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◎中卒の若者の貧困と孤立を、生活保護は救えるか?(diamond online)

2017年01月20日 14時51分34秒 | ●YAMACHANの雑記帳

http://diamond.jp/articles/-/114871?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

中卒の若者の貧困と孤立を、生活保護は救えるか?
2015年、中学卒業者の高校進学率は98.5%であったが、それ以外の約4000人は就職し、約8700人は進学も就職もしなかった。また同年、全国で4万9000人が高校を中退した。そうした人々は、未成年ゆえにできないことが数多くあるにもかかわらず、「働ける」と見なされて福祉の対象になりにくい。不利な状況の中で消耗しながら年齢を重ねてゆくサイクルを断ち切る鍵は、「高校」と「生活保護」にある。
大人と子どもの「谷間」に落ちた
若者たちのサバイバル

坪井恵子さん(56歳)は、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」(以下、ストプロ)で理事長を務めている。ストプロの目標は「ユース(筆者注:おおむね15-25歳)の貧困と孤立を防ぎ、解消し、自立と夢の実現を!」だ。ストプロの支援を受けている「ユース」たちは、そもそもなぜ、貧困状態にあり、孤立しているのだろうか?「ストプロのユースのほとんどは、親にネグレクトされてきています、生活保護世帯の場合、親が食費を含めて子どものためのお金を使い込んでしまっていたり、適切な衣食住を与えて養育することを放棄してしまっていたりすることもあります」(坪井さん)
なかには、「子どもを搾取している」としか言いようのない親もいる。
「高校生の子どもが奨学金を得て、それで校納金を支払うつもりだったのに、親が使い込んでしまい、高校中退に追い込まれそうだというケースもありました」(坪井さん)坪井さんは2000年代後半、自分の子どもの1人が高校に進学しなかったいきさつをきっかけとして、中卒や高校中退の若者たちの「生きづらさ」に目を向けるようになった。坪井さんの子どもは、好きな仕事に就き、努力を重ねて「手に職」をつけ、現在は立派な職業人として活躍している。しかし一般的に、最終学歴が中卒のままでは、職業選択やステップアップの可能性が非常に少なく、安定した就労を長期に継続することは難しい。そして15~25歳の年齢層に対しては、公的支援が極めて手薄なのだ。2000年代当時、16歳以上で高校に在学していない若者に対する公的支援は、ほぼ皆無といってよい状況だった。未成年ではあるが、すでに義務教育の年齢ではなく、就労も可能だ。しかし成人に達していないため、1人ではアパートの賃貸契約を結ぶこともできない。児童福祉の対象となる子どもと、成人として行動できる大人の「谷間」に落ちたまま、若者たちは、あがき続けることになる。成人まで親のもとで過ごすことができれば、時間の経過が年齢の問題を解決するだろう。問題は、その選択肢がもともと存在しない、あるいは事実上存在しない場合だ。2000年代当時、16歳を過ぎて児童養護施設に居住するためには、高校に在学している必要があった。高校を中退すると、住まいを含め、高校に在学していることを理由として提供されていた児童福祉のすべてを失うことになった。その後は、寮のある仕事に就くなど、住まいと収入を同時に確保できる状況にあれば、とりあえず生きてはいける。しかし、病気や負傷などのアクシデントで仕事を失えば、住まいと収入を同時に失い、路上などでの「サバイバル」を余儀なくされる。
1対1の「ごはん」から始まる
ボランティアたちの伴走支援

坪井さんは、2009年、高等学校卒業程度認定試験(高認)合格を目指すための無料の塾を開設した。先生たちはボランティアだ。当初の対象は、中学校卒業後の15歳~39歳の人々、生活保護世帯の子および親、ひとり親世帯の子および親、その他、経済的に厳しい状況にある人々であった。しかし、高認に合格しても最終学歴は中卒のままなので、本人の社会的状況が変わるわけではない。「食える仕事」に就き、経済的な安定を獲得するところまでは、伴走が必要だ。また、高認合格までの生活費、その後の進学したい学校の受験料や学費などは、すべてユースたちが賄う必要がある。そもそも、高認合格や進学を目標にするには厳しすぎる現状に置かれているユースの方が圧倒的に多い。そういうユースたちは、心の居場所がなく、学習支援以外の多岐にわたるサポートや居場所を必要としている。しかし、出会いの機会が「勉強」「高認」では出会いにくいし、出会っても関係を継続しにくい。そこで坪井さんは、「ごはん」という別の入り口をつくることを考えた。また2012年からは、対象を15~25歳程度に絞った。2014年4月、坪井さんはJR博多駅前にキッチン、浴室、食卓、ちゃぶ台のある居場所「ごちハウス」を開設した。「ごちハウス」とは、「ごちそうさまが言える家」の略である。無料のごはんを食べに来て、ついでに勉強をしていくこともできる。ボランティアの先生が無料で教える機会に勉強に来て、ついでにごはんを食べていくこともできる。家庭的な雰囲気の和室でゴロゴロすることも、昼寝することも、ときどき泊まることもできる。「ごちハウス」は、そんな居場所だ。坪井さんは、「1対1」の関係を大切にしている。初対面のユースを「ごちハウス」に迎えるときは、事前に本人の食べられない食材を聞いておく。その食材が入っていない、本人だけのためのご飯と味噌汁とおかずのある食膳を用意する。そして、ちゃぶ台に横に並んで座り、2人で同じ食事を食べながら、焦らずに信頼関係を築いていく。「オウチごはん」と名付けられたこの小さな食事会について、坪井さんは「短い時間で関係性を深めるために、大きな力になります」と言う。世に言う「食べ物の恨みは恐ろしい」も、食べ物・食事が感情に働きかける力ゆえかもしれない。
日常生活を管理し就労を
維持するまでの困難な道のり

「ごちハウス」には、様々な顔と役割がある。県立高校通信制課程のサポート、高認受験準備などの学習支援の場ともなる。看護師や看護学生を囲んで食事をしながら仕事の話を聞く場や、就職のためのスーツ一式の貸し出しなど就労支援の機会も提供される。一定の条件をクリアすれば、泊まることもできる。諸般の事情により、ストプロは2017年3月で活動を休止する。「ごちハウス」を必要としているはずのユースたちに、まずは情報を届けることが課題ではあったが、それでも2014年4月の開設以後、約48人のユースたちが「ごちハウス」を訪れた。その後、自分の選ぶ自分の人生への小さな歩みを、坪井さんやボランティアたちの伴走のもと、自ら進めたユースたちも少なくない。ちなみに、2009年の無料塾発足から数えると、1回でも関わったユースたちは延べ200人以上となる。なお、欠落の多い幼少期・少年期を送らざるを得なかったユースたちの10代後半以後の苦境に対しては、近年、社会の理解が深まりつつある。この状況を受け、東京都世田谷区は2016年度より、独自の住宅支援・生活支援などを提供し、児童養護施設を退所した後の自立生活を支援する制度の実施を開始した。また厚生労働省も、2017年度より、児童養護施設の入所年齢を22歳まで引き上げる予定だ。就職するにせよ、大学や専門学校に進学するにせよ、自分の日常生活を自分で管理し、就労を維持するまでの困難な道のりへの社会的支援は、少しずつ充実しつつあるが、まだまだ不十分だ。
高校卒業の威力は大きい
中退したら最終学歴は「中卒」に

数多くの「当たり前」が当たり前でない状況の中で育ってきたユースが必要としている支援の幅は、極めて広い。その中で、坪井さんが重要と考えているものの1つは、「高校を卒業する」ことに関する支援だ。高校を中退すると、高認に合格しても最終学歴は中卒のままだ。たとえ難関大学に入学しても、卒業するまでは中卒。もしも大学を中退したら、最終学歴は中卒のままになる。それでは就労・資格取得など、数多くの機会が大きく制約されてしまう。「今、高校は進学したければ100%進学できます。でも、『卒業する』という気持ちを持ち続けられるように支えて、卒業まで見届けなくては」(坪井さん)“卒業“に強いモチベーションを持っていない高校生は、全日制高校に通学していても、ちょっとしたきっかけで簡単に中退しがちだ。もちろん、学費・諸経費の安い県立高校通信制課程という選択肢もあるのだが、自分の意志と努力だけで、この高校を卒業するのは容易なことではない。もしも親が、高校を卒業することの大きな意義を知っていれば、余裕のない暮らしの中で無理をしても、いわゆる「通信制サポート校」に子どもを通わせる場合がある。高校卒業までの学費は200万円前後だ。どの親にも可能な選択ではない。「福岡市に、ストプロを信頼して、気がかりな生徒さんをつないでくださる公立高校があります。その高校の、私の知っている先生のお1人は、高校を中退しそうな生徒さんたちに求人誌を見せて、中卒で就ける職業がいかに少ないか、高校を卒業すると選択肢がどれだけ広がるか、現実を理解させているんです」(坪井さん)高校というところは、卒業すれば「高卒」という学歴が得られるだけの場所ではない。義務教育の小学校や中学校には及ばないが、ある程度、本人を包括的に支える枠組みもある。「高校生でも、学校というハコは大切です。学校に在学しているということは、本人が必要な情報や機会を、必要なときに、黙っていても提供してくれる場所にいるということなんです。それはすごいことなんだと、中退して初めて気づきます。1人のユースを、民間の1個人の好意やストプロのような団体だけで支えるのは、無理です。でも高校に在学していれば、高校では“届かない”ところを民間で支えることは、無理というわけではなくなります」(坪井さん)
坪井さんのかたわらで、ストプロの理事を務める藤田裕子さん(弁護士/新星法律事務所)さんも語る。「あと5ヵ月で高校を卒業できるという段階で、家庭にいられる状況ではなくなり、他県から逃げてきて福岡で保護された高校生がいました。でも、高校のある地域の自治体は、受け入れに消極的だったんです」そのままでは、高校生は「高校中退」となるしかない。「でも本人は、高校を卒業したいんです。高校に問い合わせてみると『私たちもその子に卒業してほしい』と。欠席期間はレポートなどで補えるよう配慮する、ということでした。私はその自治体に、『このままでは、この子は高校を卒業できなくなります』と訴え、高校は自治体との連携を約束してくれました。私は自治体に対して、高校の協力が得られることを伝えました」(藤田さん)本人は、残り少ない高校生活へと無事に戻ることができた。高校は、本人のために補講をするほか、本人が家庭のことに関するSOSを出しやすいように面談の時間を設けるなど、本人の卒業を様々な面でサポートし始めた。学校の力はすごいです。学校の協力があったからこそ、本人とも自治体とも、『高校卒業』を目標として話を進めることができました」(藤田さん)
「あと、ほんの何ヵ月かで中卒か高卒かの分かれ道でしたからね。学校が動いたら、民間が何を訴えても動かない行政が、動くんです」(坪井さん)
しかし、高校が動くことができたのは、本人が高校在学中だったからだ。高校という場に属していることの意義を痛感している坪井さんは、「せめて、生活保護で安心して高校を卒業することができれば」と願っている。「今、低賃金労働や非正規雇用で働いている中卒や高校中退のユースたちが、2~3年間、生活保護を受けながら高校に通い、高卒の最終学歴を得ることを、私は勧めたいです」(坪井さん)
学びや育ちの機会も「健康で文化的な
最低限度の生活」に含まれるはず

本連載の著者・みわよしこさんの書籍「生活保護リアル」(日本評論社)が好評発売中
それを「ふつう」にするためには、数多くの課題を解決する必要がある。16歳以上の年齢で、アルバイトでなんとかギリギリの生活ができているのであれば、福祉事務所は「働けるんだから生活保護は不要」と考えがちだ。成年に達していれば、なおさらそういう見方になるだろう。必要なのは、学びや育ちの機会も「健康で文化的な最低限度の生活」に含まれているという発想の転換ではないだろうか。少なくとも、15歳~18歳での「高校在学」「高校卒業」という機会を失いそうな、あるいは過去に失ってしまった人々に対し、生活と機会を一緒に保障することは、生活保護制度の目的の1つである「自立の助長」そのものであるはずだ。(フリーランス・ライター みわよしこ)
★野党共闘



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