<祖母・母殺害>少女を医療少年院送致「2人の虐待が影響」

毎日新聞 2015年1月21日

北海道南幌(なんぽろ)町の自宅で昨年10月、祖母(当時71歳)と母親(同47歳)を刺殺したとして、殺人の非行内容で札幌家裁に送致された高校2年の女子生徒(17)について、同家裁は21日、医療少年院送致とする保護処分を決定した。決定理由で栗原壮太裁判長は「祖母と母から虐待を受けていた事実があり、非行(殺害)に至る経緯や動機に影響している」と認定。検察官送致(逆送)をして刑事責任を問うよりも、治療などによる社会適応が必要と判断した。
少年法は、故意に被害者を死亡させた16歳以上の少年は原則、逆送すると規定。考慮すべき事情がある場合は例外的に保護処分にできるとしている。
付添人弁護士によると、生徒は虐待により心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっているという。
栗原裁判長は決定理由で、生徒には事件当時、完全に責任能力があったと認定。「原則として逆送すべき事案。結果は極めて重大で、計画性も認められる」と前置きした。そのうえで虐待が及ぼした影響を指摘し、「精神状態や年齢を考えると刑事処分は相当でなく、医療少年院に送致して治療や矯正教育で社会適応を図るべきだ」と判断した。
付添人弁護士によると、生徒は幼少時から祖母と母親から虐待を受けていた。6歳ごろには祖母から複数回、足払いされて転び、頭に血腫ができた。
通報を受けた岩見沢児童相談所は、児童福祉法に基づき自宅訪問や面談を重ねた。だが虐待は続き、高校入学後は、暖房設備がない自宅敷地内のログハウスで生活させられるなどしたという。南幌町に隣接する江別市の1月の最低気温の平均値は氷点下12・3度。
弁護士によると、生徒を調査した家裁調査官は報告書で「壮絶な虐待」と記したという。弁護士は「決定は治療を受けながら更生にもつながり、順当な判断だ」と評価した。
決定などによると、生徒は昨年10月1日未明、自宅で寝ていた祖母と母親の首を包丁で突き刺すなどして殺害した。
札幌地検は鑑定留置の結果、生徒の刑事責任能力に問題はないと判断。昨年12月25日に家裁送致した。生徒の同級生や保護者らは、社会復帰の機会が損なわれないよう、公開で裁判を行わないことを求める嘆願書と計約1万9000人分の署名を地検と家裁に提出していた。【酒井祥宏、日下部元美】

子供の声は騒音? 「親の怠慢」という意見もあるが…

読売新聞 2015年1月21日

「グッジョブ!」子供の声、都の騒音条例から除外へ
東京都が、騒音条例から子供の声を除外するよう改正するという報道がありました。園児の遊ぶ声がうるさくて迷惑であるとして、保育園や幼稚園の建設に地元住民が反対するということが各地で起こっているというニュースをこれまでに見聞きしてとても残念に思っていましたが、東京都の条例改正には「グッジョブ」と思いました。
確かに小さな子供は、泣いたり興奮してはしゃいだりすると非常に大きな声を出します。建物の中で発せられるならまだしも、大勢の園児が庭で遊んでいる時間帯には、近隣にはそれなりの大きさの騒音がもたらされることでしょう。それを迷惑だと訴える権利もあるでしょうが、誰にも迷惑のかからないような場所に保育園を建てると言ってもそんな場所は都会にはありませんし、非常に利便性の悪いところしか保育園を建てられないとなれば親の負担は大きくなり、少子化対策としてはマイナスであることは想像に難くありません。
児童福祉法に「すべて 国民は、児童が心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない」とあります。今「子供の声は迷惑だ」と言っている人も何十年も前には大声を出して遊んでいたでしょう。

「エンジェルタイプ」の子供ばかりでなく…
また、「親や大人がきちんとしつけたり配慮を欠かさなければ子供の大声を制御できるはず。騒音は親の怠慢である」という意見が必ず出てきますが、そんな「エンジェルタイプ」の子供ばかりではありません。正常発達でも幼児はえてして多動で、常には親のコントロール下にないものです。全ての子供を「しつけ」で静かにわきまえさせることができるというのは、子供の声という騒音に煩わされたくないけれども自分が狭量だとは認めたくない人の幻想です。
進む高齢化と長引く低出生率のため、子供や子育て世代の人口比は減っています。都市部へ人口が集中し建物が密接していることに加え、日常的に子供と触れ合って慣れている層はすでに少数派であることも「保育園の建設反対」という声が大きくなることの原因ではないかと思いますが、幼児のころくらい誰にも気兼ねせずはしゃぎ回った方が健全な大人に育つと思います。ましてや昼間だけですし。

「親」や「母親」、十把一絡げにしないで
そして、少し話はずれて恐縮ですが、騒音や電車のベビーカー問題、子連れ外食問題など「子供や子連れが迷惑」というトピックでは、「最近の親はすごくマナーが悪い」などのように、全国の「親」や「母親」をひっくるめて批評する声が必ず上がります。常々違和感を覚えているのですが、それまでそれぞれが全く別の世界や価値観で生きてきた人が、妊娠したり子供を持ったりすると突然全員同じグループにカテゴライズされるということです(それまでいろんなジャンルのファッション雑誌を読んでいた女性が、皆「たまごクラブ」「妊すぐ」など妊婦全員を対象とした雑誌を読むしかなくなる、というのが象徴的です)。子供を持ってなくてもマナーが悪い人や非常識な人もいるのに、子供を持った瞬間に「親」として十把一絡げにしないで欲しいと感じることがあるのは私だけでしょうか…。
都市部では住宅も狭く、家の中でも触ってはいけないものばかり、という環境で育っている子供たち。思う存分はしゃいで走り回って育つことができるよう、ぜひご理解ください。

年金「65歳まで納付」先送り 厚労省の制度改革報告書

日本経済新聞 2015年1月22日

厚生労働省は21日、社会保障審議会の年金部会を開き、公的年金制度改革の報告書をまとめた。全国民に共通する基礎年金(国民年金)の保険料の納付期間を5年延ばして65歳までにする案は先送りした。保険料増に見合う国庫負担(税金)のめどが立たないと判断した。受給額の抑制強化は盛り込んだが、減額の容認までは踏み込まず、抑制の効果は不透明だ。
基礎年金の保険料を納める期間は現在、20歳からの60歳までの40年間。厚労省は昨年まとめた年金財政の検証のなかで、これを65歳までの45年間に延ばし、受給額を1割増やす改革案を打ち出した。年金部会でも支持する声が多かった。働くシニアに保険料を納めてもらい、老後の生活資金を手厚くする案だった。
しかし、基礎年金の財源は保険料と国庫負担が半分ずつで納付期間を延ばす分、受給額を増やせば国の負担も膨らむ。財務省は納付期間を5年延ばすと2050年度に国庫負担が2.9兆円増えると強く反対。厚労省も「消費増税を見送った直後でもあり難しい」(幹部)と判断した。来年以降に改めて検討する。
受給開始年齢の引き上げの議論も当面見送る。年金部会の委員からは受け取り開始を現在の原則65歳から一律で上げる提案が出たが、報告書は「支給開始年齢を引き上げる意見もあった。国民の抵抗が強く慎重にやるべきだとの意見もあった」と両論併記にとどめた。
個人の選択で受給開始年齢を75歳まで引き上げられる仕組みも先送りした。田村憲久厚労相(当時)が14年に提案。受給開始が遅れる分だけ月々の受給額は増えて生涯で見れば損得の差はない仕組みだったが、厚労省は「75歳まで誰も年金をもらえなくなるという誤解を招きやすい」(幹部)と改正に慎重だった。
もう一つの焦点は受給額の改定ルールだ。年金には物価上昇に合わせて毎年の受給額を伸ばす仕組みがある。その伸びを約1%分抑える「マクロ経済スライド」は、デフレ下では年金の手取りが減るとして発動できない決まりだった。厚労省は昨年の財政検証で、物価の動きによらず毎年必ず約1%分抑えるようにする改革案を示しており、年金部会の委員の多くもこれを支持していた。
今回の報告書は「調整が極力先送りされないよう工夫することが重要」と抑制策の強化を訴えたものの、デフレ下で発動して手取りの減額を容認するとは明記しなかった。この日の年金部会では委員から「毎年必ず抑制すると踏み込んで書くべきだ」との意見も出た。厚労省は手法を幅広く検討するが、抑制強化には与党内でも反対が強く、実現は難航しそうだ。
厚労省による年金財政の検証は5年に1回で、今年は制度改革の節目にあたる。昨年の検証結果では、納付期間の延長で受給額の水準が上がるほか、毎年の支給抑制で制度の持続性が高まるという結果が出た。ただ今回の報告書ではそうした痛みや負担を伴う改革を明記できず、踏み込み不足の印象はぬぐえない。
厚労省からは「第1次安倍晋三政権を退陣に追い込んだのは年金問題。今の官邸は年金制度の改革に理解を示してくれない」(幹部)との恨み節も聞こえる。

Windows10最新機能が続々公開、10は7以降のOSへ無料提供予定【VR+ARデバイス“HoloLens”など画像追加】

週アスPLUS 2015年1月22日

米マイクロソフトは1月21日(現地時間)、メディア向けWindows 10関連発表会にて、Windows7、8.1、Windows Phone 8.1ユーザー向けに初年度に限り、無償でWindows10をアップグレード提供すると発表した。さらに驚くべきことに、端末が壊れるまで、最新版のWindows10を利用可能。
Windows10はスマートフォン、PC、タブレットなどすべてのデバイス間で動作し、自動的に同期されるOSとして進化している。
スタートメニューはWindows7以前のような小さなものから、フルスクリーンまで拡大が可能だ。
アクションセンターのUIも変わり、スマホの通知センターのように、より見やすいカタチにカスタマイズされた。WiFiやVPNの切り替えもボタン表示で確認できる。設定メニューもアイコンがシンプルなものに変更される。
キーボードやマウスを取り外すと、自然にタブレットモードになり、キーボードをドッキングすると、見慣れたPC画面として動作する。これらの機能は、3~5ヵ月の間に使えるようになるとのこと。
さらに、次のビルドでは、音声認識システム“Cortana(コルタナ)”がWindows10に搭載される予定だ。PCのスタートメニューに登場し、検索エリアに常駐する。コルタナが学習した内容をユーザーが制御できるよう、ノートブック機能を検討予定とした。
コルタナはアプリを検索・起動することができ、インストールされていない場合は8アプリストアを案内し、検索結果を提案することもできる。音楽をかけてと言えば音楽を再生し、静かにして、と言えば一時停止してくれ、最終的には音声のみでメールを送るといったことも可能になる。また、新しいマップアプリにもコルタナは組み込まれる予定だ。
Windows 10の最新ビルドと見られるOSが入ったLumia 1520でデモも行なわれた。
IEは“スパルタン(コードネーム)”と呼ばれる新ブラウザーへと進化する。検索バーにコルタナを組み込んだ、非常にシンプルなUIになる予定だ。ウェブサイトを表示した状態で右上のアイコンをタップすると、全面が手書きメモをとれるモードへと切り替わる。さらにはPDFのメモモードのように、任意の場所にメモコメントをつけることも可能。書いたメモごとページを共有したり、OneNoteに保存できる。また、サファリのように、スマホやタブレットで同期できるリーディングリストも用意。
会場では、スマートフォン上でのWindows10画面も公開され、ワイヤレス印刷機能が埋め込まれたオフィスのプレビュー版画面も紹介した。さらに、約2ヵ月後には、OneDriveで音楽コレクションを置けるようサポートするという。
Windows10用のXboxアプリも紹介された。マイクロソフトはXbox OneとWindowsとの垣根も取り払う予定で、Xboxでのプレイデータとコレクションデータ、友達リスト、メッセージをPCなどから閲覧できるのはもちろん、Windows10からXbox Liveのフレンドとチャットできるほか、相手がどの端末からアクセスしているかも表示される。さらに今年後半には、Xbox OneゲームをWindows10搭載PCからストリーミングプレーできるようになる。
なお、PC向けWindows 10の新しいビルドは来週公開、Windows Phone向けの最初のビルドは2月公開予定となる。
また、マイクロソフトは企業向けに84インチの4Kディスプレーに、マルチタッチ、ペン入力、デュアルカメラ、スピーカーを搭載した巨大なSurface『Microsoft Surface Hub』を会議システムとして提案。
さらに野心的なWindowsの未来として、グラス型のAR+VRデバイス『Microsoft HoloLens(ホロレンズ)』を披露。ワイヤレス型でレンズはシースルー。CPUとGPUが搭載され、完全に独立処理できる能力を持ちあわせる。ジェスチャーで動作し、3Dコンテンツを触りながら作成したり、部屋全体を火星に変化させたりといったホログラムを投影する、近未来的なコンピューターを紹介した。
詳しい内容は、追って別記事にてお伝えする予定だ。