2014年9月28日日曜日

自分らしくあるために-『孤独であるためのレッスン』



一般的に「孤独」という言葉にはネガティブなイメージがありますが、本書は「孤独」を肯定的に捉え、むしろ積極的な意義を認めています。本書の冒頭で著者は「孤独」について次のように宣言しています。

孤独は、決して避けるべき否定的なものなどではない。
孤独は、現代をタフに、しなやかに、クリエイティブに生きていくために不可欠の”積極的な能力”である。
 今はスマホなどで絶えず誰かと繋がっていないと不安になる若者がいて、一緒にランチのできる仲間がいないとストレスになり会社に行けなくなるOLがいたりするといいます。本書は、孤独になることに不安を抱きながらも、無理な人間関係の煩わしさに心を擦り減らしている人々に対して、孤独を肯定的に捉え、本来の自分を取り戻すきかっけを与えてくれるでしょう。

一般的には、ひきこもりやフリーター、パラサイトシングルなど、ひとりでいる人々に対して、社会性に問題があるという見られ方をされ、世間から冷たい視線を向けられます。学校教育の現場では子供の社会性、協調性を求めるあまり、かえって子供達を追い込むことになっているといいます。画一的な社会性よりも個性を認める社会になれば、ひとりでいる人々が追い詰められることなく、自分を肯定的に受け入れることができ、社会生活を自然に送れることができるのではないでしょうか。

社会の中で生活していくためには、嫌な人間関係にもある程度柔軟に対処していく必要がありますが、一方で、周囲に対してうまく適応してばかりいると、自分自身を見失い、訳がわからなくなってしまうことがあります。こうして僕がブログを始めようと思ったのも、日常生活に埋没せず、仕事から離れて自分自身をしっかり見つめたいという動機からです。

本書では「肯定的な孤独」となるために必要な「八つの条件」を紹介しています。詳細は割愛しますが、いずれもこれまでの自分を追い詰めていた先入観から自己を解放し、人生について新たな視点を提示するものです。さらに本書は「真の孤独」について、次のように語っています。

真の孤独とは、(中略)「人はみな、ひとりで生まれ、ひとりで死んでいく」という絶対的な真実をしっかりと踏まえ、自分の人生の道を歩んでいくことなのです。
 環境に適応しようとするあまり、自分自身を喪失し、自分自身を喪失しているから人と繋がっていないと不安になるという悪循環に陥ってしまいがちです。絶えず人と繋がっていたい、傷つくのが怖いという感情が、恋愛の場面では「多重恋愛」か「共依存恋愛」かの両極端に現れるといいます。そこで自己を回復するために、あえて一定期間、人間関係を遮断する時間を持つことが必要だというのです。

僕は本書の中で引用されていた、「自分の一日の三分の二を自分のためにもっていない者は奴隷である」というニーチェの言葉に衝撃を受けました。このままずっと働いて、その先に何があるのかという漠然とした不安を抱き、どうすれば経済的自由を得ることができるかについて最近考え始めていた僕の心に、ストレートに突き刺さる言葉でした。生活のために仕方がないが、では自分の人生とは何なのか、すぐに答えが出る問題ではありませんが、自分らしくあるために孤独を恐れない気持ちを大切にしたいと思いました。


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