新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

派手な先例に学ぶ、洪水・水害で要注意な疾患(ハイチの教訓、ミャンマーの教訓)

2018-07-10 18:40:08 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

西日本大水害。管理人も今回はヒトゴトでは済まず、昨日は産業保健総合支援センターで小耳にははさみきれない位、いろいろ入っておりました。思い切り流れてしまった講義の補講群スケジュールも(嘆)。被災地地元のFMおかやまは月1定例で海外ネタを話している局ですが、明朝は臨時で水害後のお話。尺とにらめっこしながら、消化器感染症と破傷風あたりが優先順位。その次は・・といろいろ。

さて、こういう事態で渡航医学から学ぶ、何を懸念しなければならないか。。。

1.ハイチの震災後にWHOを震撼させた「あのこと」
2010年のハイチ大震災、もともと脆弱だったインフラも破壊されつくしました。
世界各国から救援に駆け付けたPKO部隊。そのなかにスリランカ軍部隊に「コレラ」に感染したソルジャーがおりまして、これがまたたくまに大拡散。さらに長期間根をはって、2010~2017年に感染者80万人、犠牲者9568人! 水道もなく清潔な水もなく、Artiboni川が最初の舞台でした。その後、責任の所在やら賠償やら揉めに揉めました。(本件は永らく、未曾有のコレラ大流行でしたが、その後、イエメン戦乱地のコレラに抜かれました。いずれも人災といえるもので、何ともやりきれません)

教訓:(コレラはともかく)「ありとあらゆる消化器感染症」の持ち込みのリスク。最初の原因になったスリランカPKOソルジャーみたくならないよう、

「体調の悪い人は現地ボランティアに行かないで!」

2.ミャンマーの大洪水後に激増しちゃった「あの疾患」
 2015・16年の雨期、ミャンマーのメディアは「冠水した道路にうかぶ木造ボート」や「濁流に耐える農民」やの画像があふれました。ラカイン州・ザガイン州はじめ全土で発生した大洪水です。 その後、デング熱が増えに増えて16000例。

教訓:一見、水が引いたあと、たまり水に要注意! 古タイヤ・ドラム缶へり等はもとより、打ち捨てられた家具・道具・カラ容器etc・・・

なお、日本感染症学会HPに載ってる「震災や水害後に要注意な感染症」です。
http://www.kansensho.or.jp/disaster/1806_earthquake_disaster.pdf

そしてこれを、ただ単純にコピペして貼り付けると、こういう風になります。
さてさて、これを被災地の一般の方々や、いざボランティアに!と張り切っている方々に、どういう示し方をするのか、どういう提供をするのか、グループにまとめたり、時期ごとにプライオリティつけたり、工夫の方法はいろいろあろうかと思います。
上記エピソードも”数字の派手な調味料”としてご利用いただければ幸いです。
*****************
(上記サイトを単純にコピペしたもの)
-地震・津波後に問題となる感染症- Version 2 災害現場・避難所で医療にあたる方々(主に感染症を専門としない方)を対象としてまとめたも䛾です.必ずしも頻度䛾高くない感染症も含まれていますが,想像を絶する地震と津波,そして長期化する避難所生活という特殊な状況を考慮して記載されています.本冊子䛿現場䛾状況に応じて改訂していく予定です䛾で,追加してほしい情報,お気づき䛾点などがありましたら遠慮なくご連絡下さい(事務局:info@kansensho.or.jp, FAX:03-5842-5846). こ䛾情報が救助にあたっている方々,そして被災者䛾方々にとって少しでもお役に立つも䛾になることを祈念しています. ●災害時に危険が増加する感染症 (頻度は *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)・外 傷 創部感染破傷風ガス壊疽・汚染水䛾吸入 誤嚥性肺炎・ノミ,ダニ,動物媒介 レプトスピラ症*ハンタウイルス症**発疹チフス**ツツガムシ病* ●避難生活時に問題となる感染症 (頻度は *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)・飛沫感染 インフルエンザ肺炎球菌性肺炎マイコプラズマ肺炎百日咳・経口感染 感染性下痢症(細菌性・ウイルス性)ウイルス性肝炎腸チフス・パラチフス*・接触感染 黄色ブドウ球菌感染症 A 群連鎖球菌感染症流行性角結膜炎疥癬・空気感染 結核,麻疹,水痘災害時にみられる感染症の症候別鑑別診断 頻度的に䛿稀な感染症も含まれていますが,避難生活という特殊な状況を考慮し,鑑別診断䛾中に加えてほしい感染症も記載されています.(頻度䛿 *低い,**極めて低い,と考えられる疾患)咳 ・・・・・・・・・・・ インフルエンザ,そ䛾他䛾ウイルス 結 核 (高齢者にみられる長引く咳をみたら)マイコプラズマ (マクロライド耐性株䛾増加が問題)百日咳 (ワクチン接種者においても感染䛾リスクあり)下痢 ・・・・・・・・・ 感染性下痢症 (細菌・ウイルス・食中毒を含む)大腸菌 (水様性~鮮血便まで多彩,腸管出血性大腸菌に注意)赤 痢 (粘血便,しぶり腹)*サルモネラ (小児・高齢者における重症化に注意)カンピロバクター (新鮮な鶏肉でも感染リスクあり)黄色ブドウ球菌 (毒素性食中毒,水様便,発熱なし)ノロウイルス (水様便,嘔吐,感染性が高く吐物からも感染)ロタウイルス (乳児にみられる白色便性下痢症)皮膚症状 ・・・・・・黄色ブドウ球菌 (“とびひ”䛾原因として䛾市中感染型 MRSA) A 群連鎖球菌 (小児䛾咽頭炎,稀に劇症型感染症)発疹チフス (シラミ媒介,高熱持続,未治療で䛾死亡率高い)**ツツガムシ病 (発熱,刺し口,発疹)*腸チフス (比較的徐脈,バラ疹,脾腫)*麻 疹 (口腔粘膜コプリック斑,高熱)帯状疱疹 (神経走行に沿った皮疹,疱疹内液を介した感染)疥 癬 (強いかゆみ,皮下トンネル形成が特徴)


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