4,違い | 緑高の楽屋

緑高の楽屋

BL小説書いてます。
本家「まっちゃまろまん文庫」の整理ブログです。
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「充。今日オレの教科書持ってった?」
「…………英語?」

そういやこれもよく聞かれるな。
「家でも『セトカ』『セトミ』なん?」

さすがに家の中じゃ名字つきでは呼ばない。
だけど和充(カズミツ)と充和(ミツカズ)。これじゃ名前で呼んでも紛らわしい。
なんで双子に似たような名前をつけるかな。むしろ双子こそ全然違う名前をつけるべきだと思う。
てか、ウチは何でひっくり返した?「カズミツ」って言われるとオレ一人が呼ばれたのか、二人まとめて(カズ(と)ミツ)呼ばれたのかわからない。

「やっぱ和のか。二冊あるからおかしいと思った。」
「今日当たった。よりによって。」
「マジか。」
高校は学校違ったら教科書違うって聞いてたけど、実際はけっこうかぶってるな。中学までなら間違えて持ってっても学校で交換できたけど。
「高校生になったんだから自分のものはちゃんと自分で管理しなさいよ。」
「やっぱオレも緑高にしときゃよかったかな。」
「何言ってんの!二人そろって私立に行かれたらウチのお財布……そういう問題じゃない!」
……だよな。
「学校違う方が楽だろ。間違えられないし。」
「間違えられるよ。二人ともウチの学校来てると思ってる奴けっこういるもん。」
「あー。」
四摩高だとそうなるのか。近いからウチの中学から行く奴多いし。
「あとたまにオレが緑高行って、和がこっち来てると思ってる奴もいる。」
「……そのパターンはあった。こっちも。」
わざわざ緑高来たってのに。


「水原さんがさ。最近までオレを充だと思い込んでた。」
「……それどーなん?」
中学の時、部活でずっと充とペア組んでたのに。いくら似ててもわかるだろ。そんだけ一緒にいりゃ。
「一年経ったら記憶もぼやけんのかな。こっちも多少は見た目も変わってるかもだし。」
それでもちゃんとわかってないとおかしいんだけどな。水原さんは。

「そういや柏木さんにも言われた。会っていきなり『どっち?』って。」
「……そっちはわかる。」
柏木さんはオレと組んでたけど、ついに引退するまでオレと充の判別ができないままだった。
「いくら似ててもわかるだろ。そんだけ一緒にいりゃ」
……な。