A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者@KOENJI HIGH 2017.10.5 thu

2017年10月09日 01時28分14秒 | 灰野敬二さんのこと


不失者 Fushitsusha
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不失者 Fushitsusha
OPEN/START 19:00/19:30
ADV/DOOR ¥4,000/¥4,500



夏が続いているような暖かさがやっと落ち着いた秋らしい快晴の日、高円寺HIGHで灰野敬二率いる不失者のワンマンライヴが開催された。7月にニューヨークとロサンゼルスで公演を行い好評を得たからであろうか、外国人の姿が目立つ。最前列で並んでいた男性はニューヨーク公演のチケットを買ったのに仕事が忙しくて行けず、日本へ観にきたという。熱心なファンは日本の外にもたくさん存在する。



定刻から5分押しでメンバーがステージに登場。灰野が場を清めるようにアイリッシュハープで短いフレーズを爪弾いた後、メンバーに「ゴー!」と合図。ベースのナスノミツル、ドラムのRyosuke Kiyasuが重いサウンドを放射する。「神はいる しかし何もしない」という聴き馴染みのある言葉がじわじわ脳幹に浸透する。脈打つベースと痙攣するドラムの空気の重みを切り裂くギターの輝きに目が眩む。ハードロック的なリフが意識を覚醒させる「なしくずし」。そういえばこの曲が収録されたアルバム『名前を つけないで ほしい 名前を つけて しまうと 全てで なくなって  しまうから』がリリースされた2013年以来不失者の新しい音源はリリースされていなかったが、今年出たコンピレーション『Tokyo Flashback P.S.F. - Psychedelic Speed Freaks』に2017年3月5日六本木SuperDeluxeでのライヴ音源が収録されていることを何人の人が知っているだろう。



灰野のロマンチストの側面が明瞭に現れている『ここ』がロング・ヴァージョンで演奏されたのは嬉しかった。轟音で麻痺した耳を癒すかのような優しい演奏と甘いメロディだが、ここ/あっち/すべて/永遠/時間が溶け合う言葉の海に酔い痴れるうちに、別の感覚が研ぎ澄まされて眠ることが出来なくなる。それは最近よく演奏されるドリームポップ風の荘厳なヴォーカルナンバーでより具体的に語られる。その同列に「暗号」「お前」といった象徴的な曲が提示され、謎(エニグマ)に満ちた不失者ワールドが三時間弱に亘って繰り広げられた。これまでになく楽曲の姿形が見え易い気がしたが、それは不失者の変化ではなく、聴き手/愛好家の願望の現れだったのかもしれない。世界へと拡散されていく音と言葉のエキスが凝縮された濃厚な夜だった。

音楽に
招待状は
ありません
自分の意志で
聴けばいい


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