抗凝固薬の作用機序の違いを図で説明。プラザキサ、エリキュース他。

ここ数年で抗凝固薬、

プラザキサ、リクシアナ、イグザレルト、エリキュース

がポンポンと出てきたので作用機序の違いをまとめときます。


ちなみにこの図は日経DIを参考に作成させていただきました。
抗凝固薬の機序

抗凝固剤は結局フィブリンが形成される前にどっかの段階でストップすればいいわけです。

では、それぞれの薬について。

ワーファリン

酸化型のビタミンKから還元型のビタミンKになる過程を阻害します。
合成に還元型のビタミンKを必要とするビタミンK依存性血液凝固因子の生合成を抑え、その後の凝固過程が進まないようにします。


ワーファリンの問題点

・他の薬との相互作用がメチャ多い。
・ビタミンKを含む食物摂取により効果が減弱する。
・個人差が大きく効果の予測がつきにくい。
・治療域が狭く用量の設定が困難。
・半減期が長く消退が遅いため対応が困難。
・効果の発現や安定に時間がかかる。
・PT-INRの定期的なモニターが必要。

 


これらの問題点を解消した新しい抗凝固薬がこちら、

イグザレルト(リバーロキサバン)

エリキュース(アピキサバン)

リクシアナ(エドキサバン)

プロトロンビン(第2因子)を活性化してトロンビンにする活性化第10因子を阻害します。


イグザレルトとエリキュースの適応は、

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

ってことで、まぁ心房細動の血栓予防のみ。
ワーファリンの、

血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防

から比べると、まだまだ使える範囲は狭いですが・・。


ん?

今、イグザレルトの添付文書を確認したところ、

深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制

が2015年9月に追加になってましたね。
いつの間に・・・。
エリキュースはまだ心房細動の血栓予防のみでしたが、現在申請中なので近々適応が拡大されるでしょう。


リクシアナは、2014年9月まで

下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術


ってことで、下肢の手術後の血栓予防のみの適応でしたけど、その後、

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

が追加になり、適応がかなり広がっております。
下肢の手術後の血栓予防のみのときは、原則として、術後の入院中に限って使用すること。
なので、薬局で働いてるとまず見ない薬でしたが、今は普通に出ますね。

ただ、この薬・・用量と薬価がちょっと問題・・。

基本、体重60kg以下で30mg錠を1錠、体重60kg以上で60mg錠を1錠となっておりますが、

薬価が、
30mg錠:748.1
60mg錠:758.1

で、値段が全然変わらないので、体重60kg以下の人に60mgを半錠で処方してくるケースがあったりして・・。

いいの??

何でこんな薬価になってんの???

 

 

プラザキサ(ダビガトラン)

フィブリノゲンをフィブリンに変えるトロンビン(活性化第2因子)を阻害します。


抗凝固剤の中で最も強力な薬って話ですが、

2011年3月にブルーレターが出ています。
・投与中は出血や貧血等の徴候を十分に観察してください。
・患者には、出血があった場合は直ちに医師に連絡するよう指導してください。
・必ず腎機能を確認してください。

こんな内容でした。

プラザキサとの因果関係が否定できないとされる重篤な出血性の副作用を発現し死亡者が出ております。





それぞれの適応の範囲がわかりずらいのでまとめ。

  1 非弁膜 2 深部静 3 下肢整
イグザレルト(リバーロキサバン)  
 エリキュース(アピキサバン)  
 リクシアナ(エドキサバン)
プラザキサ(ダビガトラン)    

1 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
2 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
3 下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
(H27.10/3現在)
平成27年12月にエリキュースの適応が拡大されましたね。
(H28.5/2現在)

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