対立軸になるのか?SCOの作り上げる火床 | ヤモリのつぶやき

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日々のニュース解説等をつぶやきます......

 日本のメディアは、伝えるべきことと伝えざるべきことの大きさが全くわかっておらず、平気で報道しない自由を囲う。
 あるいは事の重大性がわかっておらず、どうでもいいことばかりを大きく取り上げる傾向がある。
 最近だと、例の政権たたき問題ばかりをここぞとばかりに取り上げて悦に入る。
 そんな中でサラリと流れたが、かなり大きな話だったのが、SCOの件。
 これはいつもの隠したりという意図より、意味がわかってないということかと思われる。
 
 朝刊を読んでいて、おや、と思ったのがこんな話だ。
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上海機構が初の「拡大」 インド、パキスタンが正式加盟へ 2017.6.9
http://www.sankei.com/world/news/170609/wor1706090009-n1.html
【モスクワ=遠藤良介】ロシアと中国、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)の首脳会合が8日、カザフスタンの首都アスタナで開幕。2日間の日程では、準加盟国のインドとパキスタンの正式加盟が承認され、SCOが初の「拡大」を果たす見通しだ。正式加盟の受け入れは、SCOの存在感向上を狙うロシアが主導。しかし、対立し合うインドとパキスタンの加盟は、同機構の効率や方向性を不透明にするとみられている。
 首脳会合に先立ち、プーチン露大統領と中国の習近平国家主席が会談し「連携強化を確認した。インドとパキスタンは2015年に正式加盟を申請。SCO内部の機能強化を優先する立場から中国が受け入れに消極的で、手続きに時間を要した。SCOは、加盟8カ国で世界の人口の43%、国内総生産(GDP)の24%を包含する機構となる。
 ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、インドとパキスタンの加盟で「機構の国際的権威が高まる」とし、イランの正式加盟も認めるべきだと述べた。ロシアは、SCO内で中国が台頭するのを抑止する思惑からも「拡大」に積極的だ。
 ただ、インドとパキスタンの加盟は、「対テロ」や「反分離主義」での連携を柱とするSCOの機能を大きく弱体化しかねない。
 カシミール地方の領有権などで対立するインドとパキスタンが、「テロリスト情報の交換」に応じる可能性は低い。印中間では米国との距離をめぐって温度差が大きく、「全会一致」を原則とするSCOの運営には困難が予想される。
 SCOは1990年代、中国と旧ソ連諸国の国境画定や安全保障を協議した「上海ファイブ」が母体。SCOはテロへの共同対処や経済協力に軸足を移し合同軍事演習も行ってきた。
 露紙によると、9日の首脳会合では「核拡散防止条約(NPT)の順守」や、中国の経済圏構想「一帯一路」の支持を盛り込んだ「アスタナ宣言」が採択される見通し。インドとパキスタンが投票権を得る来年以降、こうした問題での合意形成も難航が必至だ。

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印パが正式加盟=上海協力機構、初の拡大 
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017060900865&g=int
【モスクワ時事】カザフスタンの首都アスタナで開かれた中国とロシア、中央アジア4カ国が加盟する上海協力機構(SCO)の首脳会議は9日、準加盟国のインドとパキスタンの正式加盟を承認した。
 2001年のSCO創設後、加盟国が拡大するのは初めて。SCOを欧米に対抗する枠組みの一つにしたいロシアが印パの加盟を主導してきた。(2017/06/09-23:14)

 
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 表向きテロ対策で結束という論調だったりするが、さにあらず。
 小さいけれど大きな話というのは、既存のNATOなどの勢力に対抗する集合体を、旧共産圏を軸に作り上げようという流れであることだ。
 これが平和な話ならいいが、だいたい、反対方向に進んでしまうのが常。

 NHKにちょっと詳しく出ている。
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上海協力機構にインドとパキスタン加盟 人口30億超に 6月9日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170609/k10011012731000.html
中国とロシア、それに中央アジアの国々でつくる「上海協力機構」の首脳会議が開かれ、インドとパキスタンの2か国の正式加盟が認められました。加盟国の人口は30億を超えますが、加盟国の間で領有権をめぐる対立があるなど、組織の拡大と結束の両立が課題となりそうです。
中央アジア、カザフスタンの首都アスタナで9日に開かれた上海協力機構の首脳会議には、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領など、加盟6か国の首脳とオブザーバーの国々の首脳や代表らが出席しました。
会議では、インドとパキスタンの正式な加盟を決め、2001年の発足以来初めて加盟国が増えました。これによって加盟国の人口は合わせて30億を超え、世界のGDP=国内総生産に占める割合は、およそ20%に上ります。
拡大を主導したプーチン大統領は「政治や経済分野などで、より強力で影響力のある組織になる」と歓迎し、テロ対策や経済協力を進めることに意欲を示しました。
しかし、新たに加盟したインドとパキスタンはカシミール地方の領有権をめぐって対立しているほか、中国とインドも先月、北京で行われた国際会議をインドがボイコットするなど関係はギクシャクしていて、組織の拡大と結束を両立できるのかが課題となりそうです。

欧米の対抗軸として存在感
「上海協力機構」は中国と旧ソビエトの国々の国境問題を解決するために結成された組織「上海ファイブ」をもとに2001年、中国とロシアに中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの4つの国を加えた合わせて6つの国で発足しました。オブザーバーとしてイランやモンゴルなどの国々も加わっています。
国境を越えて活動するイスラム過激派や麻薬の密輸への対策など、ユーラシア地域の安全保障から経済や文化など幅広い分野にわたって協力を目指しています。
2008年、タジキスタンの首都ドゥシャンベで採択された首脳宣言では「一極化を乗り越える」としてアメリカに対抗する姿勢を前面に打ち出すなど、欧米の対抗軸としても存在感が高まっています。
インドとパキスタンの正式加盟を主導したロシアのプーチン大統領としては、ウクライナ情勢をめぐって欧米と対立する中、両国を取り込むことで影響力を強め、欧米に対抗する狙いがあるものと見られます。

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 どうもテロ対策とか経済協力などと銘打って、いわば餌で集めるような流れで新たな枠組みを構築しているわけだ。
 これらは、BRICs銀行やAIIBなどと同じく、大々的に打ち出しては形だけというよくわからない状態が続いている。
 何がしたいかと言えば、いかにして既存勢力に存在を認めさせるか、というだけの話だ。
 ある程度、普通に成長し話ができる状態なら、対立軸ができて正常化していきそうな気もするが、実態は既存勢力を打ち倒して自分らが後釜に座ろうという極めてよこしまな流れだから始末が悪い。

 さて、その上海協力機構(SCO)とはこういったものだ。
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上海協力機構
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B
上海協力機構(シャンハイきょうりょくきこう、中国語:上海合作組織/上海合作组织)は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。2001年10月にアジア太平洋経済協力 (APEC) 首脳・閣僚会議が上海で開催されたが、これに先立ち上海の存在を国際的にアピールする結果となった。第一回設立会議が上海で行われたためこの呼び名となった。

以下抜粋
世界の多極化
SCOの加盟国、もしくは準加盟国の領域は地球上の陸地の約25%に達する。中華人民共和国の国境対策機構から、中華人民共和国・ロシア・インドといったユーラシア大陸における潜在的超大国 (BRICs)、モンゴル、インド、アフガニスタン、イラン、パキスタン、トルコ、東南アジア諸国連合 (ASEAN) も様々な形で参加するなど、北アジア、西アジア、中央アジア、南アジア、東アジアに勢力を広げて一大連合体に発展する可能性を持つSCOは、いずれNATOに対抗しうる対米同盟として成長することを、アフリカや南アメリカの発展途上国・資源国から期待されている。
SCOはアメリカのオブザーバー加盟申請を拒否した他、アフガニスタンのカルザイ政権が半ば「アメリカの傀儡」である事を理由に加盟申請を拒否したり、加盟国ウズベキスタンからの駐留米軍撤退を要求するなど、米国との対立路線を形成しつつある。過去のサミット(2007年のビシュケク・サミットを含む)では、たびたび間接的に「ワシントンへの反感」が示されている。
2009年のサミットではイランのマフムード・アフマディーネジャード大統領がSCO議会でアメリカを批判、対米同盟としてのSCOに強い期待を寄せる演説を行った。
2015年にはウファのサミットで第7回BRICS首脳会議(英語版)をユーラシア経済連合(EAEU)と合同で開き、インド・パキスタンの正規加盟を決定した。同年12月、ロシアのウラジミール・プーチン大統領はSCOとASEANとEAEUを統合する経済協力機構を提案した。
2016年のタシュケントのサミットではインド・パキスタンの正規加盟にあたっての義務覚書が調印された。同年6月にロシアのプーチン大統領は、中国・インド・パキスタン・イランといったSCO参加諸国とEAEUを軸とする「大ユーラシア・パートナーシップ」と第一段階として中国との交渉協議の計画を発表、プーチンが中国訪問した際の中露共同声明に盛り込まれて共同研究と交渉協議が始まり、後にロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相と中国の李克強国務院総理の会談で大筋合意された。2017年5月の一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)でプーチン大統領は中国の習近平国家主席の唱える一帯一路、SCO、EAEU、ASEANなどは大ユーラシア・パートナーシップの基礎となると演説した。
2017年のアスタナのサミットで、インドとパキスタンは手続きを完了して正式に加盟国となり、一帯一路への協力などを掲げるアスタナ宣言が採択された。

-------以下割愛・一度目を通しておくことを推奨

 年一回、加盟国の何処かで集まって首脳会議を行っている上海協力機構も、第17回目を迎えたという意外に長いことやってる集まりなのだ。
 長いことやってる割に大したこともせず知名度も低い。
 大きな集まりの割には実効性がないからスルーでいいんじゃないというのが大方の意見だろう。
 ところが、先般のイスラム諸国の揉め事の関係もあり、座視できない話になってきているのだ。
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「一帯一路」中東踏み絵 上海協力機構首脳会議 イランの加盟検討 2017.6.9
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170609/mcb1706090500021-n1.htm
 中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)首脳会議(サミット)がカザフスタンの首都アスタナで8日、2日間の日程で開幕した。会議では、中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」にとって重要国とされるイランのSCO加盟問題も俎上(そじょう)に載る見通しだ。イランの首都テヘランなどで起きた同時多発テロを機に、中東で同国とサウジアラビアなどとの対立構図が一段と深まる中、構想実現に向け幅広い国からの支持を得たい中国は難しい判断を迫られることになりそうだ。

■「断交」で緊張高まる
 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)系メディアは7日、同テロについてISが犯行声明を出したと伝えた。イラン政府は同日、ISに対する報復を行うと宣言する一方、背後にサウジの存在があると示唆し、同国を批判した。
 元米中央情報局(CIA)職員で現在は米ジョージタウン大学に勤務するポール・ピラー教授は「テヘラン襲撃は中東地域の緊張を増大させるものだ。先月のトランプ米大統領のサウジ訪問や、サウジを中心とする中東諸国によるカタールとの相次ぐ断交の発表で緊張関係はすでに高まっている」と分析する。
 こうした中、8日始まったSCO首脳会議では、次回以降のイランの正式加盟が検討される見通しだ。イランがSCOに加盟すれば、ロシアや中国との関係も強まることになる。
 中国の習近平国家主席はイランを敵視するサウジの不安を取り除くため中立的な姿勢をとってきたが、今回の会議は中東情勢が微妙なタイミングでの開催となった。
 米シンクタンク、ランド研究所のティモシー・ヒース上級研究員は「米国が支持するサウジ連合の圧力を受けるイランは次第に中国を重要なパートナーとみるようになるだろう。サウジとイランをめぐる対立が中東地域を舞台にした米中代理戦争に発展する可能性が高まっている」と分析する。
 中国の中東地域における影響力拡大を目指す習政権にとって、サウジとイランはどちらも重要だ。サウジは世界第2位の原油輸出国で、イランは中国が掲げる一帯一路構想の要衝となる。習主席は昨年の中東歴訪でサウジやイランなどとの2国間関係を「全面的戦略パートナーシップ」に引き上げた。
 中国外務省の李恵来・部長助理は5日、「直近の出来事が中国の中東政策に影響する兆しは今のところない」とし、SCO準加盟国であるイランの正式加盟を改めて支持する考えを示した。

■相互利益による関係
 イランの正式加盟は、昨年の首脳会議で認められなかったため、承認は次回以降の首脳会議になる。今回の首脳会議では、インドとパキスタンの正式加盟が承認される見通し。SCOには中国やロシアのほか、中央アジアのカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟している。
 習主席は首脳会議期間中にロシアのプーチン大統領やインドのモディ首相との会談を行うとみられる。
 シンクタンクの国際危機グループ(ICG)のイラン担当シニアアナリストのアリ・バエズ氏によれば、サウジ、イランの対中関係は相互利益に基づいている。
 サウジのサルマン国王は3月の訪中で650億ドル(約7兆円)を超える規模の経済協定に合意した。イランは早い時期から一帯一路構想を支持し、先月開催された一帯一路に関する国際協力サミットフォーラムにも外相を派遣した。
 中国の2016年の対サウジ貿易額は450億ドルに達した。この金額は対イラン貿易額の倍近くに相当する。
 バエズ氏は、「中国はこの2国を疎外することはできないし、疎外されることもないだろう。貿易はすべてに勝るからだ」との見解を示した。(ブルームバーグ Ladane Nasseri、Ting Shi)

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中国、上海協力機構へのイラン加盟を検討へ 2017年 06月 5日
https://jp.reuters.com/article/china-sco-iran-idJPKBN18W0FP
[北京 5日 ロイター] - 中国外務省の李恵来・部長助理は5日、中国やロシアなどで構成される上海協力機構(SCO)へのイランの加盟を支持し、今週の会合で協議することを明らかにした。
SCOは昨年、ロシアからの要望があったにもかかわらず、イランの加盟を認めなかった。
李氏は、イランがオブザーバーとしてSCOの活動に長期に渡って「前向きに参加し」、SCO発展に向けた積極的な貢献があったと指摘。「中国はこれを高く評価しており、イラン加盟を支持するとともに歓迎する」と述べた。
また「今回の会合では、イランの加盟について協議を通じた意見の総意や関連規則などに基づき、誠実に検討されるだろう」との見解を示した。
今回、パキスタンとインドがSCOに正式に加盟する見通しで、李氏はSCOの求心力や影響力は高まり続けると述べた。
中国は昨年11月、トルコのエルドアン大統領がSCOに加わる可能性を示唆したことに関し、加盟の検討に前向きな姿勢を示していた。
SCOは2001年に中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンで発足。イスラム過激派やアフガニスタンからの麻薬密輸などの脅威に対抗することを目的としている。

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 ちょっとわけがわからないはずだ。
 インドとパキスタン、サウジとイランという敵対し会う関係が、支那を軸に取りまとめをされて、これが対米勢力として囲われているわけだ。
 経済協力、貿易振興の名のもとに囲い込みをし、経済で十分縛り上げ逃げられなくしてから、という流れだ。
 本文で触れられているとおり、代理戦争に発展する可能性もさることながら、この流れで手をこまねいているとも思えないから、当然、組織を形骸化するために何かを仕込むだろうと予想される。
 

 つまり、イスラム圏でのトラブルに合体する形で、新たな火種を作り出しているとも言えるのだ。
 人口は多くても、経済規模ではあまり大きくないこの集団が、徐々に成長していくと、後々面倒くさいことになるのは必定。
 支那を見れば解るように、自国が成長して野心をもたげ、自国だけで対応できないから仲間を募り、その仲間を経済奴隷にして動かそうという意図が丸見えである。
 まぁ常識的に考えて、分断されるのがオチだと思う。

 では、具体的なオペとしてどのように分断するのか?ということが、

 世界経済や世界平和の新たな憂鬱に発展していくであろうと予測される。
 経済発展のために野心を捨てて仲良くやろうよと、野心満々な連中が言い寄ってくるんだから始末が悪い。
 表向きの目的と裏腹なのはいつものことだ。
 面倒くさい話にならないことを祈る。

 了

ガンバレ!!熊本・大分! ガンバレ東北!
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