<離婚・別居の親>子と面会申請10年で倍 調停4割不成立

毎日新聞 2014年8月18日

離婚したり長期間別居したりしている親が子どもとの面会を求めて家庭裁判所に調停を求める「面会交流」の申し立てが昨年初めて1万件を超え、10年間で倍増したことが最高裁のまとめで分かった。離婚後も両親が養育に関わることが、子の健全な成長に役立つという社会的な意識の高まりが背景にあるとみられる。ただ、調停が成立しない例が約4割あり、裁判所が関与しても、親同士の折り合いを付けることが難しいケースも多い現状が浮き彫りになった。
当事者同士で面会交流のルールを決められず、家裁に調停を求めるケースは以前からあった。2012年4月に施行された改正民法は、夫婦が裁判を経ずに「協議離婚」をした場合は、面会交流と養育費の分担を取り決めると規定した。法律で明文化されたことも申し立て増加に拍車をかけているとみられる。
厚生労働省の統計では、離婚件数は04年の27万804件が、13年は23万1384件まで減少している。一方で、面会交流事件の申立件数は04年の4556件が、13年は1万762件にまで膨らんだ。
また、13年中の申し立てで、調停が成立したのは5632件で、不成立は1309件。申し立ての取り下げなども含めた全終結事件(1万37件)に対する成立率は56%にとどまった。親同士の感情対立から、合意に至らないケースが相当数あることがうかがえる。
調停が成立しない場合、裁判官が独自に面会交流の可否や頻度を判断する「審判」と呼ばれる裁判に移行する。昨年の調停と審判を合わせた終結件数を夫婦別で見ると、父親側の申し立てが全体の69%を占めている。10年間の増加率は母親の1.6倍に対し父親が2.6倍になっており、育児に対する男性の意識の変化の表れとの指摘もある。
昨年、調停や審判で裁判官の命令に基づき家裁調査官が子どもの意向や養育状況を聞き取ったケースは全体の77%で、10年前の64%から増加した。家裁が子どもの状況を十分に把握して、問題解決に努めている姿勢がうかがえる。
家族の問題に詳しい榊原富士子弁護士は「離婚や別居の原因が配偶者のドメスティックバイオレンス(DV)にあるなど、面会交流には親同士の間の難しい問題が含まれているケースもある。家裁はそうした背景も含めて問題解決に向けた丁寧な調停や審判をしていく必要がある」と話す。【川名壮志】

【ことば】面会交流
離婚などで子どもと別居することになった親が、同居する親との間でルールを設け、定期的に子どもと会うこと。裁判所による調停後に民間の支援団体の仲介で面会が実現することも多く、公園や遊園地、別居する親の自宅などが面会場所になる。月1回が多かったが、最近は月に複数回という例もあり、宿泊が伴う場合もある。同居する親が調停や審判の結果に従わない場合、家裁が面会交流に応じるよう勧告したり、金銭の支払いを命じたりする仕組みもある。

17歳少女救えていたかも…警察、児相が容疑者宅訪れていた

スポニチアネックス 2014年8月17日

愛媛県伊予市の市営住宅の押し入れで松山市の無職大野裕香さん(17)の遺体が見つかった事件で、7月に女性が暴力を振るわれているとの通報を受けて現場の部屋を訪れた伊予署の捜査員が、容疑者の女(36)から詳細を聞いていなかったことが16日、分かった。一方、児童相談所が昨年12月、現場の部屋で大野さんを確認していたことも判明した。
伊予署によると7月19日、容疑者の女が住む部屋で、女性が暴力を振るわれていると通報があった。当日に捜査員が女の部屋を訪問したが、不在だった。夕方に女から「一緒に住んでいた大野さんは1、2週間前に出て行った」と電話で説明を受けたが、暴行の有無などは詳しく確認しなかったという。捜査員は、女の話を大野さんの保護者に連絡した。
昨年12月には、愛媛県中央児童相談所(松山市)が定期訪問の際、現場の部屋で大野さんを確認。今年4月には、大野さんが家出をしていると家族から相談を受けたが、状況を聞き取り「本人の意思があり、連れ戻すのは困難」と判断。警察に保護を依頼するよう助言するにとどめていた。
この部屋には複数の少年らが出入りしており、昼夜逆転の生活を送っていたため、実態を把握した伊予市が問題視し、女を指導していた。
警察と県、市が、情報を得ていながら招いた最悪の事態。伊予署は「被害者が出ていることであり、踏み込んだ対応を検討した方が良かった」としている。
児相によると、女には2005年から、子供の養育に問題があるとして指導を継続していた。昨年10月には、女と同居している10代後半の長女が暴行を受けていると通報を受け、担当者が訪問。女から暴力を振るわれ、頭のケガを確認し保護した。その後、長女の希望に沿って帰宅させたが、それ以降は定期訪問を実施していた。
女のほかに逮捕されたのは同居の無職の長男(16)と、部屋に出入りしていた16歳と18歳の土木作業員の少年。
捜査関係者によると、4人の一部は「(大野さんの死亡が)ばれると思って遺体を隠した」と供述。大野さんの遺体の全身に多数のあざや皮下出血があり、一部はかなり前にできたものだったことも判明。伊予署は死亡の経緯についても何らかの事情を知っているとみている。
伊予署は16日、4容疑者を送検した。

「消えた年金」、来年度から職員らの訪問調査も

読売新聞 2014年8月17日

厚生労働省は、年金保険料を支払ったのに記録が残っていない「消えた年金」問題で、紙台帳とコンピューターの記録が同一人として統合される可能性が高い約13万2000人について、個別に訪問して確認する作業を来年度から始める方針を固めた。
関連事業費として約10億円を来年度予算の概算要求に盛り込む。
訪問の対象者は、未解明の記録2083万件のうち、〈1〉コンピューター記録がなく、紙台帳だけが残っている期間がある年金受給者(約12万人)〈2〉漢字のふりがなの不一致など、該当しそうな名前で記録された期間の紙台帳がある年金受給者(約1万2000人)――の計13万2000人。過去に確認の通知を発送したが、未回答だった。
所管する日本年金機構は今後も通知を送ったり、電話での問い合わせを行ったりする方針だが、連絡がつかない場合は来年度から職員による訪問を始める。

歯科医が「顔のしわ取り」急増…厚労省は困惑

読売新聞 2014年8月17日

歯科医がヒアルロン酸注射による顔のしわ取りに参入する動きが広がっている。
普通は美容医療だが、歯科診療の延長で口周りのしわ取りも治療メニューに加えるというもの。歯科医過剰の時代、他との差別化による生き残り策の一環というが、厚生労働省は「一般的な歯科治療ではない」と困惑、歯科医によるしわ取りの実態について情報収集を始めた。

医師が一般的
ヒアルロン酸によるしわ取りは、一般的には美容外科医ら医師が手がける。保険の利かない自由診療で、医師が海外の製剤を個人輸入するなどして行う。
ところが、輸入代行会社ウェルハート(東京都千代田区)によると、2、3年前から歯科医の注文が増え始め、ゼロだった輸入希望者は今や500人近く。同社が開く歯科医向け美容治療セミナーも、毎月開催するほど希望者が多い。
7月に都内で開かれたセミナーには、歯科医5人が参加。座学と実技に熱心に取り組んだ。講師の美容歯科医、清水洋利さんは「歯科治療の延長上の選択肢として希望者に行うなら問題ない。技術的にも、麻酔で日常的に注射をする歯科医には向いている」と話す。
参加した40代の男性歯科医は「入れ歯をインプラント(人工歯根)にして上唇の縦じわが残り、気にする人がいる。美容外科より気軽な歯科で治療できれば喜ばれる」という。

過当競争
厚労省によると、医療施設で働く歯科医は2012年時点で全国に約10万人おり、人口10万人当たりの数は40年前の倍ほど。歯科診療所は約6万8000という過当競争の時代だ。
そもそも顔のしわ取りは、歯科の診療領域なのか。関係者が根拠としているのは、厚労省の専門家会議が1996年、歯科の診療領域の一つに「口唇」を挙げたこと。解剖学的に口唇とは、唇だけでなく口周り全体を指すため、鼻の下やほうれい線のしわ取りも治療対象になるという解釈だ。日本歯科医師会も違法行為には当たらないとしている。

<子供遺棄・置き去り>過去5年間で891人 2歳以下4割

毎日新聞 2014年8月16日

今年3月までの過去5年間で路上などに遺棄されたり自宅などに置き去りにされたりして、全国の児童相談所(児相)が対応に当たった子供が891人だったことが毎日新聞の全国調査でわかった。2歳以下が約4割を占め、遺棄だけで120人に上ったことも判明。戸外に捨てられたことで、中心体温(直腸温)が35度以下で生命の危険もある低体温症に陥っていた乳児も含まれており、幼い命が脅かされる遺棄や置き去りの実態が判明した。

今年6~7月、児相を設置する47都道府県▽20政令市▽2中核市--の計69自治体に対し、国が把握を求め始めた2009年度以降の遺棄と置き去りの内容を尋ねた。
それによると、発見時の状況から各自治体が13年度に「遺棄された」と判断した子は23人、自宅などに「置き去りにされた」とみた子は111人だった。12年度はそれぞれ24人と183人で、今年3月までの過去5年間では120人と771人だった。
891人の内訳は、0~2歳が39.8%で最多。3歳~就学前25.1%▽小学生24.1%▽中学生6.6%--など。遺棄の120人に限ると、2歳以下で72.5%を占め、3歳~就学前11.7%▽小学生6.7%--などだった。自治体別でみると、東京139人▽神奈川123人▽大阪市116人の順で多く、遺棄に限ると、東京15人▽熊本市12人--などだった。
遺棄されていた乳児で発見場所が確認できたのは36人。集合住宅敷地内や民家近辺6人▽病院やその近く6人▽路上5人▽公園4人▽スーパーなどのトイレ4人▽児童養護施設や乳児院の近辺3人--などで、23人が屋外だった。
36人のうち、低体温症や低体温だったのは少なくとも7人。昨年3月と11年4月、宮崎市内で同じ母親から遺棄された2人は、へその緒が適切に処理されないことでチアノーゼに至る恐れがある多血症も併発していた。11年10月に千葉市内のコンビニのトイレのごみ箱から見つかった女児は、胃からの出血もみられた。
また、置き去りでは昨年9月、さいたま市の自宅アパートで母親不在の間に衰弱し、紙おむつを食べていた1歳男児を保護。昨年2月には九州の自治体で、親と数日間連絡が取れず、保育園に置き去りにされた2歳児が保護される出来事があった。【野倉恵、菅野蘭】
宮島清・日本社会事業大准教授(児童福祉) 親権者は児童福祉法上、育てるのが難しければ公的機関に相談するという責務がある。預けた上で子の命を保つことも親の責任だという認識を広げることが大事だ。国は孤立しがちな親向けにきめ細かい相談体制を用意し、遺棄による犠牲者を出さないように医療機関での出産につなげる必要がある。

遺棄・置き去りの子供
厚生労働省によれば、遺棄は「(路上などに)捨てられて保護された時に親が不明」で、置き去りは「判明している親が監護を放棄し、知人宅や自宅に放置された」としている。国は赤ちゃんポストの問題などを受け、09年度から自治体にそれぞれの人数の報告を正式に求めるようになったが、特に置き去りについては、その期間の定義などを巡って自治体間にとらえ方の違いがあり、統計上の数字に差が出る要因となっている。

<子供遺棄・置き去り>「親なんていない方が…」心に深い傷

毎日新聞 2014年8月16日

ごみ箱に産み捨てられた赤ちゃん。自宅で自身の便にまみれ泣いていた1歳児。路上などに捨てられたり自宅に置き去りにされたりした子供の多くは、死と隣り合わせの体験を強いられ、今も心に深い傷を残している。【野倉恵、菅野蘭】

昨年3月15日昼。宮崎市中心部のアパート通路に置かれた紙袋の中から、生後28日に満たない男の赤ちゃんが見つかった。中心体温(直腸温)は32.5度。低体温症で生命の危険の目安とされる33度を下回っていた。
男児には、同じように遺棄された「姉」がいた。それが分かったのは母親の20代の元風俗店従業員が保護責任者遺棄容疑で逮捕されてからだ。女は宮崎県警の調べに対し、11年4月、自宅近くの別のアパート居室のドアノブに女の赤ちゃんが入ったバッグをかけ、そのまま立ち去ったことを認めた。
2人とも自宅浴室で産み、数時間後には捨てていた。「誰が父親か分からず、育てる自信がなかった」。借金に追われ、国民健康保険にも未加入で病院に行けず、誰にも相談できなかった。女はそう供述したという。姉弟はいま、健康を取り戻し、児童福祉施設か里親の元で暮らしているとみられる。
千葉市内のコンビニのトイレのごみ箱からポリ袋に入れられた裸の女の赤ちゃんが見つかったのは11年10月。重度の低体温症で泣き声もなく、青白い手足は数時間動かなかった。幸い約10日後には集中治療室を出られたが、治療にあたった市立海浜病院の大塚春美新生児科統括部長(56)は「めざましい回復力をみせる新生児は多いが、出生直後の環境が劣悪すぎれば限界がある」と話す。
関東地方の30代男性は、生後まもなく病院前で遺棄された。地元の首長が名字と名前をつけ、父母の欄が空欄の戸籍が作られた。「お母さんはどこかで働いている。迎えに来てくれる」。育った児童養護施設で、そう信じていた。
出自の真相を知ったのは中学生になってから。心が荒れ、職員ともみあう出来事を起こしたとき、施設長から聞かされた。高校卒業後に施設を出て、今は地方で働く。「親なんていない方が楽。親に金づるにされる施設時代の仲間だっているから」。強がってみせる言葉に今も時折会う施設長は深い傷をみるという。
昨年秋、母親からさいたま市内の自宅マンションに置き去りにされた1歳の男児は、消防隊員が窓ガラスを割って入ったとき、全身が便にまみれ、床には生の米粒や紙おむつの紙片が散乱していたという。男児が飢えをしのぐため、口に入れていたとみられる。
「買い物先でパニックに陥り、トイレにこもっていた」。置き去りの理由をそう話した母親は精神疾患だったことが後に判明。男児は乳児院で暮らしている。元気だが言葉は遅れがちだといい、「不安にさらされ飢えた体験が、癒やされればいいのだが」。保護にあたった児童福祉司は懸念する。

ローソンが「介護コンビニ」 ケアマネ配置し高齢者支援

朝日新聞デジタル 2014年8月16日

ローソンは、介護が必要な高齢者を支援するコンビニの展開を始める。介護事業者と提携し、ケアマネジャーが常駐して介護サービスを紹介したり、生活相談にのったりする。超高齢化が進むのに対応し、新たなサービスで客を増やす狙いだ。
首都圏で介護事業を手がける「ウイズネット」(本社・さいたま市)と提携し、同社がローソンの加盟店となり、店を運営する。1号店は来年2月に埼玉県川口市に開く予定。
ローソンは他の介護事業者にも加盟店になってもらう計画で、提携先がみつかれば、大阪や名古屋など大都市部を中心に3年で約30店を出す計画だ。