マダムがイメージしてた御手洗さんとは違った…
探偵ミタライの事件簿 星籠の海 [DVD]
4,104円
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瀬戸内海を舞台に、我らが御手洗が、事件の謎をサクサク解決していきはる。
エキセントリックな御手洗さんじゃない、比較的常識人のミタライさん…。
石岡くんの出番もなくなるわけだわ。
マダムのイメージする御手洗さんと石岡くん…。
豪雨の中、滝壺で棒にくくりつけられた居比夫婦を発見した警察。
夫は眼を縫われ、妻は口を縫われていました。
そして彼らの側に赤ちゃんのご遺体が…!
脳科学者のミタライさんは、大学で教鞭をとってます。
そこに現れた小川みゆきという女性編集者。
ミタライの助手兼友人である石岡から紹介された小川。
実は彼女、石岡の書く「ミタライシリーズ」の大ファンなのです。
ミタライが興味を持ちそうな事件をピックアップして持ってきたら「死体島事件」にミタライが食いつきました。
取材に出ている石岡の代わりに、ちゃっかり助手の座をゲット。
瀬戸内海にある興居島には、半年の間に6人もの仏さんが流れ着いたっちゅーやないのん。
また、その頃漁業に出ていた漁師が、水竜(クビナガリュウ)らしきものを見たって言う話も。
ミタライは、瀬戸内海の潮流から、死体は福山市から流れ着いたものだとサクッと解決。
県警の黒田はミタライのことを信用してますが、若手刑事たちは「なんやねん、こいつ」的な態度。
アパートで外国人女性の変死体が見つかります。
ミタライは早速しゃしゃり出て「これは薬による死亡」と断定。ミタライの進言により数人の外国人(東南アジア系)が捕まりました。
サクサク進むよー!あっという間に解決よー。
ミタライは、福山署が抱えている居比家事件にもいっちょカミング。
「眼と口を縫われて棒にくくられる。棒は高さが違う。
つまりこれは『目』『言』『刂』=『罰』を表してるのダッ!」
被害者の居比さん夫婦は、革細工職人。
夫婦が留守の際、赤ちゃんの面倒を見ていたベビーシッターの辰見洋子は、誘拐犯に腹を刺されて重傷です。
居比夫妻は脅迫され身代金を持って行ったら、あんな目に合わされてしまったの。
罰ってくらいだから怨恨だよね?
しかし居比家は、誰からも恨まれてる気配があらしませんのん。
辰見洋子には、小坂井と言う彼氏がいました。
小坂井は福山の大企業、西京化学工業で働いてます。
西京化学工業の社長・槙田は地元の出身で小坂井の兄貴分みたいなポジション。
小坂井の実家の造船工場が潰れた時に、西京化学が事業の一端として運営してる文化会館の職員に拾ってくれたのも彼。
歴史学者の滝沢は、古い記録にある「星籠(せいろ)」を探していました。
ミタライと滝沢は、星籠とは黒船に対抗する兵器だったのかもしれない。
また、村上水軍ではなく忽那水軍に関連しているのでは無いかと推理します。
そして、小坂井こそが忽那水軍の血を引く人間だったのです。
小坂井の家で星籠の模型を見せてもらうミタライ。
つながってきたでぇぇぇぇ!
ミタライは、誰からも恨まれていなかったはずの居比夫妻が、実は結構昔に西京化学工業誘致問題で反対派としていきり立ってたこと。
反対派と誘致派の抗争のせいで、渉外交渉部の社員が心労で自殺したこと。
社員の奥さんも亡くなり子供がいたけど行方不明になっていることなどの情報をゲット。
小坂井が居比家に忍び込んで来ます。
ミタライが「遺留品の手袋の裏から指紋が出てくるかもね」と言ったのを真に受けたマヌー小坂井は、まんまと罠にかかっちゃいました。
辰見洋子は、昔付き合ってた男から薬を預かっててそれを奪いに来た男に刺されたそうで。
小坂井が薬を預かって何処かに隠そうとしますが、東南アジア系の男たちに襲われてしまいましたの。
「もうダメポって時に、偶然通りかかった社長に助けてもらったんです、薬の入った鞄は奪われたけど」
「槙田社長のお父さんは、自殺した渉外交渉係の人だね?」
「ナゼソレヲー」
ミタライはなんでも知ってるのサ!
辰見洋子の病室にやってきたミタライ。
「これから謎を解きますー!
ベランダの蛍光灯が切れかけてたね?チミはそれを変えようとした。
その時、抱っこしてた居比さんの赤ちゃんを、落とした。地面に。赤ちゃんは当然即死だ。
チミは赤ちゃんをラップでくるみ、誘拐されたことにした。
小坂井くんが薬だと思ってたのは、実は赤ちゃんの死体だったわけさ」
槙田社長は居比さんに恨みを抱いてた。そしてずっと監視してた。
洋子が赤ん坊を落としたシーンもバッチリ見ちゃってたわけ。
槙田は、これ幸いと脅迫をして居比夫妻を誘い出し処刑したのです。
西京化学工業から槙田が消えました。
西京化学工業の業績が好調なのは、違法ドラッグを作っていたから。
槙田逮捕に来ていた警察の人たちは、槙田の代わりに違法ドラッグ生成現場に出くわし「逮捕ー!」
瓢箪から駒。
槙田は貨物船で逃げていました。
追うミタライ。
貨物船の跡を水竜が追いかけてきます。
水竜と思っていたものこそ、実物大にリメイクされた星籠でした。
試運転を繰り返していたら、それを目にした人たちが「水竜や」って騒ぎ出したってスンポー。
星籠が貨物船に突っ込みます。
槙田はヘリでやってきた警察に逮捕されました。
ミタライが解けなかった解。
「星籠の名前の由来」
潮流研究所の職員さんが教えてくれます。
瀬戸内海の底には星空があるんですよ。
ずっと深い谷の底には、まだ珊瑚が生き残ってるんです。それはまるで宇宙の…星空のように…。
瀬戸内海は、
星のいっぱい詰まった籠なんです。
ミタライは槙田に、小坂井から預かってきたクビナガリュウの模型を見せますが、槙田は受け取りませんでした。
模型を海に返し。
ミタライは福山を後にするのでした。
この後このクビナガリュウは完全なる首長竜の日として復活…するかっ!!
おしまい
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原作は、読んでおります。
なんせマダム、占星術当時からのミタライアンですから。
原作の御手洗シリーズは全て読破。
あの、ものすごい量の原作をよくまぁここまでコンパクトにまとめたなぁと、その手腕には素直に感心しました。
◆問題点。
御手洗さんのキャラは、エキセントリックで変人で奇人で、まさに「天才」。
それを普通の人である石岡くんがフォローしながら(時には御手洗さんとの格差に愕然としながら)謎をスパッと解いていく…これが御手洗シリーズ。
御手洗シリーズのせいで、
「探偵=エキセントリック!!」
という間違った認識がいっときミステリ作家に出来上がってしまったほど。
石岡くんのいない御手洗シリーズなんて!!
原作ファンにはちょっと悲しかったです。
故に映画に関しては、あえて「ミタライ」表記。
電話で喋ってた石岡くん、「こんなん石岡くんじゃない!」って思っちゃいました。
◆良かった点
ミステリ映画として、きちんと全部うまく落とし所に落としたところ。
星籠の謎から水竜、そして人間の怨嗟や自己保身。
バラバラの事件をひとつにつなげて、伏線はこうやって生かしたのか!と言うところをちゃんと映像化してくれたのは嬉しかった。
何故、洋子は腹を刺されて机に縛り付けられていたのか。
腹の下に敷かれたタオルは何を意味するのか。
星籠とは、なんだったのか。
パズルのピースのような謎を、即座に解決していくミタライ。
観ていて大変小気味良い。
ミステリ映画としては、思ってた以上によく出来てたと思います。
基準点が「どうせ石岡くんもおらへんし、嘘御手洗やろ?」というところから入ってるので、マイナス評価からの加点。
でもなんで星籠の海なの?
確かにミタライさんと、みゆきでは「斜め屋敷の犯罪」や「占星術殺人事件」は無理だし。
レオナと言う超弩級美女を誰が演じるねん?で「暗闇坂」や「水晶」などなども無理。
石岡くんがいないから「異邦の騎士」も無理。「龍臥邸」も、色々無理。
「数字錠」は短編過ぎて映画になりにくい。
御手洗シリーズというより島田荘司ワールドは「んなアホなことあるかいなー」を力技でトリックにしちゃう作品なので、映像化しにくいのはわかるから。
無難なところで「星籠」になったんかなぁ。
福山は縁のある市だし(ばらのまち福山ミステリ新人賞の審査員が島田荘司御大、御大の出身地も福山)。
もったいないのは、御手洗潔と言うキャラを普通にしすぎたせいで、人間味のないガリレオみたいに見えちゃう部分です。
御手洗さんって、とっても優しいのに。
生粋のミタライアンとしては忸怩たる思いもございますが、ミステリ映画としては、それなりに合格点?
できれば、んなわけあるかーなトリックを駆使した御手洗シリーズを観てみたいですな。
それは叶わぬ夢かもですが。
見どころ。
吉田栄作の枯れたおじさまっぷり。
なかなかイカス!
瀬戸内海の情景は大変綺麗でした。
その美しい情景すらぶっ飛ばす、石田ひかりと要潤の棒っぷりに、
頭を抱えよ!
ミタライアンでもそうじゃなくても、
ポチッと一発。
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