翌朝・・・。


やはり、疲れはあまりとれていませんでした。



だるさの残る体で、


登山者数のカウント(数をかぞえる)調査をします。



このカウント調査、夜の2時間だけかと思っていたら、


なんと早朝にも2時間「富士山レンジャー枠」があったのです。



もちろん、こんな仕事があるなんて、


県からは事前に一言も聞いていません。



当時の私たち富士山レンジャーは「山梨県」に雇われていましたが、


登山者のカウント調査のお兄さん方は「富士吉田市」に雇われていました。



つまり、


本来、カウント調査は私たちとは何の関係もないのです。



おそらく、市に雇われたバイトのお兄さん方の独断だったのでしょう。



これは、今考えるとかなりおかしいです。


当然ながら、市のバイトのお兄さん4人で分担するべき仕事。



もちろん、彼らはそれでお金をもらっています。



24時間を4人で分担するので、


1人あたり1日6時間のはずです。



ところが、


富士山レンジャーの2人が、それぞれ朝と夜に1時間ずつやったら、


合計4時間になります。



これによって、


お兄さん方4人は、1人あたり1日5時間に減るわけです。



富士山レンジャー2人で、


ほぼ1人分やってるじゃないですか!!(怒)



確か、この登山者数のカウント調査は、


日給8千円か9千円と聞きました。



しかし、


私たち富士山レンジャーがその分のお金をもらえることは、


もちろんありませんでした。



ちなみに、


遭難者救助も全てボランティアです。



つまり、


初日は拘束時間18時間で日給11,500円

(うち1,500円は食費で引かれる)



ということです。



全く好条件の仕事じゃなかったのです(笑)




話を戻します。



朝の時間は登山者も少なく、


イスに座って登山者がやってくるのを待ちます。



すると、


またしてもアクシデントが起こったのです。



続きは明日 です。




※これは13年前の話であり、現在の安全指導センターや富士山レンジャーとは運営主体も業務も異なり、何の関係もありません。




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