・記事のタイトル
この水は危険か?
米国のパーフルオロ化合物汚染
(日経サイエンス 2017/08)


アメリカでの話しですが、
近年アメリカの各自治体で飲料水にパーフルオロ化合物(PFCs)の残留が問題視されています。
しかも、PFCsの濃度が通常より高いホットスポットが次々に見つかっています。

このPFCsは安定しており、そのために様々な工業製品で使用されてきたのですが、
元々自然界に存在せず環境中での分解ができないので、環境に留まり続けることが知られています。

米環境保護局(EPA)ではその基準を70ppt以下にするよう推奨していますが、
問題を複雑にしているのが、ヒトに対してどの程度なら悪影響を及ぼすかの有意なデータがまだ集まっていないことがあげられるでしょう。
様々な動物で実験が行われているのですが、動物によっては全く異常が現れないものがあるそうです。
たとえば、マウスでは抗体産生が抑制されたという研究結果が出る一方、ラットやサルではこの影響が見られなかったと報告されています。
このため、ヒトに対し、どの程度の基準を定めれば有効にヒトへの影響を防げるのかがわかっていないのが現状となっています。(ヒトで人体実験するわけにはいかないため)

アメリカでさえこの状態であるため、日本では全く基準は定められていません。
ひとつ幸いなのは先進国においてこのPFCsは政治や企業の取り組みにより、自主規制により新たな生産はなくなっているため、そこまで環境中には放出されないことです。しかし、途上国では未だ排出され続けているので、今後途上国にこの取り組みに参加させていくことが課題となっていくことになると思います。

日経サイエンス2017年8月号
日本経済新聞出版社
2017-06-24


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