2014年9月15日月曜日

忙しい合間に世界史を学び直す-『仕事に効く教養としての「世界史」』

高校時代には世界史を学んだつもりですし、センター試験でも世界史を選択したにもかかわらず、高校時代に覚えたことはほとんど忘却の彼方に消えてしまいました。

暗記中心の歴史教育の弊害と言ってしまえばそれまでですが、そもそも、学校教育の中で、日本史と世界史がそれぞれ独立した科目であり、世界史の中で日本を意識することがほとんどないというのも問題だと思います。本来、日本史を理解する上で、同時代の世界の情勢は無視しえないものですし、日本人が世界史を学ぶ目的は、日本が直面する国際関係の背景を理解することではないかと思います。

本書は日本と世界との関係を意識しながら、限られた紙面の中で、枝葉末節に囚われず、現在の国際情勢を理解する上で最低限必要な世界史を概説したものとして、大変優れていると思います。忙しいビジネスパーソンが軽く読んで理解するのに適した本だと思います。

ただ、解説の端々に著者の独自の見解が多く盛り込まれている印象を受けますので、取り扱いに注意が必要です。例えば、キリスト教に関する記述で、当時新興宗教にすぎなかったキリスト教を広めるために、ミトラス教からミサを、イシス教から聖母マリア像をと、「いろいろな宗教から美味しいところをとってきた柔軟性が、キリスト教を大きく成長していった一つの要因だろうと思います。」と書いています。このように「~と思います。」といった著者の見解が散見されますので、歴史的事実と著者の主観を分けて読む必要があります。

そうした注意は必要であったとしても、本書のようにざっくり世界史の流れを理解できれば、現在世界で起こっている出来事をより深くできるのではないでしょうか?

さらに、学者ではなくビジネスパーソンである著者が、世界史についてこれだけの博識を持ち、大学でも講義をしているという事実に勇気付けられます。僕は学問的探求を諦めて、大学院より就職を選び、ごく普通のビジネスパーソンとしてこれまで20年近くを過ごしてきましたが、働きながらでも学問を究めることができるのだと考えれば、これまでくすぶっていた思いも晴れて、新たな目標ができました。

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